「談合条件は密室党首会談で」示唆の野田党首討論
野田佳彦氏と谷垣禎一氏による三度目の党首討論が行われた。
不毛な論議とはこのことを言う。
野田佳彦氏の主張は、初めから終わりまで、「党首会談のお願い」だけであった。
よほど、公開の場では話せないことがあるらしい。
この点、谷垣氏が主張する公開の場で堂々と話すのが筋だとの主張が正論である。
野田佳彦氏は自民党のマニフェスト消費税率10%と民主党提案が同じだとの主張を繰り返す。
これに対して、谷垣氏はマニフェストの撤回というけじめをつけていない、消費増税反対派が党内に100名以上もいることが問題だとする。
これも正論だ。
野田佳彦氏は民主党内での意見集約の正統性を主張するが、説得力がゼロである。
野田佳彦氏は次のように述べた。
「まず、社会保障と税の一体改革は、これは待ったなしの改革だというふうに思っております。
先般、法案を提出をいたしましたので、その成立を全力を尽くして目指していくと。
これは重大な決意を持って臨んでいくということは、これは変わりはありません。
その上で、民主党内においては、一昨年の秋から検討本部を設けて成案をつくり、素案をまとめ、大綱として閣議決定をして、そして法案提出をしたわけでありまして、丁寧な議論を積み重ねてきたというふうに思います。
引き続き多くの皆様にご理解をいただけるような、丁寧な説明は続けていきたいというふうに思います。」
ここが、第一に重要な点だ。「丁寧な議論を積み重ねてきた」と言うが、決定に至るプロセスが民主的手続きによっていないことに致命的な欠陥があるのだ。
民主制は独裁制と違う。
独裁制であるなら、多数が反対していても、独裁者が決めれば、それが組織の決定になる。
しかし、民主制を採用するなら、議論を尽くして、それで成案を得ない場合には、最後は多数決で決定する。これが、民主制の正当なプロセスになる。
民主党の場合、多数決採決を実施していれば、消費増税案は否決されていた。多数決採決を行わなかったことに、この事実が鮮明に示されている。
だから、いくら「丁寧な議論を積み重ねてきた」と強弁しても、これでは民主主義の世界では通用しない。
野田氏は少数意見を強引に押し通してきているから、
「多くの皆様にご理解をいただけるような、丁寧な説明は続けていきたいというふうに思う」
と言っているわけだが、少数の意見を押し通して、あとから、これを多数意見に変えるのではなく、多数意見を党の意見とするのが民主主義の適正なルールなのだ。
第二に、野田氏が執拗に党首会談を求めている真意がどこにあるのかということだ。
「法案を提出し、予算も成立したわけでございますから、一体改革を含めて、重要課題について、トップ同士で胸襟を開いて議論をしたいというのが党首会談の趣旨なんですよ」
「もっと胸襟を開いて、問題意識を共有する部分は私はかなりあるんじゃないかと思ってるんです。それを国家国民のためにやっていこうということでございますので、党首の会談もこれからも引き続きお願いしていきたいと思いますけども、その点についてはお受け頂けるでしょうか」
「円満な国会運営も必要です。だけどもこの大事なテーマについては、トップ同士の腹合わせってのは絶対に必要だと思っているんです。だからやらせていただきたいと。」
「いろいろとそれぞれのセクションにお任せする部分はありますが、トップ同士で議論し、理解できるところはどこなのか、できないところはどこなのかということを突っ込んだ議論をぜひさせていただきたいんです」
要するに、党首討論のような公開の場では、中身の論議に貴重な討論時間を1分も充てようとせず、ただひたすら、密室の「党首討論」を求めているのが野田佳彦氏である。
密室談合政治を追求しているとしか考えられない。
総理の座を谷垣氏に渡し、公明党の希望する中選挙区制を復活させて、民自公大政翼賛体制を作って、消費増税をみんなで一緒に通してゆきましょうというのが関の山だ。
完全なる国民不在である。
この申し出を谷垣氏が呑むなら、谷垣氏も噴飯ものだ。
目の前にぶら下げられたニンジンに飛びつくことを意味する。
民主党のマニフェストと国民との関係を追及してきたこれまでの言動は、意味なく吹き飛ぶだけだ。
ここで、新しいお知らせです。
【お知らせ】
4月21日(土)午後6時30分開演予定の
『消費増税亡国論-三つの政治ペテンを糺す-』
出版記念講演会について、新しいご案内内容をお知らせいたします。
著者植草一秀の講演に加えまして、小沢一郎元民主党代表の側近としていまも「日本一新運動」を牽引されておられます
元参議院議員の平野貞夫先生をゲスト講師としてお招きし、ご講演をいただくことになりました。
演題は
平野貞夫先生 「消費増税導入と絶対的タブー」
植草一秀 「シロアリ退治なき消費増税ほか亡国の国策運営」
を予定しております。
平野貞夫先生は、1986年の中曽根内閣による売上税導入提案、1989年の竹下内閣による消費税導入のすべてを政界の側から知り尽くしておられ、この知見をもとに野田内閣の消費増税提案に警鐘を鳴らしておられます。
書籍付参加チケット代金は1500円になります。
(誠に恐縮ですが、書籍代とチケット代金の差額500円は会場費等の実費に充当させていただきます。)
参加ご希望の皆様は、
お名前、ふりがな、電話番号、をご明記のうえ、
eventinfo@libro.co.jp
にご送信下さいますようお願い申し上げます。
1メールにつき、お1人様1枚限りのご応募となっております。
また、お申込み内容の確認・変更、ご応募結果についてのお問い合わせは一切お受け出来ないとのことでございます。
参加希望メールをご送信いただきましたら、先着順にてお送りいただきましたメールアドレス宛にご案内メールが送信されます。
当日会場にて、"ご案内メール"をプリントアウトしたもの、あるいは携帯端末のご案内メール表示画面をご提示ください。
代金お支払いと引き換えに書籍付参加チケットをお渡しいたします。書籍は講演会当日、会場でのお渡しとなります。
なお、チケットは4月20日(金)開催の「STOP!権力 国民大集会」会場でも販売される予定です。
ただし、予めご用意したチケット枚数に達し次第、受付は終了させていただきますので、予めご了承下さい。
詳しくは、
リブロ池袋本店サイト
ならびに、
飛鳥新社サイト
をご覧ください。
新著の概要は以下の通りです。
『消費増税亡国論-三つの政治ペテンを糺す-』(飛鳥新社)
新書版 368ページ 価格:消費税込み1000円
目 次
第一章 シロアリ退治なき消費増税
第二章 一体改革という名の単なる増税
第三章 民主主義の命はデュー・プロセスにあり
第四章 特権官僚が蝕(むしば)むこの国の骨組み
第五章 増税の前にやるべきことがある
第六章 日本財政が危機にあるというデマゴギー
第七章 日本再生の方策と国民の政治選択
概要
「シロアリ退治なき消費増税」こそギリシャ化への道だ
なぜマスメディアは野田総理の白昼堂々の公約違反を追及しないのか?
民主主義を踏みにじる野田政権、許されざる三つの過ち
1.マニフェスト違反の官僚利権(天下り)擁護
2.日本財政は真正危機にあるとの風説の流布
3.社会保障制度改革なき「単なる増税」の推進
亡国の増税シナリオの裏を知り抜く最も危険なインサイダーが命懸けの徹底告発。
衆議院を解散し消費増税選挙を実施せよ!
主権者国民勢力が政権を奪還できるか、
それとも対米隷属政権が持続してしまうのか?
続きは
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第195号「党首会談懇願野田佳彦氏が密室で提示する条件 」
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3月24日(土)に【天木×植草リアルタイム時事対談】第3弾生動画配信を行いました。
●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者)
●配信日時:2012年3月24日(土曜日) 19時00分放送開始予定
3月は『消費増税のゆくえと今後の政局』と題して、消費増税問題と政局のゆくえについて徹底討論しました。
・野田内閣と財務省が消費税増税を急ぐ真の理由とは?
・法案可決の見込みは?日本経済と私たちの生活はどうなる?
・今後の政局と衆議院解散の可能性は?
また、東日本大震災から1年の時が流れ、今なお住民に不安を与え続ける福島第一原発事故の問題とこれからのエネルギー政策や、大詰めを迎える小沢一郎氏裁判の行方、「インターネット政党」など市民の政治参画などの問題について90分間ノンストップで議論しました。
アーカイブ動画配信を、動画配信記事として有料で販売しております。
販売代金は、全額を動画配信費用と番組へのゲスト招聘などの今後の動画配信放送内容の充実のために活用させていただきますので、ご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
早速、3月24日の対談ダイジェスト版をYoutubeに公開いたしました。
◎サタデーナイトライブ 天木×植草の時事対談 2012/02/25
http://www.youtube.com/watch?v=byxJ3QPETeo
また、2月25日の対談のダイジェスト版はこちらです。
◎サタデーナイトライブ 天木×植草の時事対談 2012/02/25
http://youtu.be/NFo-WKDB3r4
ぜひ、ご高覧下さい。
また、3月24日の
◎サタデーナイトライブ 天木×植草の時事対談 2012/02/25
の完全版動画配信記事はこちらでご購入いただけます。
http://foomii.com/00057/201203242200009024
「消費増税の行方と今後の政局」を議題に、小沢裁判の行方を含めて90分間を超えるノンストップ論争を行いました。
ぜひ、ご高覧ください。
●サタデーナイトライブ 天木×植草の時事対談
消費増税のゆくえと今後の政局
【価格:315円(税込)】
視聴をご希望の方は、[この記事のみ購入する 315円(税)]より、手続きをお願いします。登録いただきましたメールアドレス宛に、動画の視聴方法をご案内します。
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