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2012年7月27日 (金)

『戦後史の正体』を知り日本の独立を実現する

元外務省国際情報局長、防衛大学校教授などを歴任され、現在は精力的に執筆および情報発信活動を展開されている孫崎亨氏の新著『戦後史の正体』(創元社)が刊行された。


戦後日本はGHQの占領下に置かれた。


GHQは当初、日本の徹底的な民主化を推進した。


このなかで、財閥解体、農地解放、労働組合育成などの措置が取られた。


さらに戦争放棄の規定を持つ憲法が定められ、NHKの抜本的な改革も俎上に載せられた。


ところが、米国の外交戦略が転換され、対日占領政策は劇的な変質を遂げた。これが「逆コース」と呼ばれる占領政策の転換であった。


皮肉なことは、戦争放棄の条文を持つ日本国憲法が施行された1947年5月の直前に、米国の外交戦略の転換を象徴するトルーマン・ドクトリンが発表されたことだ。


日本の民主化措置は中断され、日本における思想統制が再開された。


また、米国は日本の再軍備の方向に占領政策を大転換させた。

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戦後日本の政治は、対米隷属派と自主独立派とのせめぎ合いのなかで織りなされてきた。


1946年4月の敗戦後、初めての総選挙を受けて鳩山一郎政権が発足するはずだった。


ところが、この直前に、鳩山一郎氏は公職追放処分を受けた。棚ぼたで総理の椅子を手にしたのが吉田茂氏だった。


吉田茂氏は外相として、公職追放リストをGHQと折衝する窓口役を務めていた。実は吉田茂氏自身も、1927年の東方会議などに関与したことなどから、公職追補リストに掲載されていた。吉田茂氏は、マッカーサー夫人にリンゴ、桃、メロン、トマト、花などの付け届けを頻繁に行うなど、公職追放逃れともいえる工作活動を展開し、見事に公職追放リストから除外されることに成功した。


他方で、鳩山一郎氏の公職追放の動きに対しては、一切の回避活動などを行わなかったと見られる。鳩山一郎氏を公職追放に誘導し、自らの公職追放を回避して、首相就任を我がものにしたのだと推察される。

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1947年の憲法施行に合わせて実施された総選挙の結果、社会党党首片山哲氏を総理大臣とする政権が誕生した。しかし、米国の外交政策方針の転換により、この政権は、誕生の時点から、米国に望まれない存在に転じていたのである。


片山政権は短命に終焉したが、同じ流れを汲む芦田均政権が誕生した。しかし、この政権は昭電疑獄事件の余波を受けて短命に終焉してしまった。この昭電疑獄事件は、芦田政権を攻撃するために、GHQが仕組んだ、一種の謀略事件であると見られている。


芦田政権が倒されたのちに樹立されたのが、米国と通じる吉田茂氏を首班とする第二次吉田内閣だったのである。


戦後日本の体制は、吉田政権の下で確立された。その基本は、米国による日本の実効支配である。NHKは政治権力の支配下に置かれることになった。当初のGHQが描いたNHK民主化の構想は雲散霧消したのである。

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「逆コース」後のGHQによる戦後日本支配は、一言でいえば、米国による日本の実効支配である。


米国は、この目的を達成するために、三つのものを活用した。


釈放した戦犯容疑者、東京地検特捜部、そして、マスメディアである。


米国は戦犯容疑者のなかから、戦後日本の支配に活用できる人物を選別し、釈放と引き換えに、米国への忠誠を誓わせた。この釈放した戦犯容疑者を米国はフルに活用したのである。


東京地検特捜部は、1947年の隠退蔵物資事件を契機に、東京地検に設置された「隠匿退蔵物資事件捜査部」がその前身である。その出自から、米国との深いかかわりを持つ組織なのである。


また、吉田茂氏が、日本の思想警察組織として、内閣調査室と公安調査庁を設置して、CIAとの連携を図ったことも明らかにされている。


日本で最初の民間テレビ放送会社である日本テレビ放送網は、やはり戦犯容疑釈放者として知られる正力松太郎氏が創設したものだが、この正力氏にはPODAMという、CIAのコードネームが付されていた。

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米国は対米隷属の日本政治家を通じて、日本を間接支配し続けてきた。


その日本支配に欠かせぬツールとして、戦犯釈放者、地検特捜部、マスメディアが位置付けられてきた。


米国が実効支配する日本において、政治家が、自分の利益と社会的地位の向上を求めるなら、米国と手を握ることが明らかに近道である。多くの日本政治家が、この理由で、自ら率先して米国の僕になる道を選択した。


そのなかで、少数の政治家だけが、米国との適切な距離、間合いを維持しようとした。


鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、そして、小沢一郎、鳩山由紀夫の各氏である。


彼らに共通することは、このすべての人物が、米国から激しい攻撃を受け続けたことである。


その理由は単純明快である。


米国による日本支配の構造に異を唱えた、異を唱える行動を示したことである。

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戦後日本の政治構造とは、日本を実効支配し続けてきている米国を中軸とし、この周りに、官僚機構、大資本、利権政治家、そしてマスメディアが米国と結託して強固な利権複合体を構築するというものであった。


この五者を私は「悪徳ペンタゴン」と表現しているが、この五者が日本政治を支配し続けてきたのが、偽らざる戦後日本史の実態であると思われる。


2009年の政権交代の意義は、この日本政治構造を打破する点にあった。


米国による支配、官僚による支配、大資本による支配を打破し、主権者である国民が支配する政治構造を打ち立てること。これが、政権交代に託された、大きな課題であった。


鳩山由紀夫政権は、この大きな目標をもって発足したものであったが、その目標が、日本の既得権益、米官業政電の利権構造を根底から否定するものであっただけに、既得権益勢力の抵抗、反抗はすさまじいものであった。


鳩山由紀夫氏、小沢一郎氏はメディアの集中砲火を浴びて、メインストリームの地位から強引に引きずりおろされたのである。


この図式のなかで、現在の政治状況を理解しなければならない。


その具体的テーマが、消費税、原発、TPP、そして沖縄問題なのである。

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