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2013年3月28日 (木)

堀江貴文氏仮釈放と日本の警察・検察・裁判所制度

ライブドア元社長の堀江貴文氏が仮釈放され、記者会見で姿を現した。


体重が30キロも激減し、別人かと思える風貌での記者会見だった。


「万感の思い」の言葉にすべてが言い表されていると感じる。


会見に臨む姿勢も収監前とは様変わりである。


言葉には尽くせぬ思いの2年弱であったと思う。


まずは、ゆっくりと静養していただきたいと思う。


このニュースが報じられるなかで、日本の警察・検察・裁判所制度に関連するいくつも重大な動きが同時並行で進んでいる。


日本の主権者国民は、目を惑わされないように、個々の事案を見つめることが必要だ。


ライブドアに関する事案では、罪状を認めたライブドア元幹部は有罪判決を受けたが、執行猶予が付いた。


物理的な負担で分類すれば、執行猶予付きの有罪は、実刑有罪よりは、無罪の側に分類される。


有罪であっても刑の執行はない。


無罪と執行猶予付き有罪は、物理的には大きな差が存在しない。


物理的に過酷であることを知りながら無罪主張を貫く選択を示すケースは二通りある。


真実が無実であり、精神的な尊厳を重視して無罪主張を貫くケース。


もうひとつは、罪を犯しているが無罪主張を続けるケース。


その区別は外からは分かりにくいが、本人だけは確実に真実を知っている。


もうひとつあるのは、法律の解釈が明確でないことだ。ある行為が合法とされるか違法とされるかの境界線が明かでないことは多分に存在する。

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ライブドア関連で立件された村上ファンド事案では、村上世彰氏が執行猶予判決を受けている。


村上氏は逮捕後に罪状を認めて保釈を得た。


罪状を認めることで早期に勾留を解かれたのである。


ところが、公判に際しては、一点無罪主張に転じた。


罪状を認めて勾留を解かれた被告が、公判に至って無罪主張に転じることは、一般に悪質な対応と受け止められる。保釈目当ての罪状肯定だと受け取られるからである。


一審では実刑判決を受けたが控訴審で執行猶予を獲得した。


異例の判決であるように見えた。


村上ファンドに資金を預けた関係者は多数存在する。


そのなかで、オリックスの宮内義彦氏や元日銀総裁の福井俊彦氏などは実名報道されたが、大多数の資金預託者は実名報道されなかった。


このなかには、法曹関係者も少なからず含まれていると思われる。


村上氏がトップシークレットの顧客リストを保持していたことが、執行猶予判決の背景になったとも考えられる。

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日本の刑事訴訟制度では、実質上の司法取引、あるいは脅迫等による自白の強要が行われる。


罪を認めれば早期に釈放する。罪を認めれば、裁判でも執行猶予判決を獲得できる。


こうした利益誘導が行われる。


無実の真実が存在する場合でも、被疑者はこうした利益誘導から強い影響を受ける。


罪を認めればマスコミにも発表しない。否認を貫けば、マスコミに発表され、長期間の勾留を受ける。裁判は長期化し、結局、実刑判決を受ける。


こうした利益誘導によって、無実の人間が罪を認めてしまうことは決して少なくない。


複数の被疑者が存在する事案で、そのなかの一人が、事実に反して罪を認める供述を行うと、他の被疑者にまで累が及ぶ。


無実の真実に沿って無罪主張を貫く結果、長期勾留、裁判長期化、実刑判決の結果が待ち受ける。


同じ罪でありながら、うその自白で罪を認めた者は執行猶予となり、罪を認めなかった者は実刑を受けることになる。

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また、取調べに際して、取調べの職員が、罪を認めなければ、被疑者の家族や関係者を苦しめてやるなどの脅迫を繰り返すことも多い。


こうした現実のなかで、多数の冤罪事案が生み出されている。


事態を是正する第一歩は、取調べ過程の完全・全面可視化、取調べに際しての弁護士同席である。


小沢一郎氏が不当に検察審査会によって起訴された事案では、石川知裕議員に対する事情聴取に関する捜査報告書にうその記載がなされた。


この捏造された捜査報告書が小沢氏起訴の有力な原因になったことは間違いない。


完全なる検察官の犯罪行為であるが、この事案は、石川氏が取調べ状況を秘密録音したために発覚したものである。


秘密録音がなかったなら、この巨大犯罪も明るみに出ず、小沢氏の無実の真実が覆い隠された可能性もある。

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全国の裁判所が総選挙違憲の判断を相次いで示している。


小沢氏の元秘書三名に対する控訴審判決は、不当判決そのものであったが、大久保隆規氏と池田光智氏は上告しなかったために、判決が確定した。石川知裕議員は即日上告をした。


東京高裁の飯田喜信判事の判決は言語道断の不当判決であるが、この判決に関する詳細な分析をマスメディアはまったく示していない。


東京地検特捜部による捜査報告書捏造を中心とする巨大犯罪疑惑について、検察は不起訴の決定をしたが、市民団体が検察審査会に審査を申し立てた。


その結果がまだ示されていない。


小沢一郎氏に対して二度の起訴相当議決を示したとされる東京第五検察審査会の実態は厚いヴェールに包まれており、多くの疑惑が山積されたままである。


また、PC遠隔操作事件で、捜査当局は4人もの市民に対して冤罪逮捕したが、その後に無実潔白が明らかになった。


その後、捜査当局は片山祐輔氏を逮捕、起訴したが、片山氏が犯人であることを示す確実な証拠は示されていない模様である。


これまで多くの冤罪事案が繰り返されるたびに、メディアの人権無視の犯人視報道が問題とされてきた。


冤罪が明らかになるたびに、無罪推定の原則に基づいて、犯人視報道に対する自制が宣言されてきたにもかかわらず、今回も、片山氏に対して、明らかに人権侵害の犯人視報道が繰り返されてきた。

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小沢氏元秘書三名に対する不当な高裁判決については、弁護士の郷原信郎氏が、明快な解説記事を公開されている。


http://nobuogohara.wordpress.com/


日本の一部の裁判が、まったく信頼するに値しないものであることが、手に取るように書き記されている。


健全な民主主義社会を実現する最低条件のひとつが、警察・検察・裁判所制度の適正化=近代化であるが、残念ながら、日本の現実はいまなお前近代に取り残されている。

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