さすがゴミ売り新聞と呼ばれるだけのモノがある
さすがは「ゴミ売り新聞」と揶揄されるだけのことはある。
読売新聞は10月11日朝刊一面トップで「iPS心筋を移植」「初の臨床応用」との見出しを付けて、米ハーバード大客員講師の森口尚史氏らがiPS細胞を使った世界初の臨床応用を本年2月に実施していたと報道した。
読売としては「スクープ報道」のつもりだったのだろう。
ところが、これが事実無根の誤報であることが判明した。
さすがは読売新聞である。
一段とその迷声を高めることは間違いない。
読売新聞は10月13日付朝刊1面で「森口氏の説明は虚偽で、それに基づいた一連の記事は誤報」などとし「おわび」を掲載した。
ネット上でも社会欄に、
の記事が掲載されているが、これですら、あらかじめ記事の存在を知ったものが社会欄に掲載されている多数の記事を丹念に読み拾わなければ探し出すことができない。
記事の書き出しは以下のものだ。
「iPS細胞から心筋細胞を作り、重症の心臓病患者に移植したという森口尚史(ひさし)氏(48)の研究成果に疑義が生じている問題で、同氏の論文の「共同執筆者」とされる大学講師が論文の執筆に全く関与していなかったことが12日、読売新聞の調べで明らかになった。
同氏の研究成果については、米ハーバード大の当局者や複数の専門家も真実性を否定していることから、読売新聞は同日、同氏の説明は虚偽で、それに基づいた一連の記事は誤報と判断した。」
これを「お詫びの文章」と受け取る読者は皆無だろう。
むしろ、読売新聞の調査により、iPS細胞を活用した世界初の臨床応用実施の報道が事実無根であったことが明らかになったとして、調査力をアピールしているようにしか見えない。
「お詫び」にあたるものは、この記事の最下部、しかも、本文とはかなり距離を空けて、
「YOLに掲載されたiPS心筋移植に関連する記事に誤りがありました。おわびします。」
とあるだけだ。
新聞の文章には一定の型がある。頭括型である。つまり、本文前の要約、あるいは、文章の冒頭に主文を置いて、全体の内容を伝える。そのうえで、詳細の説明を行う。
「世紀の大誤報」を実行して、そのお詫びを読者に伝えたいなら、文章の前、あるいは文章の冒頭に、誤報を行った事実認識とそのことに対するお詫び、さらに、誤りを繰り返さない意思を表示するのが当然だ。
それをまったく行っていない。
しかも、サイトのトップページに「誤報」も「お詫び」も出て来ないのである。
一面トップ記事として報道したものが完全なる誤報だったのだから、サイトのトップに大見出しで「誤報とお詫び」を表示して、誤報を読んでしまった読者に注意を喚起するのは当然だ。
このような行動を取っているから「ゴミ売り新聞」と揶揄されてしまう。
それを意識して適正な報道を意図して行っていないのなら、見上げた根性である。
尖閣問題について、読売新聞は10月3日朝刊に次の社説を掲載した。
その中核部分を以下に紹介する。
「尖閣諸島に関して不当な主張を展開する中国の攻勢が激しい。
政府は、日本の領有権の正当性を国際社会に訴えて対抗すべきだ。
野田内閣は改造に合わせ、「離島を含む領土・領海を守る責務を国際法に則(のっと)って果たす」との基本方針を閣議決定した。尖閣諸島が日本固有の領土であることを一層アピールしなければならない。
(中略)
中国が、監視船を尖閣諸島周辺海域に送り込んで示威行動を続けるだけでなく、「情報戦」にも力を入れているからだ。例えば、尖閣諸島は「中国のものだ」との広告を米主要紙に掲載するなど、欧米での宣伝工作に乗り出した。
政府は尖閣諸島について、国際法上、日本の領有権は確立し、実効支配もしていることから、「領土問題は一切存在しない」との立場を一貫して取っている。
無論、その立場は堅持すべきだが、超然と構えるだけでは中国の言い分が広がりかねない。
(中略)
中国は日本に対し、領土問題の存在を認め、「対話を通した問題解決」をするよう迫っている。
日中関係改善のための協議は大切だが、主権に関する日本の立場が揺らいではならない。」
同じ読売新聞が尖閣問題について、別の社説を掲載した。
1979年5月31日付朝刊掲載の社説だ。
同じく、中核部分を紹介する。
タイトルは
である。
「日本が尖閣諸島の魚釣島で進めいている開発調査に対し、中国外務省が公式に遺憾の意を表明するとともに、善処を求めてきた。
この遺憾表明は口頭で行われ「日本の“行為”は法的価値を持つとは認めない」と中国側の立場を明確にしながらも、厳しい抗議の姿勢ではなく、繰り返し大局的な配慮を要望したという。事をあら立てまいとする中国の姿勢がうかがわれるが、わが国としてもこの問題を日中の“紛争のタネ”に発展させないよう慎重な対処が必要だろう。
尖閣諸島の領有権問題は、一九七二年の国交正常化の時も、昨年夏の二中平和友好条約の調印の際にも問題になったが、いわゆる「触れないでおこう」方式で処理されてきた。つまり、日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が“存在”することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた。
それは共同声明や条約上の文書にはなっていないが、政府対政府のれっきとした“約束ごと”であることは間違いない。約束した以上は、これを順守するのが筋道である。鄧小平首相は、日中条約の批准書交換のため来日した際にも、尖閣諸島は「後の世代の知恵にゆだねよう」と言った。日本としても、領有権をあくまで主張しながら、時間をかけてじっくり中国の理解と承認を求めて行く姿勢が必要だと思う。
(中略)
園田外相は「中国が黙っているのは友情であり、わが国は刺激的、宣伝的な行動を慎むべきだ」と国会で答弁した。
(中略)
尖閣諸島の周辺海域では、いずれ遠くない時期に海底資源を調査開発しなければならなくなる。“小さな岩”で争うよりも、こうした遠大な事業で日中両国が協力する方向に、双方のふん囲気を高めて行くことが大事だ。もしこれが成功すれば、とかくこじれがちな領土紛争に、よき解決の先例を国際的にもつくることになる。」
「名は体を表す」の言葉もある。読売新聞はいっそのこと名称を「ゴミ売り新聞」に変えてはどうだろうか。
続きは本日の
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