大政翼賛・従米右翼・主権者国民三つ巴戦の総選挙
国会が国民不在、というよりも国民否定の姿勢で消費増税法を強行に成立させた。
日本国憲法は国会を「国権の最高機関」と定めているが、それは政党政治が適正に機能していることを前提としている。
その前提は日本国憲法前文に規定されている。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、
(中略)
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」
「国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」
とあり、
「国政は国民の厳粛な信託によるもの」
と定められている。
主権者である国民は、2009年の総選挙、2010年の参院選で「シロアリ退治なき消費増税を認めない」との民主党公約を踏まえて、民主党に政権を委ねた。この「厳粛な信託」によって政治が行われるべきことを日本国憲法は定めている。
日本国憲法は、
「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」
との条文を置いており、国民の厳粛な信託によらずに可決された消費増税法=法令は、日本国憲法の規定に従って「排除」される必要がある。
日本国憲法の規定に反する消費増税法であるから、現時点でこの法律は正統性を有していない。「近いうちに」実施される総選挙で、主権者国民が消費増税法を是認して初めて消費増税法は正統性を得ることになる。
したがって、メディア報道においては、「消費増税法」をあくまで「案」として取り扱うことが必要になる。
すでに決まったもの、確定したものとしてこの法律を取り扱うことは許されない。
主権者国民の過半数は現時点でも消費増税法に反対の姿勢を変えていないと見られる。したがって、主権者国民は次の総選挙で、この意思を明示し、消費増税法を白紙撤回させるべきである。
主権者国民の意思を踏みにじってでも消費増税を実現したいと考えている勢力は、財務省=官僚機構、米国、大資本、利権政治屋、そしてマスメディアである。
米・官・業・政・電の五者であり、私はこの利権複合体を「悪徳ペンタゴン」と呼んでいる。
消費増税の最大の目的は官僚利権を維持する財源を確保することだ。財政事情が本当に悪化すれば、官僚利権を切る圧力は確実に強まる。その結果、官僚利権にも最終的にメスが入れられるだろう。
これを回避するために、先回りして庶民に巨大増税を押し付けてしまおうというのが消費増税の最大の目的である。
その何よりも証拠は、消費増税の前に官僚利権を切ることを一切行わなかったことだ。
「シロアリ退治なき消費増税阻止」と叫んでいた野田佳彦氏が、「シロアリ退治なき消費増税」の先頭に立っている姿は、滑稽というか哀れと言うよりほかにない。
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米国は日本から巨大な上納金を吸い上げている。米軍駐留経費などもそのひとつだが、もっとも分かり易いのは、日本の外貨準備だ。日本の外貨準備は、日本政府が米国政府にカネを渡す形で蓄積されている。
表向きは日本政府が米国政府にお金を貸している形態だが、貸したお金を返してもらったことは一度もない。
かつて橋本龍太郎首相が、「米国からお金を返してもらいたい衝動に駆られることがある」と発言したら、大騒ぎになった。米国は日本から「かつあげ」したと判断しており、日本がこれを返してもらえる可能性はほとんどない。
その金額は、150兆円に達している。そのうち、すでに50兆円は米国のドル安誘導政策により消滅した。残りの100兆円も米国は返す考えがないと思われる。
日本政府からの「かつあげ」を今後も継続するうえで、日本政府の財源が枯渇することは米国にとっても問題だ。だから、米国は財務省が主導する巨大消費増税を後押ししている。
大資本は、消費増税を応援する見返りに、巨大な法人税減税の恩恵を受け取った。大資本には大減税、庶民には大増税というのが、財務省の策略だ。
官僚機構が大資本に恩恵を付与するのは、大資本が官僚機構にとって、かけがえのない天下り先だからだ。福島の原発事故があったのに、いまだに経産省から電力会社や日立製作所などへの天下りが続いている。言語道断と言うしかないだろう。
日本政府は2007年の税制調査会報告書で、「日本の法人税負担が国際的に高いとは言えない」との公式見解を示した。それなのに法人税減税が先行実施されたのは、庶民に巨大増税を押し付ける制度改正への賛同者を増やすためだった。
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利権政治屋は消費増税を応援して、見返りに巨大な公共事業利権を得ることで財務省と手を握った。これが、10年で200兆円などと言われる「国土強靭化法」の背景だ。
消費増税により発生する超過税収を利権公共事業に回すのだ。
財務省は、政府から国民に直接財政資金を渡す社会保障関係支出などを「ばらまき」と称して攻撃する。他方、官僚機構の利権になる「裁量支出」は温存し、拡張しようとする。その典型的なものが「利権公共事業」だ。
マスメディアは、コバンザメのような存在だ。利権複合体の広報部隊である。
いまは、後藤謙次、大越健介、辛坊次郎などが手先として活用されている。
辛うじて中日新聞、北海道新聞などの地方ブロック紙に、一片の良心が残されているだけだ。
正しい情報を得ようとするなら、「日刊ゲンダイ」などに目を通すことが不可欠だ。
決戦は次の総選挙だ。
次の総選挙は基本的に三つ巴の戦いになる。
民自公密室談合大政翼賛勢力
大阪維新親米右翼勢力
主権者国民勢力
の三者だ。
悪徳ペンタゴンは、主権者国民勢力の伸長を抑制するために、大阪維新親米右翼勢力の拡大を全面的に支援する。
尖閣・竹島騒ぎは、この「大阪維新親米右翼勢力」を支援するために仕組まれているものと思われる。
もちろん、大勢力に拡大させなければならないのが「主権者国民勢力」である。
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