早くも息切れを示し始めたアベノミクスマジック
アベノミクスの前途に早くも暗雲が広がり始めている。
安倍政権が順風に支えられてきた最大の要因は株価上昇である。
昨年11月13日、8661円だった日経平均株価が本年4月11日には13549円にまで上昇した。4888円、56.4%の上昇を記録した。
株価が上昇すると時の政権には順風が吹く。
経済の明るさが認識されるためである。
株価が上昇しても直接利益を得る者は限定される。
賃金労働者や年金生活者が潤うわけではない。
しかし、株価上昇は経済全体の改善予想から生じる場合も多く、また株価上昇が資産効果などを通じて支出活動を促進する効果を持つため、株価上昇は一般的に歓迎される事態である。
昨年11月以降の株価上昇の第一の要因は、それまでの株価が安すぎたことである。
野田政権は経済の浮揚にまったく取り組まず、増税まっしぐらの政策路線を選択した。
このために、日本の株価は著しく低い水準に留め置かれていた。
安倍政権の幸運の第一は、前任の野田政権の経済政策が稚拙に過ぎた点にあった。
この点は、2001年から2006年の5年半持続した小泉政権が、その前半期に最悪の経済政策で株価を大暴落させたために、後半期に経済の自律回復、株価の自律反発が生じて幸運を得たことと類似している。
第二に、昨年11月から本年4月にかけて株価が急上昇した直接の背景は円安の進行である。
『金利・為替・株価特報』には両者の関係を詳しく示しているが、最近の経済現象の大きな特徴のひとつとして、為替レートに連動する株価推移をあげることができる。
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
昨年11月以来、安倍政権の誕生が予想され、安倍政権が樹立されれば、強力な追加金融緩和政策が実施されるとの予想が働いた。これが円安が進行した第一の要因。
この予想に誘導されて円安が進行し、この円安が株価上昇を引き起こすとのメカニズムが働いたのである。
他方、円ドルレートの変動は昨年11月まで、米国長期金利に連動する動きを続けてきた。
米国長期金利が上昇すると米ドルが上昇する。米国長期金利が低下すると米ドルが下落する。この関係が観察されてきた。
米国では2013年、財政緊縮策による景気悪化が懸念されていたが、議会と大統領府との協議により、いわゆる「財政の崖」を圧縮する協議が重ねられてきた。
このため、米国経済の悪化が緩和されるとの見通しが広がった。
また、シェールガスの大量産出の見通しが米国経済に大きな所得増大効果を生み出すとの期待が拡大したことも、米国経済の見通しを改善させる要因として作用している。
これらの事情から、米国経済悪化観測が緩和され、米国長期金利がやや強含みで推移することになり、これも米ドル上昇を支える要因になってきた。これが、円安が生まれた第二の要因。
さらに、日本では追加金融緩和実施の観測が広がり、長期金利が大幅に低下した。日本の長期金利低下は日本円下落の要因になる。これが円安を生んだ第三の要因。米国金利の強含みと日本金利の低下が相乗的に作用して円安・ドル高が強まったのである。
ところが、この状況に変化の兆候が表れ始めている。
三つの変化を指摘できる。
第一は、米国経済指標に弱めのものが相次いで発表されていることだ。
米国経済の改善鈍化は米国長期金利の低下要因になる。これが米ドルの上昇力を鈍らせ、米ドル反落の要因になる。
第二は、日本長期金利の反転である。4月3、4日の日銀による金融政策決定会合の後、金融緩和措置が打ち出されたが、この政策発表後に日本の長期金利は低下していない。
この政策決定を契機に債券市場では高値大波乱の様相が強まり始めている。
金利は低下するどころか、むしろ、反転上昇の兆しを示し始めている。
第三は、金融緩和政策に「材料出尽くし」の空気が生まれ始めていることだ。
安倍首相と黒田東彦総裁、岩田規久男副総裁の鼻息は荒かったが、早くも金融緩和政策の効果に息切れ現象が示され始めている。
ここに、ボストンでの爆発事件が発生した。
米国はイラクへの戦争を仕掛ける出発点に9.11の同時多発爆発事故を位置付けた。
米国政府は「同時多発テロ」としているが、これが米国政府による自作自演であったとの見方も消えていない。
真相が明らかになるには時間が必要だと思われるが、米国はこの9.11をきっかけに、アフガン戦争、イラク戦争に突き進んでいった。
北朝鮮の動向に関心が寄せられるなかで、ボストンで爆発事件が発生し、これがまた、新しい戦争の発火点になる可能性も否定はし切れない。
この場合、もっとも大きな脅威にさらされる国は日本ということになる。
日本の株式市場には下落圧力として作用しやすくなる。
アベノミクスのマジック効果の弱体化が早くも露見し始めている。
続きは本日の
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