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2013年2月23日 (土)

消費税とTPPペテン師的内閣続く日本国民の悲劇

予想通りの茶番が演じられている。


「聖域なき関税撤廃を前提条件とする限りTPP交渉には参加しない」


安倍晋三氏はこのように述べてきた。


昨年12月16日の総選挙でも、多くの自民党候補者が「TPP参加反対」の方針を掲げて選挙戦を戦った。


国民の多数がTPP参加に反対しているからである。


しかし、安倍氏の言い回しは、一種の「罠」であることを指摘してきた。


その「罠」が明らかになっている。

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日米首脳会談で安倍氏は「聖域なき完全撤廃を前提とはしない」ことを確認したと強調している。


共同声明には次のように表現された。


「両政府は、日本が環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、及び、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。


日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつ、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。」

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三つの重要事項が含まれている。


第一に、「全ての物品が交渉の対象とされること」が明記されたこと。


第二に、「TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」とされたこと。


第三に、「日本が「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになること」が確認されたこと。


安倍氏が繰り返し強調してきた


「聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉には参加しない」


との言葉は、日本の国益を踏まえたときに、どうしても例外的に扱わなければならないいくつかの重要品目があることを踏まえたものである。


2006年12月の衆参両院農林水産委員会は、日豪EPAに関して、


コメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖


などの重要品目を例外・再協議扱いするよう求める決議を全会一致で成立させている。


「聖域なき関税撤廃を前提とする場合には交渉に参加しない」との公約は、言い換えれば、少なくとも上記5品目については例外とすることを獲得できなければ、交渉には参加しないとの意味と受け取れるものである。

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日米首脳会談で明らかになったことは、


「すべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」


というものである。


つまり、あらかじめ約束することは求められないが、結果としてすべての関税が撤廃されることを否定するものとはなっていない。


「あらかじめ約束することを求められない」
ということだけでTPP交渉に参加して、結果としては、

「あらかじめ約束させられるということはなかったが、結果としてはすべての関税を撤廃することになった」
などというのではお話にならない。


国民をペテンにかける行為である。

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重要なことが三つある。


第一は、交渉内容が日本の国益にかなわない場合には、いつでも、いかなるペナルティーを負うことなく、TPPに参加しないことを決定できる裁量権を日本政府が完全に保持すること。


第二は、例外品目については、最低でも


コメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖


の五品目については、完全撤廃の対象としないことを獲得すること。


第三は、関税問題以外に自民党が総選挙公約で掲げた5項目(関税問題を含めると6項目)を確実に守り抜くこと。


これが、日本がTPP交渉に参加するための最低条件である。


気になるのは、上記の第三の重要事項だ。


「日本が「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになること」を確認したというが、これが、「交渉に参加する場合には協定に参加することがそのまま予定される」ことを意味するなら重大な問題だ。

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自民党が選挙の際に国民に提示した公約は、「聖域なき関税撤廃を受け入れない」ことだけではない。6項目の公約を提示している。


これを守らねばならないことは言うまでもない。

安倍自民党が総選挙に際して掲げた「TPPに関する6項目」とは次のものだ。


(1)「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対。


(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。


(3)国民皆保険制度を守る。


(4)食の安全安心の基準を守る。


(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。


(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。


日本がTPP参加交渉に入る場合には、主権者国民とのこれらの契約を守りきることができない場合には、TPPそのものに参加しないことを明確にすることが最低限必要である。


安倍氏が帰国後、国会でこの点を確認する必要がある。


この点に明確な回答がない限り、TPP交渉への参加は日本国民が許さない。

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