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2012年10月11日 (木)

日銀総裁ポスト奪還目的野田政権延命図る財務省

日本経済の停滞が続いている。


2011年の日本の名目GDP468.4兆円は1991年の469.4兆円を下回った。


20年間、日本経済は成長がゼロなのである。


名目GDPが減少しているということは、文字通り、日本経済の規模が丸20年間まったく拡大しなかったことを意味する。


20年前に日本の5分の1であった中国経済に2010年、ついに追い抜かれた。


「失われた20年」は言葉だけの現象ではない。現実に、日本経済は80年代後半のバブル経済を経たのち、超停滞の20年間を経過したのだ。


この経済停滞は実質的な経済活動がまったく成長しなかったことと、この間の物価上昇率がゼロであったこととによってもたらされたものである。


この経済停滞は「デフレ」と呼ばれることが多いが、「デフレ」の第一義は「物価下落」であって、日本経済の現実を正確に表現するものではない。


現実の日本経済は「経済停滞」と「物価停滞」の複合物である。

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「デフレ」の言葉が使われるようになったのにはわけがある。


発信元は財務省である。


財務省がある意図をもって「デフレ」の表現が流布されてきた。


その意図とは、経済停滞の核心が「物価下落」にあることを強調することである。


その狙いは、経済停滞の責任を日本銀行に押し付け、経済停滞に対応する政策対応の責任を日本銀行に押し付けるというものだ。

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この策謀を背景に、国会や在野においても、日銀による金融緩和政策積極化を求める論調が強い。


日銀審議委員人事においても、金融緩和政策に消極的な人物が就任を排除されてもいる。


しかし、結論を述べれば、この判断は正しくない。


金融政策は短期金利をゼロにまで低下させて以降は、その効力を失うのである。一般的にこの現象を「流動性のわな」と表現する。


金利をゼロに誘導して、なお、量的金融緩和を実施することは、政策スタンスが与える心理的影響、すなわち「シグナル効果」以外には大きな効果を発揮しない。


日本銀行は1999年9月21日に


「当面の金融政策運営に関する考え方」


と題する文書を発表した。


これが、量的金融緩和政策に対する日本銀行の基本的考え方を示したものである。


このなかで、日銀は量的金融緩和政策の効果を基本的に否定している。


それにもかかわらず、日本銀行が量的金融緩和政策を実施してきた理由は、政治的圧力に対する配慮にある。


政治の風圧によって中央銀行の独立性がはく奪されないため、日銀は演出を施してきたのである。

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さて、問題は日銀総裁人事である。


白川方明総裁は来年春に任期満了を迎える。


この日銀人事にもっとも強い関心を有しているのは財務省である。


財務省は財務省の天下り利権拡大を一貫して追求している。


財務省の天下りサンクチュアリにおいて、元来、日本銀行と東京証券取引所は特別な意味を有していた。


財務省天下りポストの東西正横綱格が日銀総裁と東京証券取引所理事長であった。


ところが、財務省職員への過剰接待問題で松下康夫日銀総裁が引責辞任して以降、財務省は日銀総裁ポストを失って現在に至っている。


他方、東証も民営化に伴い、旧理事長、現社長ポストを失った。


その後、財務省のポスト奪還運動が拡大し、東証においては、自己規制機関の理事長ポストを財務省は奪還したのだ。

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2008年の日銀幹部人事で財務省は日銀総裁ポスト奪還に全力を注いだが、民主党の反対に直面してこれに失敗した。


財務省は次善の策として渡辺博史元財務官の副総裁就任を目指したが、最終的にこれも失敗に終わった。


2013年人事では財務次官経験者である武藤敏郎元副総裁の総裁就任、もしくは、勝栄二郎元財務次官の副総裁就任を目指している。


勝氏の副総裁就任は5年後の総裁就任を目指すものである。


官僚の天下り利権の根絶が叫ばれながら、財務省はいまなお、天下り利権の拡大に全精力を注いでいるのだ。




結論を示すなら、最適な人事は白川総裁の再任である。

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