小沢元代表と輿石幹事長の会談が長引く理由
消費増税の筋書きを書き、政治家を誘導してきたのは財務省である。
野田佳彦氏は2009年8月の総選挙の時点では、「シロアリ退治なき消費増税阻止」の看板を掲げていた。
しかし、岡田克也氏はもとより、「シロアリ退治なき消費増税阻止」の考えは有していなかった。
財務省は2009年5月の小沢一郎民主党代表が代表職を辞する際に、岡田克也氏を民主党代表に就任させたかった。
総力を挙げて岡田氏を支援したが、鳩山由紀夫氏が勝利した。
小沢元代表が、メディア総攻撃のなかでも、「引責辞任」としなかったことが鳩山氏の勝利をもたらした。
米官業利権複合体にとって、小沢-鳩山ラインが最大の攻撃対象であり続けている。
これはいまもまったく変わっていない。
小沢-鳩山ラインが攻撃対象である理由は単純明快である。
米官業による日本支配を覆そうとしているからだ。
野田氏は「シロアリ退治なき消費増税阻止」の看板を掲げたが、財務省が目指しているのは、「シロアリ退治なき消費増税」そのものであった。
この路線に沿って、終始一貫動いているのは、岡田克也氏である。
岡田克也氏は、2009年8月総選挙に際しての民主党マニフェストに、「天下り根絶」と書き込むことを体を張って阻止した。
岡田氏が書き込んだのは「天下りあっせんの根絶」だ。
これなら、自民党政権でもやっていた。
「あっせん」の根絶は、すべての天下りを、「あっせんはなかった」とすれば、正当化できる措置である。つまり、「天下りあっせんの根絶」とは、「天下りの全面容認」とされる可能性が極めて高い措置なのだ。
「シロアリ退治なき消費増税阻止」の旗を掲げたのに、シロアリ退治をしていないではないかとの批判が生じると、岡田氏は、必ず「マニフェストには天下りあっせんの根絶としか書いていない」と答弁して逃げる。
これでは、「シロアリ退治」の公約は破棄されたも同然だ。
社会保障改革などを伴わずに消費増税だけが決められようとしているが、それは、財務省の戦略からすれば当然のことである。
財務省が消費増税を急ぐ理由は、天下りなどの官僚利権の財源枯渇を恐れるからなのだ。
この点を正確に見抜いていたのは野田佳彦氏である。
野田氏は2009年8月15日の街頭演説で、
「消費税を上げれば、またシロアリがたかるかも知れません」
と述べた。
だから、「シロアリを退治しないで消費税を上げるのは認められないのだ」
と力説した。
その通りである。
財務省は、官僚利権の財源枯渇を回避するために、何としても消費増税を実現することを優先するのである。
岡田氏は初めからこの路線に乗っている。野田氏は総理になるために魂を売って財務省路線に乗るために、「シロアリ退治なき消費増税阻止」の路線から「シロアリ退治なき消費増税」の路線に乗り換えたのである。
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しかし、国民の大多数は、拙速な増税決定に反対である。朝日世論調査でも、今国会での法律成立に72%が反対で、賛成はわずかに17%だった。
したがって、財務省は本音では消費増税選挙をやりたくない。ずるずると1年引っ張って、2013年夏に衆参ダブル選挙を実施して、消費増税選挙を消滅させようと考えている。
しかし、国民の目線から見てこれは許されない。
増税をやらないと約束した政権が野党と手を組んで増税を決定する。しかも、何よりも大事な政策だと主張した「シロアリ退治」には、まったく手を付けていないのだ。
小沢一郎元代表が輿石東民主党幹事長と何度も会談を繰り返しているが、その真意は、ここにある。
早期の消費税選挙を実現するための方策なのだ。
自民党のなかは二分されている。財務一派は、総選挙を先送りしたいと考えている。解散総選挙については曖昧なまま進み、来年夏まで引っ張ってしまおうとの考えだ。
しかし、谷垣禎一氏は異なる。秋を迎えれば、総裁任期が切れ、総裁でなくなってしまう。早期の解散総選挙を求めている。
国民の視点から言えば、消費増税強行決定の方向に進む限り、早期の衆院解散が不可欠である。
これほどの重要事項を、国民だまし討ちの形で決定されたのでは、もはや日本は民主主義国家ではなくなる。
囲碁の名手でもある小沢一郎氏が、状況を読んで、早期の解散総選挙のシナリオを引きだそうとしている。
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