民自公が密室談合したのは2013年明け解散か?
野田内閣が衆議院で定数是正法案を民主党単独で可決させた。
自民党は態度を硬化させ、参議院で野田佳彦氏に対する問責決議案を提出する意向であるという。自民党などが参議院で審議を拒否すれば、定数是正法案は廃案になる。
定数是正は最高裁判決で現在の状態が意見であると判断された事項である。
国会は責任をもって定数是正を実行しなければならない。
野田佳彦氏は消費増税法案を三党協議で強引に可決、成立させたが。強引な方法でも可決、成立させなければならないのは定数是正の法律である。
比例定数を40削減するだの、比例代表連用性を導入するだのということは、各政党の利害得失が絡むから簡単にはまとまらない。比例の定数を減らせば小政党は不利になる。比例代表連用性を導入すれば大政党が不利になる。
簡単には合意を得られない。
しかし、最高裁が違憲判決を出した以上、この司法判断を尊重するべきことは当然だ。
選挙制度の骨格を変えずに、定数是正だけを実行するというなら、ゼロ増5減しかなくなる。
抜本策ではないが、大きな制度改革が無理なら、暫定的にゼロ増5減案で進み、違憲状態をまず解消し、その上でじっくりと制度改革に取り組むという手もあるだろう。
野田内閣が「責任ある政治」を実現しようというなら、これが道筋である。
衆議院で民主党単独で法案を通しても、参院の可決を得なければ法律は成立しない。
衆院で民主単独で可決すれば、自民党が態度を硬化させ、法案が廃案になることは歴然としている。それにもかかわらず民主党が強行に採決に進んだということは、民主党が制度改革を実現させる考えがないことを意味している。
これの意味するところは、野田佳彦氏が総選挙日程を2013年に先送りしようとしているということだ。
衆院で採決、可決させたことは、定数是正に取り組んだことをアピールするための、言わば「アリバイ工作」である。
定数是正が実現せずに解散総選挙を行えなくなり、「近いうちに」行うと約束した解散総選挙ができなくなったときに、「私たちは法律案を提出し、採決まで行い、衆議院では可決したところまで駒を進めました。定数是正が実現しなかったのは、野党が協力しなかったからです」との申し開きをするためである。
しかし、本当に定数是正を実行しようというなら、野党と話し合い、妥協できる線で答えを出すことが必要だ。増税案で自民党と調整を実現させた野田内閣が双方が納得できる回答を見出すことは難しくない。
とりあえず、ゼロ増5減を実行してみるということで良いはずだ。
それをやらなかったのは、野田内閣が基本的に定数是正を実現したくないからである。
自民党が本気で野田内閣の対応を許せないとするなら、内閣問責決議案と言わず、内閣不信任案を提出し、これを可決させるように行動するべきだ。
不信任が通れば、必ず解散総選挙になる。
ところが、この道を選択しない。
その理由は、実は自民党もすぐに選挙をやりたくないからだ。
誰がもっとも選挙をやりたくないのかと言うと、財務省だ。
せっかく成立した消費増税法が白紙に戻されることを心底警戒している。
だから、財務省は総選挙を2013年に先送りしたいと考えている。
仮に国会で定数是正が実現したときに、直ちに解散総選挙を実施できるか。
選挙区割りを変更する場合、周知期間が必要であるとされている。
最低3ヵ月の周知期間が必要だとされている。
そうなると、今国会で定数是正を実現できて解散総選挙は11月になる。投票日は12月ということで、この場合でも、ぎりぎり年末の選挙ということになる。
今国会で定数是正を実現しない場合、次のチャンスは秋の臨時国会ということになる。この場合、10月の臨時国会だとしても、年内の解散は無理になる。早くて来年1月の通常国会冒頭での解散ということになる。
野田内閣が狙っているのはこれだろう。
可能性としては、来年4月総選挙、そして任期満了の二つだ。
ただし、2013年春には東京都議選があり、公明党がこれと国政選挙が重なるのを回避しようとしている。
そうなると、民自公密室談合大政翼賛勢力で2012年度予算を秋に補正予算を組み、その後、2013年度当初予算を共同で編成したあと、来年1、2月総選挙を実行するというシナリオになる。
財務省は民自公三党が総選挙で票を集めるための利権予算をたっぷりつける。
財務省の戦略は、民自公三党での衆議院過半数を確保するということだ。
この場合、大連立になる。民自の二党で議席を多くとった方が総理、少なかった方が副総理を取ればよい。
この密室談合が成立している可能性がある。
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