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2013年2月14日 (木)

憲法第96条改正先行論による「憲法改悪の罠」

今年のおそらく7月21日に参議院選挙がある。


この選挙は日本の運命を分かつ選挙になる。


最大の争点は憲法改正だ。


参議院で自民党の憲法改正草案に賛成する勢力が3分の2を占有すると、必ず憲法改正が実施される。


憲法改正には最終的に国民投票が必要になるが、投票総数の過半数の賛成があれば憲法は改正される。


安倍晋三氏はまず憲法第96条の改正を行うことを呼び掛けているが、この言葉を鵜呑みにできない。


憲法第96条は憲法改正の発議の要件を定めている。


憲法第96条の条文はこれだ。


第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

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現行憲法では、衆参の両院において、3分の2以上の賛成が得られないと憲法改正を発議できない。


安倍氏の提案はこのハードルを下げようとするものだ。


衆参両院で同じ考えを示す政治勢力が3分の2以上を占めることは、これまで考えにくかった。


そうなると、いつまでたっても憲法を改正できない。


そこで、このルールをまず変えて、憲法改正を発議するためのハードルを低くしようと考えたのだろう。


憲法の中身を変えるということではなしに、憲法改正発議の要件を下げるだけなら賛成する政治勢力は多いのではないかとの判断があるのだと思われる。しかし、この考え方は根本的な矛盾を含む。


なぜなら、このルールを変えようとするのは、あくまでも憲法そのものを変えるためである。ルールだけ変えて憲法を変えないというなら、そもそもルールを変える必要がない。


つまり、ルールを変えるのは、憲法を変えたいためで、そうなると、ルールを変えることに対して賛成するかどうかは、その先にある憲法改正についての賛否と表裏一体ということになる。

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結局、衆参両院で憲法改正に賛成する勢力が3分の2以上揃わなければ、96条も他の条文も改正することは難しい。


結局、憲法96条を改正するには、衆参両院の改憲派が3分の2以上揃うことが必要になるわけだ。


もしこの条件が整って、憲法96条を改正できる環境が整ったときに、本当に憲法96条の改正に向かうだろうか。


私はその可能性は限りなくゼロに近いと思う。


なぜなら、その条件が整ったときには、憲法96条の改正ではなく、憲法そのものの改正に向かう可能性が高まるからだ。


そして、もし、憲法本体の改正が実現するとの見通しが立ったとしよう。


そのときに、なお、憲法96条を変えるとの意向が残存するだろうか。


私は残存しないと思う。


なぜなら、この高いハードルを超えて憲法改正にたどり着くことができたのなら、その改正した憲法が再改正されてしまうハードルを改憲した勢力がわざわざ引下げることをするとは思えないからだ。


心情としてはむしろ、憲法改正のハードルをさらに高くしようと考えるだろう。

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回りくどい言い方になったが、憲法改正勢力が「まずは96条の改正」と唱えているのは、一種の「罠」だと思う。


憲法改正論議を本格化させないために、96条論議が持ち出されているのだと思う。


96条の改正という話を前面に掲げておく以上、改憲論議がヒートアップすることが避けられると改憲勢力が考えているのだ。


国民の側も96条の改正であれば目くじらを立てる必要もないと、思わず考えてしまうかも知れない。


このような「油断」を生み出して、その間隙を縫って、一気に改憲派が参議院3分の2を占有する状況を作りだそうとしているのだ。


この状況が生まれてしまえば、勝負はついてしまう。


もちろん、96条は温存して、憲法本体の改正に突き進む。


そして、日本の「国のかたち」が書き換えられてしまう。

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これが、いま日本が直面する最大のリスクである。


空恐ろしいことが現実化する危険が生まれている。


だから、7月21日の参院選では、絶対に現行憲法の基本精神を守る勢力が参議院3分の1を占有しなければならない。

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