原発最小限利用橋下提案はコロンブスの卵
「福島の再生なくして日本の再生なし」と言うが、その福島は放射能の汚染で悲惨な状況に置かれている。
悲惨な状況に置かれているのは福島だけではない。周辺都県でもまったく同様だ。
福島を含む地域一帯は、日本でも有数の観光名所であり、同時に、農林水産業の宝庫であった。しかし、放射能汚染により、その価値に暴落が生じている。
すでにそうであるが、今後も激しい勢いで事業の破たん、倒産、失業の嵐がこの地帯全体を襲うことになる。
かけがえのない大地、かけがえのない自然環境が損なわれた。
放射能の最大の特徴は、その影響の除去に気の遠くなる時間がかかることである。
日本の法令は、自然環境を人為的に汚染すること、有害物質を放出することを禁止している。その有害物質の放出により人間や自然環境に危害を加えれば、当然のことながら刑事罰の対象になる。
多くの主権者国民が、二度と同じ事故を発生させてはならないと考えている。
二度と事故を引き起こさないためには、事故の原因を明らかにして、その原因に従って、万全の再発防止策を取ることが不可欠だ。
事故が発生したきっかけは明確である。巨大な地震と津波である。
この地震と津波を取り除くことができるのなら、原発の不安をかなりの程度は除去できるだろう。
しかし、残念ながら、現在の科学技術の水準で、地震と津波そのものを除去することはできない。今後も地震と津波は発生するだろう。
今回東北地方の太平洋地底で発生した地震および津波は、これまで何度も繰り返されてきた規模の地震と津波であった。
過去の事例では、ひとたび大きな地震が発生する局面では、短期間に同規模の大きな地震や津波が繰り返されることが多い。
この分野の専門家である神戸大学の石橋克彦氏は、日本が地震の活動期に入っているとの警告を東日本大震災の前から警告し、併せて原発の危険性を指摘してきた。
今後も日本の各地で巨大地震と巨大津波が発生する可能性は高いと考えられる。
この現実を踏まえて今後の対応を考えると、適切な方策はおのずから明らかになるだろう。
それは、原発の稼働を最小限にすることである。
著者:植草 一秀
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全国の原子炉が順次点検に入り、この5月に全原子炉が停止状態に移行した。画期的なことである。
電力利用のピークは真夏に訪れる。
この電力利用のピークを原子力発電所の利用ゼロで乗り切れるのかが焦点になっている。
夏場の電力利用ピーク時を原子力発電利用ゼロで乗り切ることができれば、極めて大きな実績がつくられることになる。
今後のエネルギー政策論議に大きな幅が生まれることになる。
原子力発電所利用ゼロで夏場のピーク時を乗り切る方向で、あらゆる努力を注ぐべきである。
ところが、これに電力会社、原子力産業、官僚機構の利権複合体が抵抗している。彼らは結託して、夏場の電力供給不足をアピールし、計画停電を脅しの材料に使って、原子力利用再開を画策している。
他方、脱原発を指向する主権者国民の声を受ける政治勢力が、原発稼働なしで夏場のピークを乗り切るためのさまざまな創意工夫を提案している。
利権複合体が原子力利用を強く求める事情は痛いほどよく分かる。原子力産業は巨大産業であり、電力会社にしてみれば、すでに巨大な金を原発に注ぎ込んでしまっているから、この原発施設を使えなくなることは大きな痛手になる。
しかし、問題は、単なる事業者の収支や、経済活動のパイ縮小といった経済問題の次元を超える、日本そのものの存亡、人類の存亡にかかわる問題という次元にあることを理解する必要がある。
この意味では、野田政権が利権複合体の発想だけに縛られて、原発再稼働に向けて暴走を続けていることはあまりにも浅はかである。
政治権力に迎合するNHKは世論調査で、「原発を最小限度で稼働させる」との選択肢を用意して、世論調査結果をこの回答に誘導しようとして、実際に誘導させた。
これまでの議論は、
1.原発再稼働に対して慎重姿勢で臨む
2.夏場の電力需要と供給能力を詳細に分析する
3.そのうえで、最小限度の原発稼働を検討する
との図式で展開されてきた。
この図式を踏まえた非常に効果的な提案が大阪市サイドから提示された。
それは、夏場の電力利用ピーク時だけ原子力稼働を必要最小限度内で認めるというものだ。
極めて建設的、かつ効果的な提案である。
もし、「必要最小限度内での原発稼働」を検討するとの姿勢で臨むのなら、原発再稼働推進派は、この提案に乗るべきである。
ところが、この質問に対する回答によって、利権複合体の不健全な本音、仮面の下の素顔がはっきりと表れた
藤村官房長官は、原発再稼働は夏場のピーク対策としてだけではなく、トータルな経済効果等をも勘案して検討しているのであって、夏場だけの臨時稼働を検討する考えはないとの発言を示したのだ。
さて恒例の、野田氏、岡田氏による下記「天下り決死隊」変節動画三点盛を今日もご高覧いただきたい。
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●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者)
●配信日時:2012年5月26日(土曜日)
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