米紙の日本首相評価が示すのは「ポチ度指数」だ
「決められない政治」や「決断できない政治」などの言葉が使われている。
政治に決断力が求められるのは当然のことだ。
難問が山積するなかで、問題の結論を示さず、何もかも問題を先送りしていたのでは、国全体が立ち行かなくなってしまう。
為政者には強いリーダーシップが求められる。
しかし、いま、「決められない政治」や「決断できない政治」などの言葉が広められているのには、別の理由がある。
消費増税、TPP、原発再稼働などの問題で、多数の国民が反対し、多数の国会議員が反対する施策を、強行に実行してしまえという意味が込められている。
この意味で「決められない政治」や「決断できない政治」を是正しろというのであるなら、これを認めてはならない。
よく考えてみると、これらの言葉は、国民のなかから生まれてきた言葉ではない。メディアが流布している言葉なのだ。
そこには、メディアを動かして世論を誘導するとの大きな意図が存在する。
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日本の政治を支配してきた中心は、米国、官僚、大資本である。この手先となって活動してきたのが利権政治屋とマスメディア=電波業界である。この五つの勢力を私は「米官業政電悪徳ペンタゴン」と命名した。
その構造をより詳細にみると、米国が官僚、大資本、利権政治屋、マスメディアを上から支配する、ピラミッドの構造を形成していることが分かる。
敗戦から67年経ったいまも、日本は米国の支配下に置かれており、官僚機構や大資本が、その支配の下で、利権のおこぼれを頂戴する構造を維持しようとしている。
拙著『日本の独立』は、この構造を明らかにしたうえで、そこから脱却して、日本が真の意味での独立を回復するための方策を提示したものである。
利権複合体の中核に位置するのが、米官業利権複合体=米官業トライアングル勢力だ。
2009年8月総選挙を経て、トライアングルが政治権力を一時的に失った。民主党の小沢-鳩山ラインは、米官業による日本政治支配の構造を刷新し、主権者国民が支配する政治構造を樹立しようとした。
危機に直面した利権複合体勢力は、総力を挙げて、小沢-鳩山ラインのせん滅に突き進んだ。
その結果として、2010年6月の政変が勃発した(昨日付記事にある2009年6月は2010年6月の誤りでした。訂正してお詫びいたします)。米官業利権複合体勢力が、日本政治の実権を強奪したのである。
いまの野田内閣もその延長上に位置付けられる政権である。
米国のワシントンポスト紙が野田佳彦氏を絶賛する記事を掲載したことが伝えられているが、笑止千万である。
そういえば、小泉純一郎氏も米国で評判が良かった。
米国から高く評価されるということは、その人物が米国の言いなりになっていることの証左である。米国での評判は、当該人物が米国の指令にどれだけ忠実に従っているのかを示す、「言いなり指数」あるいは「ポチ指数」と言うべきもので、この指数が高いということは、その人物がそれだけ国益を売って、米国の覚えをめでたくして自己の利益を優先しているのかを示す「売国度指数」と言い換えてもよい。
いま日本でもっとも重要な政策課題は、消費増税、原発再稼働、TPPである。これに加えて、普天間、東電処理もあげられるだろう。
もちろん、その前に被災地、原発被曝地域の復旧、復興が最優先課題であることは言うまでもない。
日本の宗主国である米国の意向は明確だ。
消費増税賛成
原発再稼働強力推進
TPP参加強制
普天間の辺野古移設
である。東電の処理は国内事項である。
米国は日本からさまざまな形で資金を巻き上げることを常に念頭に置いている。その貴重なかねづるであるから、日本政府の収入を増やす消費増税には積極賛成のスタンスを示す。
米国には巨大な原子力マフィアが存在する。日本が脱原発の方向に進むことを米国は絶対に阻止したいと考えている。
TPPは、米国の米国による米国のための枠組みであり、米国は日本の参加を命令している。この命令に、ポチのように忠実に従っているのが野田佳彦氏である。
ポチ1号が小泉純一郎氏、ポチ2号が菅直人氏、野田氏はポチ3号である。
普天間の辺野古移設は、街中にあり危険極まりなく、しかも、老朽化した普天間飛行場を閉鎖して、日本政府に日本政府の負担で辺野古の美しい海岸に巨大滑走路を造らせる計画で、すべては米国のための施策である。
地元を利益誘導してようやく決めたプランをひっくり返そうとした鳩山由紀夫首相は許せない。これが、米国の単純な発想だ。
しかし、沖縄の美しい自然を破壊して巨大滑走路を造らねばならない理由は日本側には存在しない。日本人で賛成しているのは、基地利権で利益が懐に転がり込む人々だけだ。
著者:植草 一秀
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出版記念講演会で、ライフコーポレーションの清水信次会長が強調されたように、これらの重大な問題を最終的に判断するのは、国民なのだ。
国民の意思に反して時の首相が、独断で決める、決断するのなら、そんな決断は百害あって一利なしだ。
「決断できない政治」ではなく、「決断すべきでない政治」が現在の状況を正しく表現する言葉だ。
続きは
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