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2013年2月12日 (火)

すべての汚れを覆い隠す株価上昇は雪景色の如し

全有権者の16%の得票しか得ていない自民党政権ではあるが、経済状況が全体として改善傾向を示すと政治的基盤は強くなるのが常である。


内閣支持率の上昇を伝える報道が散見されるが、直接的な背景は、円安と株高の動きである。


11月14日に野田佳彦氏が衆院解散を宣言したのと同時に金融市場の流れが転換した。


政権交代=金融緩和政策強制=円安=株高の予想が市場に広がったからである。


私は昨年の10月29日号『金利・為替・株価特報』に、この変化を予測して記述した。


したがって、11月14日以降の市場変動は予測通りのものである。


そして、この流れは当面持続する可能性が高いと判断してきている。


これが、安倍政権に対しては最大のフォローの風になる。


政権が良くも悪くも、国民にとっては「生活が第一」、経済動向の変化は最重要のファクターなのである。

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1980年代以降の歴代政権のなかで、経済状況がフォローの風となった政権が三つある。


82年から87年在任の中曽根康弘政権、


98年から2000年在任の小渕恵三政権、


2001年から06年在任の小泉純一郎政権、


の三つだ。


中曽根政権は日本経済がバブル経済に移行する局面で政権を担った。


中曽根政権は「増税なき財政再建」の目標を掲げたが、日本経済がバブル経済に移行したため、この目標は実現されることになった。


政権が長期化した最大の理由は、日本経済が円高・金利低下・資産価格上昇という特殊なメカニズムを背景に急拡大したことにある。

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90年代に入り、日本経済はバブル崩壊の局面に移行した。


日本経済は低迷を続けたが、何度か浮上のチャンスはあった。


しかし、経済が浮上すると拙速な緊縮経済政策が採用されたために、経済の好転を維持することができなかった。


経済が急激に落ち込むと景気浮揚策が取られたが、経済が小幅浮上すると緊縮策が採用され、日本経済は一進一退の推移を続け、長期停滞から抜け出すことができなかったのである。


このなかで、唯一、明確な政策方針で政策運営にあたり、成果を示したのが小渕政権である。


小渕政権は、財政政策・金融政策・金融不安対策を三位一体の政策として提示し、日本経済を窮地から救出することに成功した。


しかし、経済が浮上した時点で小渕首相が脳梗塞で倒れ、経済再生優先の政策は維持されなかった。

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経済政策として最悪の運営を示したのが小泉政権であった。小泉政権は「改革なくして成長なし」のフレーズを掲げて、超緊縮財政政策運営に突き進んだ。


その結果、小泉政権は政権発足後の2年間で株価を半値に暴落させ、日本経済を失業、倒産、経済苦自死の無間(むげん)地獄に突き落とした。


小渕政権が取り戻した小康状態を破壊して金融恐慌の淵にまで日本経済を追い込んだのである。


この責任を問われて小泉政権は退場させられるべきであったが、マスメディアが小泉政権を全面支援した。その最大の理由は小泉政権が完全なる対米隷属の政権であったからだと思われる。

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極めつけは、2003年のりそな銀行救済である。


竹中平蔵氏が「大銀行といえども大きすぎるから潰せないとの考えを取らない」と明示したことが株価暴落を誘発したのだが、この竹中氏が最後の局面で、法の抜け穴を使ってりそな銀行を救済した。


このシナリオは米国が用意して、竹中氏は米国の命令通りに動いたのだと推察される。この過程で国家ぐるみの「風説の流布」、「株価操縦」、「インサイダー取引」が実行された疑いが強い。


詳細は拙著『日本の独立』(飛鳥新社)をご高覧賜りたい。


金融恐慌を煽って株価を暴落させて、最後の局面で銀行を公的資金で救済する。


これで株価が反発しないわけがない。


2003年4月以降は、自律反発で株価が上昇し、経済が緩やかに改善した。


これが、2003年から2006年まで小泉政権が持続した背景である。


成績改善の姿を生み出すために、まず成績表をオール1にする戦術が取られたのである。普通は成績がオール1になったところで責任を取らされるが、メディアが大応援団となったために、責任追及が回避された。

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内実は多種多様だが、株価が上がり、経済が改善傾向を示すと政権は強くなる。


安倍政権はこの果実をいま手にしている。


本来は、2011年から2012年にかけて、民主党政権がこの果実を手にすることができた。


しかし、財務省路線にとっぷりと浸かった菅政権と野田政権がそのチャンスを放棄した。


その果実を安倍政権がいま、しっかりと刈り取っている。

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私がアベノミクスをアベノリスクだとする最大の理由は、この点にある。


つまり、安倍政権下で当面、経済が順調な足取りを示してしまうことが問題なのだ。

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