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2013年2月 8日 (金)

国会同意人事ルール違反ゴリ押しする「読売」の愚

公正取引委員会委員長の後任人事決定が紛糾している。


安倍政権は2月8日午前、衆参両院の議院運営委員会理事会に、14機関41人の国会同意人事案を提示した。


このうち公正取引委員会委員長に元財務事務次官の杉本和行みずほ総合研究所理事長を充てる人事案が事前に一部メディアで報じられた。


同意人事案については2007年、政府案が事前に報道された場合、国会は提示を受けつけないというルールが決められた。


今回、このルールの見直しが検討されたが、ルールは変えられずに維持されることになった。


そのなかで今回、人事案が事前に外部に流出した。


したがって、国会がこの提案を受け付けないとすることはルールに則ったものである。


民主党は今回の人事案提示が国会の議院運営委員会が決めたルールに反するために、人事案提示に反発しているが、これは順当な対応である。


このルールに則った適正な民主党の対応に、早速、御用メディア=堕落メディアが筋違いの御用報道を展開している。


尖閣諸島問題で1979年には社説で「棚上げ合意は間違いなく存在する」と記述しながら、いまになって同じ社説に「領土問題は存在しない」と記述する、「日本びっくり新聞」の別名を持つ読売新聞は次の社説を掲げた。


「国会同意人事 事前報道で拒む参院民主の愚」

28日付・読売社説)


さすがは読売新聞である。権力べったりの、「御用報道機関の鑑(かがみ)」との賞賛の声が広がりそうだ。

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問題の本質は政府情報が外部に漏えいされたことだけにあるのではない。


しかし、外部に漏らしはならないとされている情報が、現実に外部に漏れているという「事実」自体は重大だ。


政府の情報管理体制の杜撰(ずさん)さを物語る証左である。


これは、権力と情報機関の「癒着」の一端を示すものだ。


報道機関が競い合う「スクープ」報道。


報道機関の記者は他社に先駆けて新しい重要情報を入手しようとしのぎを削る。


逆に政府関係者は報道機関が欲する「(報道)価値のある」情報を保持している。


しかしこの情報は「私的な財」ではない。「公共の財」であり、守秘義務を課されたものである。

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ところが、この「公共の財」を、私腹を肥やすために使う人物が表れる。


極秘情報を持つ政府関係者が報道関係者にこの情報を提供する。


直接金品を受け取れば「贈収賄」にさえ問われかねないが、直接的に金品を授受せずに、いわば、「貸し、借り」で私的にこの財を活用する者も出てくる。


私が現場を目撃した事例をひとつ上げれば、竹中平蔵氏がテレビ東京の関係者に、「東京でITサミットを開く」との情報を提供した。テレビ東京は早速、翌日、「スクープ報道」として、この情報をトップニュースで報じた。


結局、この案は竹中氏のひとりよがりの構想、独り言のようなものであったために実現もせず、スクープ報道も誤報になってしまったのだが、このような事例が存在するわけだ。


「公務員の守秘義務」が公務員法に定められているにも関わらず、この法律違反に対するチェックがまったく実施されていない。


こうした公的情報の提供が私的利益に還元されているケースが多々存在することを重視しておく必要がある。

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話が横道にそれたが、今回の同意人事案で問題になるのは、情報漏えいの問題だけでない。


官僚の天下り構造の問題が大きく横たわっているのである。


霞が関官庁のなかで突出した権力を保持しているのは財務省と法務省である。


人間の根源、基本的人権、尊厳に対する強制権力を保持しているのが法務省である。検察がターゲットを定めて特定の個人を攻撃することも行われていると見られる昨今の現状である。この意味で法務省は突出した権力を有する巨大権力官庁である。


もうひとつの権力官庁が財務省だ。財金分離で金融庁が切り離されたものの、人事を通じて両者は一体の存在になっている。局長ポストの合計数は増加したため、明らかな「焼け太り」のケースである。


この財務省に国家権力の多くが集中している。


経済政策を立案する権力、予算を編成する権力、税制を決定する権力、国家財産を管理する権力、為替政策を決定する権力、銀行、証券、保険業界を支配する権力、これらが財務省に集中している。


そして、警察と並んで強制調査権限を持ち、刑事告発権を持つ国税庁を傘下に有する。


そして、この財務省が人事を通じて他の省庁までをも支配している。


内閣府、防衛省、環境省、公正取引委員会、内閣法制局、総務省、人事院の重要部署を財務省が押さえている。


このなかで、公正取引委員会は最重要の機関のひとつである。


公正取引委員会にも国税庁同様に強制調査権と刑事告発権が付与されている。


企業にとっての一種の警察組織が国税と公取なのだ。


この二つの機関を財務省が握っていることの意味は法外に大きい。

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新聞社が御用報道にいそしむ原因のひとつに再販価格維持制度がある。


新聞の販売価格は自由化されていない。


自由経済の例外として新聞が取り扱われている。


つまり、新聞社の経営は公正取引委員会による新聞の再販価格維持制度によって支えられていると言って過言でない。


また、新聞社は消費税の増税が進む際に、新聞を非課税品目に指定することを要望している。


この決定権も実質的に財務省に付与されている。

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この公正取引委員会委員長ポストが財務省天下り指定席ポストになっていることが問題なのだ。


いわゆる「シロアリ退治」と密接に関わる問題なのだ。


したがって、情報漏えいの問題とは別に、財務事務次官OBの公正取引委員会委員長への天下り人事案は否定されるべきである。

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