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2012年10月22日 (月)

PC誤認逮捕で露見の警察検察暴走は氷山の一角

他人のパソコンの遠隔操作事件で、警察が逮捕し、検察が起訴などを行い、有罪事案等で処理されていた四人の男性は全員が無実だった。

東京新聞は10月20日付社説に

「PC誤認逮捕 ずさん捜査の結果だ」

のタイトルを付けて警察批判論説を掲載したが、このタイトルは必ずしも問題の本質を衝いていない。

「ずさん」も事実だから間違いではないが、問題の本質は捜査がずさんだったことにあるのではない。

現行の捜査手法のなかに、いくらでも「冤罪」を生み出す「装置」が内在されていることだ。

この問題でまず問われねばならないことは、無実の人間の「自白調書」がなぜ存在しているのかという点にある。

罪を犯していないのに、被疑者が率先して「罪を犯した」と供述することはあり得ない。

「罪を犯していない」ことが明かであり、自発的に「罪を犯した」と供述する理由が存在しないのに、「罪を犯した」とする「供述」調書が存在するということは、この「供述調書」には、何らかの人為的な力が加えられていたことになる。

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警察、検察には、うその自白調書を被疑者に作成させるための「武器」が無尽蔵に存在する。

第一の武器は、被疑者を不当に長期勾留する権限だ。

普通の人は「逮捕」ということすら経験がない。

「認めろ。認めなければ逮捕する。」

との「脅迫」が、うその自白調書を生み出す最大の原動力になる。

「認めればすぐに釈放する。認めなければ逮捕して長期勾留する。」

との「取引」が提示される場合、普通の市民が「うその供述調書」作成に応じてしまう可能性は決して低くない。

しかも警察は必ずこのように述べる。

「認めればすぐに釈放し、どこにも公開しない。

認めなければ逮捕、勾留して、長期間外に出られないようにする。マスコミにも公表する。」

この「取引」が提示されれば、市民がこの「取引」に応じてしまう可能性は決して低くない。

まして、事案が「痴漢事案」のような破廉恥罪の場合、マスコミ公表による損失は計り知れない。

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どこに問題があるのかと言えば、警察、検察の捜査の手法が、真実を明らかにして、法令の適正な運用を実現することに目的を置いているものではなく、警察、検察が身柄を確保した「被疑者」を罪人にしてしまうことに目的が置かれている点にある。

刑事訴訟法第一条には次の条文が置かれている。

第一条  この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。

この条文にある

「個人の基本的人権の保障」、

「事案の真相を明らかにし」

という部分が無視されている。

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「冤罪」はこの世に存在する最大の人権侵害である。

基本的人権を保障するには、まず、冤罪の発生を絶対に回避しなければならない。

その考え方を表わすものが「無辜の不処罰」の原則だ。

「無辜」とは「むこ」と読む。

「罪のないこと、無実」である。

「無辜の不処罰」の原則は、

「10人の真犯人を逃しても一人の無辜を処罰するなかれ」

の言葉で表現される。

「たとえ10人の真犯人を逃すことになっても、一人であっても、決して無実の人間を処罰してはならない」

という考え方だ。

ところが現実にはどうか。

今回露見した遠隔操作事件では、4人全員が無実であったのに、4人全員を警察、検察は「犯人」として処理していたのである。

これは偶然ではない。これが警察捜査、検察捜査の「実態」なのだ。

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この現状が存在するという裏側に、実はさらに恐ろしい現実が存在する。

それは、国家権力が特定のターゲットを犯罪人に仕立て上げることが、極めて容易であるということだ。

ターゲットを警察の領域に引きずり込むことにさえ成功すれば、市民を犯罪人に仕立て上げることは朝飯前と言ってもよい。

警察には、

市民を「逮捕する」権限、

市民を「勾留する」権限

事案を「勝手にメディアに横流しする」権限

がある。これが警察、検察が保持する、犯人捏造のための「強力な武器」なのである。

そして、市民が無実の主張を貫いても、警察、検察は、容易にこの無辜の市民を犯罪者に仕立て上げることができる。

市民が日本国憲法や刑事訴訟法の細目についての正確な知識を持っていればある程度の防御ができる。

しかし、突然警察に連行される市民は、通常、このような予備知識を持たない。これも警察、検察の無法行為を助長する。

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他方、警察、検察は日本国憲法、刑事訴訟法が定める規則を遵守しない。

DUE PROCESS OF LAW という言葉がある。法律の適正手続きである。この「法律の適正手続きの遵守」の規定を警察、検察は完全に無視している。そして、裁判所がこの不法を放置している。

もっとも根源的な基本的人権であるところの身体の自由を制限することになる刑事訴訟手続きの運用においては、憲法や法律の規定が厳格に遵守される必要があるが、日本においては、この点がまったく認識されていない。

まさに「ずさんな」運用が放置されている。

例えば、市民を逮捕するためには明確な要件と、厳格な手続きを経ることが必要不可欠だが、現実には、驚くべきずさんな運用が行われている。

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