安倍晋三首相原発・TPP・辺野古拙速処理の真相
7月参院選の意味を再確認しておきたい。
何よりも重要な点は、7月参院選で安倍政権支持・補完勢力が参院で過半数、絶対多数を確保すると、2016年までの3年間に、日本の諸制度、国のかたちが、書き換えられてしまう可能性があることだ。
昨年12月16日の総選挙は違憲選挙である。
違憲選挙だから、当然、無効選挙にならねばならない。
裁判所は選挙の無効を宣言するべきである。
しかし、この国の司法は、政治権力から独立していない。
司法は、行政権の支配下に置かれているのが実態である。
行政権の支配下に置かれている司法が、総選挙を無効とする判断を示すことはないだろう。
つまり、現在の安倍政権が衆院を解散しない限り、2016年夏まで、国政選挙が行われない、「空白の3年」が生まれることになる。
政治勢力は多党乱立のように見えるが、これは一種の「偽装」、=「目くらまし」の策謀であると思われる。
同種同根の政治勢力が多党に分立して、それぞれが一定の投票を獲得し、議席を占有する。
国民の多様な意見を吸収しているように見せかけて、実は、これらの勢力が同種同根だとすると、特定の政治勢力が国会を支配することになる。
結論を先走って述べれば、自公+みんな維新は広い意味で同種同根である。
民主の大半も同種同根である。
この自公+みんな維新+同根民主によって国会が占領されてしまえば、大政翼賛政治になる。
参院選の結果、この大政翼賛体制が構築される可能性が高まる。
「同種同根」の根本は、「対米隷属」である。
当面の具体的なテーマは、辺野古・原発・TPPだが、この三大問題について、対米隷属を軸にものごとが決着してしまう可能性が生まれている。
安倍晋三氏は、すでにこの三大テーマである、辺野古・原発・TPPについて、地雷を埋め込んだ。
重要なことは、その地雷が火を噴くタイミングが、すべて、参院選後に設定されたことだ。
安倍氏が三つのテーマについて、前のめりの姿勢を示した理由は、地雷の埋め込み作業を、できるだけ参院選と引き離すためであったと思われる。
早い段階で地雷を埋め込んでしまい、参院選のころには、この地雷についての認識を薄れさせるのだ。
この三大問題を参院選の焦点から外し、参院選を乗り越える。
地雷が火を噴くのは参院選が終わってしまったあとだから、地雷が火を噴いて主権者が後悔しても、もう手遅れである。
批判が強まっても、国政選挙がないから、主権者が意思を表示する機会は存在しない。
2016年までその怒りを持ち続けるほど、主権者の意思は強固でない。
主権者はそのように見くびられている。
政権のシナリオに全面協力しているのがマスメディアである。
TPPも政権が創作したイメージストーリーが流布されて、主権者を丸め込むことに成功しつつあるかのように見える。
「TPPを正確に説明すると世論はTPP反対に変わる」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-4d4a.html
主権者は真実を知らされず、政府が創作した虚偽のイメージによって誘導されてしまっている。
こうした、イメージによる誘導こそ、「情報操作」そのものである。
政治権力がマスメディアを動員して実施するイメージ操作=大衆誘導こそ、大政翼賛体制の政治の大きな特徴である。
TPPにおいては、政府が美辞麗句を並べ立て、日本の主権者が被害を蒙る肝心のポイントについては一切触れずに、抽象論だけで情報操作を展開した。
その象徴が安倍晋三氏の記者会見発言内容だ。
「世界の国々は、海外の成長を取り込むべく、開放経済へとダイナミックに舵を切っています。
日本だけが内向きになってしまったら、成長の可能性もありません。
TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組みです。
全ての関税をゼロとした前提を置いた場合でも、我が国経済には、全体としてプラスの効果が見込まれています。
TPPの意義は、我が国への経済効果だけにとどまりません。日本が同盟国である米国とともに、新しい経済圏をつくります。そして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々が加わります。
こうした国々と共に、アジア太平洋地域における新たなルールをつくり上げていくことは、日本の国益となるだけではなくて、必ずや世界に繁栄をもたらすものと確信をしております。
共通の経済秩序の下に、こうした国々と経済的な相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与することは間違いありません。
今がラストチャンスです。この機会を逃すということは、すなわち、日本が世界のルールづくりから取り残されることにほかなりません。
残されている時間は決して長くありません。だからこそ、1日も早く交渉に参加しなければならないと私は考えました。」
抽象的な美辞麗句だけで押し切ってしまうという不誠実な姿勢が鮮明に示されたものだ。
「核心に触れず美辞麗句でTPP押し売りの不誠実」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/tpp-766e.html
メディアが肝心な具体的問題点を明らかにせず、主権者をムードだけで洗脳してしまう。
この状況が維持されて、参院選を迎えれば、安倍政権支持勢力・補完勢力が参院でも多数を握ってしまうだろう。
参院選後、辺野古、原発、TPPの地雷が火を噴くことになる。そのときになって後悔しても遅いのだ。
この事態を回避するには、「対米隷属」勢力に対抗し得る政治勢力が、最低でも参院3分の1議席を守ることが必要だ。
そのための方策を打ち立てないと手遅れになる。
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