原発消費税TPPこれ以上重要な争点は存在せず
12月16日に投開票日を迎える第46回衆議院総選挙。
主権者国民は何を基準にして投票するべきか。
マスメディアは懸命に争点ぼかしを行っている。
「言論NPO」といういかがわしい団体の取りまとめを使って、民主、自民に投票誘導するテレビ局もある。
主権者国民が「景気・雇用」を重視しているとの調査結果を踏まえて、各党の景気対策・雇用対策を比較する流れが作られている。
しかし、「景気・雇用」を重視するなら、「消費税増税」問題を避けて通ることはできない。
「消費税増税」問題こそ、今回の総選挙後の日本経済を左右する主軸の問題であるからだ。
年額13.5兆円の超巨大消費税増税を実行して「景気・雇用」問題を重視するということ自体が、根本的な論理矛盾なのである。
「景気・雇用」問題とは、今回の総選挙に当てはめれば、まさに「消費税増税」問題そのものということになる。
今回の総選挙の意味をクリアにすることとは、総選挙の争点を
原発・消費税・TPP
に絞り込むことだ。
総選挙後の次の衆議院任期中に間違いなくこの三大問題について、最終結論が決まり、具体的に日本はその方向に進むことになる。
日本の歴史の分岐点と言って過言でない。
この重要決定を行うのが今回の総選挙である。
主権者国民がムードで選挙に応じることは、「こんなに怖いことはない」。
消費税増税の規模は13.5兆円。日本の2011年のGDPが468兆円だったから、GDP比で約3%の超巨大増税だ。
米国で2013年に警戒されている最大の経済問題は「財政の崖」だ。財政赤字縮小に向けての緊縮財政政策が米国経済を破壊してしまうという懸念である。
米国において警戒されている「財政の崖」がもたらす2013年の財政緊縮策の規模はGDP比約3%である。
この影響が大きすぎることが指摘され、いま、「財政の崖」圧縮の政策が検討されている。
日本経済は2012年春から景気後退局面に突入している。このなかで、2014、15年の超巨大増税を最終決定するなら、日本経済は2015年に向けて底割れを起こすことは間違いない。
日本の主権者が「景気と雇用」の問題を第一に重要視するなら、まずはこの巨大増税をいったん白紙に戻すことが必要なのである。
しかも、増税検討の前提条件であった「シロアリ退治」が何ひとつ行われていない。
財務省は国民に巨大増税の理解を求めようとするなら、まず、自分たちの利権を切ることを示すべきである。
江戸時代に米沢藩の財政再建に取り組んだ上杉鷹山は、民に大倹約令を示すにあたり、自らは木綿の衣服に一汁一菜の粗食を率先垂範して政策に取り組んだ。
財務省は天下りとわたりの利権削減には指一本触れさせない姿勢であり、野田佳彦氏は「天下りとわたりの根絶」を完全撤回してしまった。
福島第一原発の過酷放射能事故はいまも収束していない。福島を中心に、今後、健康被害がどのように広がるか、深い懸念が持続する。
原発は事故発生時の損害規模と使用済み燃料の最終処分まで計算に入れると、間違いなく最もコストの高い発電方式である。
国民の生命と健康のためにも、経済的なコスト抑制のためにも、原発は直ちに稼働ゼロに進むのが正しい判断である。
原発利用を推進する勢力は、基本的に魂をカネで売り渡している勢力である。
TPPの本当の問題が国民にまったく知らされていない。
日本がTPPに参加して発生するもっとも深刻な具体的問題が三つある。
第一は、日本の公的医療保険制度が破壊されることだ。
いまは、日本国民の誰でも、いつでも、どこでも良質な医療を受けることが保障されている。
ところが、日本がTPPに参加して医療の自由化が強制的に進められると、すべての国民が受けられる医療の質と量が大幅に引き下げられることになる可能性が極めて高い。
十分な医療は一部の富裕層しか受けられない状態が生まれる。
良質とされる日本の公的医療保険制度が破壊される。
第二の問題は、国民の生命と健康を守るための諸規制、諸制度が破壊されることだ。農産物の残留農薬規制、遺伝子組換え食品の表示義務、BSE対策、排ガス規制などの諸制度が破壊される。
外国資本の提訴によって、日本国民の損害賠償の支払い、日本の制度や規制の改変が海外の裁定機関によって強制されることになる。平成版の「許しがたい治外法権」が出現することになる。
第三の問題は、日本のコメ農業が破壊されることだ。
現在、コメには778%の高率関税が適用されている。例外的に一部の農産物については高率関税が設定されている。
と言っても、日本の市場が閉鎖的であるというわけではない。
全品目の関税率平均値、農産物の関税率平均値を見ると、日本の関税率は世界のなかでも極めて低い部類に入る。
しかし、例外的に一部の品目については、高率関税率が残されているのだ。
これは、世界のルールの中で認められているものである。
日本がTPPに参加すると確実に破壊されるのが日本のコメ農業である。
これを日本の主権者国民が認めるのかどうかが焦点になる。
コメ農業が破壊される弊害としては次の三つが代表であろう。
1.食料自給率が大幅に低下する
2.国土の荒廃が一気に進む
3.日本の文化・伝統・共同体が破壊される
いずれも無視できない深刻な問題だ。
結論として、日本は絶対にTPPに参加するべきでないということになる。
日本の主権者国民は、マスメディアの誘導に乗ってはならない。
そして、必ず投票所に足を運び、
「原発ゼロ、消費税増税阻止、TPP参加阻止」を確約する政党に清き一票を投じなければならない。
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