週刊文春による小沢一郎氏に対する「人物破壊」工作
週刊文春が小沢一郎氏に対する攻撃を展開し続けている。
小沢一郎氏の元夫人が出したとされる書状の写真および文章を掲載している。
その意図は明白である。
小沢一郎氏に対する人格攻撃である。
このような悪意に満ちた週刊誌記事に影響を受けるような、いわゆるメディアリテラシーを欠く市民は多くはないと思われるが、私のところにも、問い合わせなどが寄せられているので、このような個人攻撃、中傷記事にどのように接触するべきかについて、私見を提示しておきたい。
オランダの政治学者カレル・ヴァン・ウォルフレン教授が著書『誰が小沢一郎を殺すのか』(角川書店)で、小沢一郎という政治家に対する「人物破壊(character assassination)」工作の特異性を論じた。
今回の文春記事も、まさにこの範疇に入る「人物破壊工作」そのものである。
中国の『四経』の最も基本とされる『大学』に、
修身 斉家 治国 平天下
について記したくだりがある。
「天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭をととのえ、次に国家を治め、そして天下を平和にすべきである」ことを説いた箇所である。
週刊文春の狙いは、小沢一郎氏には「斉家」に問題があり、したがって、天下を修める資格がないというものである。
一般論、理想論として、『大学』の記述は一面の真理を衝いてはいるだろう。しかし、世の中はそれほど単純なものではない。
夫婦の相性が良く、仲睦まじいおしどり夫婦は理想の状況であるが、現実の人と人との縁のなかでは、どのような結果が生まれるかは千差万別である。
個人と個人との間に生じる千変万化を、他の人が詳しく知る由もない。
仲たがいをし、恨み骨髄の者が口を開けば、一方的な罵詈雑言が飛び出してくることもよくある話だ。
一方の話だけを聞いて、事実と思い込んでしまことほど浅はかなこともない。
別々に言い分を聞けば、およそ同じことがらを話しているとは思えぬほど、話の内容が異なってくるようなことも少なくない。
はっきりしていることは、週刊文春の記事が小沢一郎氏に対する巨大な「人物破壊工作」の一端を占めているという事実だ。
文章を書いた人物、文章を掲載するメディア、両者を橋渡しするライターのすべてが、小沢一郎氏に対する「人物破壊工作」という大きな目的で利害が一致するなら、この目的に沿うように行動を取るだろう。
「放射能が怖くて被災地に入らなかった」などの記述を言葉通り受け取ることはできない。
個人攻撃を行うなら、歴代首相を見ても、はるかに激しい攻撃を受けておかしくない人物は他にいたはずだ。
小泉純一郎氏などについては、週刊誌が攻撃しようと考えれば、10週程度はシリーズで続けることができただろう。
この手の情報を鵜呑みにすることはできない。
小沢一郎氏は、自分のことについて、こまごまと弁解めいたことを発言することを潔しとしない考えの持ち主である。週刊誌記事に対しても、いちいち、細かな説明をすることをしないだろう。
それをどう捉えるのかは、捉える側の自由だが、ものごとの、一方当事者の主張だけを聞いて、ものごとを判断してしまうことは、ものごとを見誤る典型事例であることを十分に踏まえておくべきだろう。
日本政治劣化の大きな原因のひとつは、批評勢力の弱体化にある。
批評勢力とはメディアのことだ。
メディアは本来、「社会の木鐸」と呼ばれるべき存在である。
客観的な視点から、現実に警鐘を鳴らす。権力が間違った方向に進むなら、厳しく間違いを指摘して、その是正を誘導する。
市民に対して、現実の誤りを適正に指摘する。それがメディアの本来の役割である。
著者:植草 一秀
販売元:飛鳥新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する
消費増税問題について、社会の木鐸としての機能を発揮しているのは東京新聞と日刊ゲンダイくらいのものだ。
野田政権がスイシンしている消費増税に正統性は皆無だ。
野田政権が政権発足後に「シロアリ退治」に総力をあげてきたのなら、消費増税提案も理解の範囲内に入る。
野田氏が公約として掲げたのは、「シロアリを退治しないで消費税をあげるのはおかしい」というものだ。
「シロアリ退治」こそ、高齢化社会に進む日本が、絶対に実行しておかねばならない作業である。
野田氏が指摘したように、シロアリを退治しないで消費増税を実行すれば、消費増税で得られる税収にシロアリがたかることは間違いないのだ。
野田氏は首相だが、首相の方針なら何でも賛成するというなら、ジャーナリズムの看板を降ろすべきだ。
「政府広報」と名称を変えるべきだ。
本日も、野田・岡田「天下り決死隊」の三大演説動画を添付しておく。
野田佳彦氏2009年7月14日演説
http://www.youtube.com/watch?v=-3wVwe8a_8c&feature=player_embedded
野田佳彦氏2009年8月15日演説
http://www.youtube.com/watch?v=y-oG4PEPeGo
岡田克也氏2009年8月11日演説
http://nicoviewer.net/sm13731857
4月21日に東京で開催された「シロアリ退治なき消費増税粉砕講演会」動画映像が飛鳥新社サイトから無料配信されておりますのでご高覧ください。
続きは
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第260号「主権者が最終的に総選挙で判断を下す」
でご購読下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
『植草一秀の『知られざる真実』』をご愛読のみなさまにfoomiiよりお知らせです。
6月30日(土)に【天木×植草リアルタイム時事対談】第6弾を動画生配信することが決まりました。
●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者)
●配信日時:2012年6月30日(土曜日)
20時00分~21時00分放送予定
30日の時事対談は特別企画として、ライブ配信を一般公開。メールマガジン読者以外の方も20時からの配信を無料で視聴いただけます。(※アーカイブ動画は後日、有料で配信予定)
対談では、強引に消費税増税につきすすむ政府・民主党と、それに反対する小沢グループの攻防を中心に、今後の政局をズバリ、大胆予測します。
さらに「再稼働に舵をきった大飯原発と原子力・電力行政の問題点」、「欧州債務危機と世界の経済金融情勢の今後」、「中東(シリア、エジプト)情勢」について時間の許すかぎり徹底討論を行います。
《今対談のテーマ》
・消費税増税、解散、総選挙へのシナリオ
・再稼働に舵をきった大飯原発と原子力・電力行政の問題点
・欧州債務危機と世界の経済金融情勢の今後
・中東(シリア・エジプト)情勢
ぜひこの機会に有料メールマガジンにご登録の上、生放送配信動画をご視聴ください。
著者:植草 一秀
販売元:飛鳥新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する
![]() |
【送料無料】日本の独立 |
![]() |
【送料無料】TPP亡国論 |
![]() |
【送料無料】誰が小沢一郎を殺すのか? |
![]() |
【送料無料】原発のウソ |
![]() |
【送料無料】売国者たちの末路 |
![]() |
【送料無料】知られざる真実 |
« 消費増税を強硬実施するための三つのハードル | トップページ | 民主党衆院議員290名に公開質問状を送付 »
「悪徳ペンタゴンとの最終決戦」カテゴリの記事
- 江田新党と政界再編をメディアが過剰報道する理由(2013.12.09)
- 中日新聞世論調査が示す「総選挙争点はこれだ」(2012.10.03)
- 主権者国民政権樹立を実現する「フェニックス革命」(2012.09.29)
- 小沢一郎代表無罪確定が逆襲開始の号砲になる(2012.09.27)
- 「国民の生活が第一」が政権奪還に向け本格始動(2012.09.23)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 週刊文春による小沢一郎氏に対する「人物破壊」工作:
» 今、三島由紀夫がいたとするならば・・・ [格闘する21世紀アポリア]
われわれ楯の会は、自衛隊によって育てられ、いわば自衛隊はわれわれの父でもあり、兄でもある。その恩義に報いるに、このような忘恩的行為に出たのは何故であるか。
かえりみれば、私は四年、学生は三年、隊内で準自衛官としての待遇を受け、一片の打算もない教育を...... [続きを読む]
» 【第198号】大東亜戦争当時の一億火の玉総玉砕精神を脈々と受け継ぐ朝日新聞の如き狂気の暴走を食い止めるのが「原発都民投票」的な市民の連帯精神であることを忘れてはならない。 [情熱高校教師 高橋央の『日本教育白書』]
2012年6月19日(火曜日) -----------------------------------------------【第198号】大東亜戦争当時の一億火の玉総玉砕精神を脈々と受け継ぐ朝日新聞の如き狂気の暴走を食い止める ... [続きを読む]
» 消費増税への警察検察裁判所の小細工! 腐りきっている! [大辛カレーのブログ]
高橋克也オウム特別手配犯が15日につかまったのは、当ブログの情報分析では、100 [続きを読む]
» 小沢一郎離婚、それがなにか? [棒に怒る日本人]
週刊文春に載った、小沢夫人の手記が、ネット上では話題になっているようだ。ようだと [続きを読む]