松下忠洋金融相急逝は本当に「自殺」によるものか
ジャーナリストの高橋清隆氏が松下忠洋金融相の死亡についてディープな取材記事を掲載された。
詳しくはこちらの記事をご参照賜りたい。
松下大臣の「自殺」、沈黙で深まる疑惑(上)
http://www.janjanblog.com/archives/80925
松下大臣の「自殺」、沈黙で深まる疑惑(中)
http://www.janjanblog.com/archives/80933
松下大臣の「自殺」、沈黙で深まる疑惑(下)
http://www.janjanblog.com/archives/80940
高橋清隆氏は本年6月にも新著
『亀井静香-最後の闘いだ-』(K&Kプレス)
http://goo.gl/MXg7n
を出版された、気鋭のジャーナリストである。
亀井静香氏が金融相在任中も、記者会見に完全密着して取材活動を続けられてきた。郵政民営化に関わる深い闇、巨大謀略を徹底して追跡してこられている。
私が巻き込まれた冤罪事件についても、当初から真相を究明する真摯な姿勢を示してこられた方である。
この高橋氏が松下金融相の「自殺」報道に疑念を示している。
大きな問題意識として、小泉政権が実現を目指してきた郵政民営化とは一体なにであったのか。日本を動かす海外の巨大な力は、郵政民営化を通じて、何を狙っているのか、という視点を持つことが必要不可欠である。
そもそも郵政民営化とは何であったか。
拙著『日本の独立』(飛鳥新社)をご参照いただきたいが、小泉純一郎氏が郵政民営化にこだわった背景が三つある。
第一は、小泉氏の優勢に対する個人的怨恨=ルサンチマンである。
小泉氏は1969年に総選挙に出馬して落選している。このとき郵政が小泉氏を支援しなかったという。その怨恨が郵政民営化の原動力であると伝えられている。
第二は、郵政民営化を米国が求めたことである。100兆円の簡保資金、250兆円の郵貯資金の支配権を米国は狙った。米国が小泉氏に指令して実行させたのが郵政民営化の核心である。
第三は、郵政民営化が銀行界の永年の悲願であったことだ。小泉純一郎氏はれっきとした大蔵族議員である。大蔵族議員にとって、銀行界はまさに飯の種である。銀行界は巨大な郵貯の存在が目障りで仕方がなかった。この銀行界の利益のために郵政民営化が挙行されたのである。
これが郵政民営化の基本構造であり、主権者国民の幸福という視点はどこにも存在しなかった。
日本国民の貴重な財産である郵貯・簡保マネーを、熨斗を付けて米国に上納するというのが郵政民営化であったにも拘らず、マスメディアが
郵政民営化=善
郵政民営化反対=悪
の構図で情報操作したため、多数の国民が間違った方向に誘導された。
自民党議員でこの誤りを指摘した者は除名され、刺客まで送り込まれた。
一種の集団ヒステリー現象、狂気に包まれた時代を私たちは経験した。
この小泉・竹中改革がもたらした悪事の氷山の一角が「かんぽの宿疑惑」で表面化した。また、2008年末の年越し派遣村は、弱肉強食奨励の小泉竹中政治の当然の帰結でもあった。
さて、松下忠洋氏の死亡問題に戻る。
高橋清隆氏は「自殺」の決定的証拠が示されていないことを指摘する。
記事は次の書き出しで始まる。
「10日に亡くなった松下忠洋郵政民営化・金融担当相を警察は「自殺」と断定している。説得力のある理由が見当たらず、警察は一切の情報提供をやめた。」
高橋氏は次のように続ける。
「松下大臣は10日午後5時前、東京・江東区東雲の自宅マンションで首をつっているのを上京していた妻が見つけ、病院に搬送後死亡が確認されたと伝えられる。しかし、説明がつかない点があまりに多い。
まず、動機が見当たらない。春に前立腺がんの手術を受けて回復し、体調も良かった。6月には大臣に就任し、郵政改革や金融規制の強化に取り組んでいた。8、9日には地元・鹿児島に帰り、大臣就任を祝う会合に出席。次期衆院選のポスター作りなどについて地元後援者と笑顔で話していたという。
7日には通常国会が閉会し、野田首相が院内の各会派をあいさつに回った。冒頭の国民新党職員は「特に変わった様子はなかった。部屋に入ってきた首相をもてなし、元気な表情を見せていた」と振り返る。」
週刊新潮が女性スキャンダルを記事にしたが、その内容は現職大臣を自殺に追い込むようなものとは見えない。
高橋氏は「自殺」報道の矛盾を指摘する。
NHKが10日18時20分に配信した初報は
「自宅で倒れているのが見つかり」
だったのが、23時49分には、
「首をつった状態で見つかり、病院に運ばれたが、死亡」
に修正されたというのだ。夕方のTBSテレビ速報は
「心不全」
だったという。
「11日1時16分配信の時事通信の記事は週刊誌の記事掲載について、「同署は関連を調べる」と記す。「同署」とは所管の警視庁湾岸署のこと。一方、11日10時30分ブルームバーグ配信の記事は「警視庁は自殺と断定し、捜査を打ち切った」とつづる。この間に捜査をやめる判断をしたのか。だとしたら、週刊誌は読めないはずだ。」
週刊誌の早刷り配布前に警察は捜査を打ち切ったというのだ。
高橋氏は2000年に日銀出身の日債銀本間忠世社長が大阪市内のホテルで「首つり自殺」した事件を連想させることを指摘する。本間氏の死亡も「自殺」で処理されたが、当時隣室に滞在中の女性歌手が、夜中に「隣の部屋が騒がしい」とホテル側にクレームをつけていたと伝えられている。
警察発表の「自殺」を鵜呑みにするのは早計であると思われる。
続きは本日の
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