NHKが政党討論会をまったく実施しないワケ
NHK『日曜討論』が政党討論会をまったく行っていない。
11月4日放送では14党首に対する個別インタビューを放映した。
臨時国会が召集され、国会審議が本番を迎える局面でNHKが政党討論を行わないことは異例である。
昨週は臨時国会召集直前であったから、各党討論で国会での重要問題について討論するのが当然必要である。
今週は国会召集後、予算委員会開催などを前提に政党討論が行われる必要がある。
NHKはなぜ、こうした恣意的な番組制作を行うのか。
考えられる理由は二つだ。
ひとつは、現時点で政党討論を行えば、野田佳彦政権が厳しく追及されることが明白だからである。
田中慶秋前法相の辞任問題。暴力団との関係が追及される。
後任に起用された滝実氏は高齢を理由に職務を遂行できないために短期で交代された。その人物を法相に起用する理屈が立たない。
前原誠司氏の事務所費問題。安倍晋三内閣では、多くの閣僚が事務所費問題で辞任している。
そして「近いうちに信を問う」という約束。
「うそつき総理」という評価は定着しているが、一国の首相の行動として、単に「うそつきだから仕方がない」で済ませる問題ではない。
また、赤字国債発行根拠法が成立していない。
衆参ねじれの状況下では、政権与党は野党の考えを受け入れなければ一般の法案を可決、成立させることができない。
他方、赤字国債発行根拠法を成立させて予算執行に責任を持つべき存在は言うまでもなく政権与党である。
つまり、赤字国債発行根拠法の成立に責任を負うのは政権与党であることは言うまでもない。
この政権与党が赤字国債発行根拠法を成立させるには、与党が野党の意向を尊重する以外に道はない。それが政権与党の責任、責務である。
ところが、NHKは赤字国債発行根拠法が成立しない責任を野党側に押し付けるための「情報操作」を展開している。
全国知事会で政府が地方交付税の支払いを取りやめた問題が取り上げられ、批判が相次いだ。知事の声を紹介する際に、NHKは宮城県の村井嘉浩知事の言葉だけを紹介する。
「赤字国債発行法案を政争の具にするのはもってのほかだ」
という発言は、与党の主張をそのまま述べたもので、村井氏はあてがわれた「セリフ」を指示通りに語っているだけにすぎないのだと思われる。
震災・津波被害が広がって以降、被災地の声としてNHKが放送するのはほとんどが村井氏である。岩手県の達増拓也知事の声をほとんど放送しない。
このような「偏向」、「情報操作」が放置されている。
すべてを通じて言えることは、各党討論会を開催すれば、野田佳彦内閣に対する批判が沸騰し、野田内閣退陣要求が一気に拡大することが明白なのである。
NHKは解散・総選挙を先送りすることに加担しているのだ。
その最大の理由は消費税増税を白紙に戻さないことにある。
政府・財務省が裏で糸を引いている。
NHKの不正番組制作を国会が追及する必要がある。
第二の理由は、政党討論会を開催すると、日本維新などを出演させられないことだ。
次の総選挙で主権者国民の大きな支持を集めると予想されるのは「国民の生活が第一」である。政策を軸に選挙が行われる限り、この可能性が圧倒的に高い。
日本の既得権益=米・官・業・政・電はこの事態を恐れている。
そのために、人為的に、いわゆる「第三極」を盛り立てている。
「石原・みんな・維新」である。
ところが、政党討論会を開催する際、維新を出演させることができない。
なぜか。
それは、「新党きづな」が創設された際に、NHKが政党討論会への出席を拒絶したからである。
NHKは国政選挙を経ていない政党を出演させられないとの説明をして「新党きづな」の出演を拒否した。
この理屈自体がまったくおかしい。実際、その後に結党された「国民の生活が第一」には出演を認めているのである。
衆議院第三党の「国民の生活が第一」の出演を拒否すれば大問題になるから、これは認めた。しかし、「新党きづな」は陰で潰しても大きな問題にならないと判断して出演させなかったのだろう。
ところが、この理屈で言えば、「日本維新」を出演させることはできなくなる。
つまり、「日本維新」を出演させることができないから政党討論会をまったく開催しなくなっていると考えられるのだ。
NHKはもはや末期状態にある。「日本偏向協会」を超えて「日本不正協会」と呼ぶべき段階に達している。
国会でNHK経営者を参考人として招致してこの問題を追及するべきである。
続きは本日の
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