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2012年11月 1日 (木)

日銀を批判する財務省がデフレ長期化の真犯人だ

昨日10月31日、「弁護士の連帯を強める埼玉の会」が主催する講演会が埼玉県さいたま市にある「さいたま共済会館」で開催された。


急遽二倍に拡大した講演会場が参集くださった市民の皆様で満席になり、熱心に拙話をご傾聴くださった。心から感謝申し上げたい。


演題は「消費税問題とこの国のかたち」


1時間45分の講演ののち、15分間の質疑応答が行われた。


「市民じゃ~なる」さまが講演録を作成くださるとのことなので、その節には改めて紹介させていただきたい。

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メルマガには昨日記述した内容であるが、日銀による追加金融緩和措置についての私見を提示しておきたい。


10月30日の日銀政策決定会合で、日銀は2ヵ月連続の金融緩和措置を決めた。


そして、政府と共同文書を発表した。


1951年3月に米国の財務省とFRBとの間で形成された「アコード」を意識した政策合意の発表である。


政府と日銀が「一体となって早期のデフレ脱却に最大限の努力を払う」ことなどを盛り込んだ共同文書を発表したのである。


しかし、政府と日銀による理解には微妙な差がある。


政府は日銀と金融政策の方向について「合意」を取り結んだとのニュアンスで共同発表を捉えている。


しかし、日銀は、あくまでも政策決定の権限は日銀にあり、政府と協調して共同文書を発表しただけで、日銀の行動が政府によって制約されるものではないとの立場を取っている。


客観的に日本の中央銀行制度の法令を踏まえれば、日銀の理解、解釈が正しい。政府が金融政策決定に統制力を強めようとすることは間違っている。

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現在の日本銀行法には金融政策運営に関する政府と日銀の関係について、いくつか重要な定が置かれている。


(日本銀行の自主性の尊重及び透明性の確保)
第三条  日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。


(政府との関係)
第四条  日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。


(政府からの出席等)
第十九条  財務大臣又は内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第十九条第二項 に規定する経済財政政策担当大臣(経済財政政策担当大臣が置かれていないときは、内閣総理大臣。次項において「経済財政政策担当大臣」という。)は、必要に応じ、金融調節事項を議事とする会議に出席して意見を述べ、又はそれぞれの指名するその職員を当該会議に出席させて意見を述べさせることができる。


2  金融調節事項を議事とする会議に出席した財務大臣又はその指名する財務省の職員及び経済財政政策担当大臣又はその指名する内閣府の職員は、当該会議において、金融調節事項に関する議案を提出し、又は当該会議で議事とされた金融調節事項についての委員会の議決を次回の金融調節事項を議事とする会議まで延期することを求めることができる。


3  前項の規定による議決の延期の求めがあったときは、委員会は、議事の議決の例により、その求めについての採否を決定しなければならない。

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読みにくい法令を転載して恐縮だが、金融政策運営において政府と中央銀行の関係をどのようにするかは極めて重要な問題である。


中央銀行と政府の関係という問題は古くて新しい問題だ。


政府および財政当局は政府による日銀支配を強く求める。


日銀の政策を政府の指揮下に置くことを求める傾向が強い。


財政資金の不足を中央銀行資金で自由に賄えることができるからだ。


これに対して、日銀は政府からの独立性を強く主張する。


民主主義を基本に置くと、建て前の上で、民意を反映する政府の支配下に中央銀行を置くことが正しいと思われるかも知れない。


しかし、歴史の事実をひも解くと、これが大きな災厄の原因になったことが分かる。


政府が中央銀行を支配下に置いて、中央銀行に政府が必要とする資金を無尽蔵に供給させ、結果として激しいインフレを引き起こした事実が存在する。


激しいインフレが起こると、借金は事実上棒引きされ、他方、預金は紙くずとなる。債務者が利得を得て債権者が損失を蒙る。


これは経済的な大きな「不公正」であり、このことから、「通貨価値の安定」が重要視されるようになった。


そして、通貨価値の安定を図るためには、中央銀行を政府から独立させることが重要であるとの判断が形成されたのである。


世界でもっとも深刻なインフレ問題を引き起こしたドイツで、もっとも強くこの中央銀行の独立性の重要性が意識された。

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日本では戦後の長きにわたって、戦時下の日銀法がそのまま温存された。


大蔵省が日銀法の改正を妨害してきたのである。


それが、ついに1997年に改正された。そのときの条文が上記のものだ。


要点は、


1.「通貨及び金融の調節」という金融政策の運営については、日本銀行の自主性が「尊重されなければならない」とされた。


ただし、


2.金融政策の運営に際して日銀は、「常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」とされた。


3.財務大臣又は経済財政政策担当大臣は、日銀の金融政策決定会合に出席して意見を述べ、金融調節事項に関する議案を提出し、金融政策決定会合の議決を次回会合まで延期することを求めることができる、とされた。


分かりにくいと思われるので解説する。


この条文を正確に読むと、金融政策の決定権限は日銀に付与されている。


ただし、日銀は政府と緊密に連絡を取り、政府の政策と整合的に動くことが義務付けられ、政府は日銀に対して意見を述べることができるとされた。


つまり、金融政策決定の権限は日銀にあり、政府は意見を述べることができる、とされているのだ。

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現在のデフレの責任を日銀に押し付けることは間違っている。


日銀の白川方明総裁はこれまで、十分にその職責を果たしてきた。


白川氏を上回る総合能力を有する人材を見出すことは容易でない。


日本円を暴落させて責任を問われるなら分かるが、日本円が堅調に推移してきたことで中央銀行総裁が批判されること自体がナンセンスである。


デフレ長期化の最大の元凶は財務省であって、白川総裁は財務省の責任を転嫁されている典型的なスケープゴートである。


財務省が日銀批判を強めている狙いは以下の三つだ。


1.日銀に際限のない金融緩和政策を強制し、2014年、15年の巨大増税を強行することが最重要課題。そのために、日銀を蹂躙する。


2.日銀総裁ポストを獲得する。この目的のために、白川総裁批判を全面的に展開している。大半の御用学者・御用言論人が利用されている。


3.究極の目標はハイパーインフレを引き起こすことだ。ハイパーインフレで政府債務は帳消しにすることを狙っている。


このような長期的視点で金融政策のあり方を検討しないと、大きな禍根を残すことになる。

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