日中紛争の拡大は米国が望んで創作されたもの
中国での反日運動が拡大して影響が広がり始めている。
日本経済にもじわじわと影響が広がるだろう。
領土問題はナショナリズム感情をもっとも刺激しやすいテーマである。
それを知ったうえで、人為的に摩擦を引き起こしたのは日本側であると言わざるを得ない。
日本が日本の国益を重視して行動することは当然である。
しかし、歴史的な経緯を背景に、国境問題で紛争が生じている場合、政府は極めて慎重かつ賢明な対応を示す必要がある。
ところが、日本のなかに、意図的に近隣諸国との摩擦を生み出そうとし、行動に移してきた人物が存在することを否定できない。
日本は1972年に中国と国交を正常化した。
その際、尖閣の領有権問題が障害になった。
日中政府は領有権問題を「棚上げ」する対応を示した。
日本政府としては、「領有権」問題で日本の主張が認められないなら国交を回復しないとの選択肢もあった。
しかし、国交を回復し、日中の友好関係を構築することが日本の国益に適うとの大局的な判断から、言わば「小異を残して大同につく」決断をした。
「棚上げ」とは、領有権問題の決着を先送りすることだ。現状で尖閣は日本の実効支配下にある。
この実効支配を中国は武力で排除しないことを約束したのである。
そもそも、尖閣の領有権問題が発生した原因を作ったのは米国であると見るのが妥当である。
1971年の沖縄返還協定において、米国が返還する領土には尖閣諸島が含まれていた。米国の実効支配下に置かれていた尖閣諸島を含めて、日本への返還が実行されたのである。
この米国が国際社会に対して、尖閣の領有権は日本に帰属することを明確に示す必要があった。
中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、尖閣諸島海域海底に石油資源が埋蔵されていることを国連が調査報告してからである。
この国連調査に米国の意図が反映されていた可能性が高い。
米国が中国の尖閣の領有権主張を意図的に誘導したのではないかと考えられるのだ。
他方で、米国が沖縄の日本への返還に際して尖閣の領有権が日本にあることを明確にしておけば尖閣問題は生まれていない。
米軍の日本駐留を望む米国が、日本と中国との間に領土紛争を人為的に仕込んだと見ることは、決して荒唐無稽な推察ではない。
北方領土、竹島のいずれにおいても、米国は日本と近隣諸国との間に魚雷を敷設することを怠っていないのだ。
米国国務長官ダレスは、日米安保条約締結時に、「我々が望むだけの軍隊を望む場所に望む期間だけ駐留をさせる権利を有する。それが米国の目標である」と述べたと伝えられる。
2009年9月に発足した鳩山由紀夫政権は普天間飛行場の県外、国外移設を追求し、日本国内で米軍による日本領土占領を見直す気運が強まった。こうした日本国民の変化に対して米国は強い警戒感を持ったはずである。
そのなかで、米国の指令を受けて、あるいは、米国の歓心を買うために、一部の日本人が、東アジアの緊張を意図的に高める作為的行動を示していると考えられるのだ。
それが、前原誠司氏による日中間の「棚上げ合意」否定発言であり、石原慎太郎氏による尖閣購入発言であると思われる。
「戦略的互恵関係」を構築するうえで、こうした人為的な摩擦の創作は百害あって一利なしである。
しかし、領土問題に火を点ければ、一般国民は通常、対外強硬論に引っ張られる。近隣諸国に対して攻撃的な言動を強めれば、世論の支持を得やすいと、軽薄な政治家の多くが考えるだろう。
両国がこの対応をエスカレートすれば、最後には武力衝突という事態すら発生しかねない。
こうした形で紛争を拡大させることは愚の骨頂であるが、米国、軍事産業、右翼を標榜する政治家は、ここから利益を得ようとする。
日中の経済関係は拡大しており、両国間の緊張の高まりは、日本経済に重い影を落とす。
全国各地の観光産業にとっては、いまや中国からの観光客受け入れが大きなビジネスチャンスになっている。
製造業においても中国市場は極めて重要で有望なマーケットであり、日中の関係悪化は日本国民にも重大な影響をもたらすものである。
尖閣の領有権問題の「棚上げ」を中国サイドが一方的に廃棄しようとするものでない限り、日本側から、この「棚上げ」を破壊することは賢明でない。
問題の早期収拾に向けて、日本政府の賢明な対応が強く求められている。
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