小沢元代表発言を極めて正しいと評価した谷垣氏
国民・政党・政治の関係はこうだ。
権力者は国民だ。主権者である。
だが、国民は多数存在しており、その主張は多様である。
多様な国民の意思、考え方を吸収し、国民にとって代わって政治活動を展開するのが政党である。
政党の活動の基盤は主権者である国民の意思であり、考え方である。
主権者国民の意思、考え方を受けて政党が活動する。
そして、政党と国民の間の懸け橋になるのがマニフェスト、政権公約だ。マニフェストは、政党が主権者国民との契約を離れて暴走しないための枷(かせ)でもある。政党の行動は、マニフェストによって制約を受ける。
それが、イギリスで生まれたマニフェストのルールだ。
政党は、マニフェストに書いてあることを命懸けで実行し、マニフェストの書いてないことをやってはいけない。それがルールだ。
2009年8月の総選挙で、消費増税を公約に掲げたのは自民党、消費増税阻止を掲げたのが民主党だ。
民主党は、「消費増税の前にやるべきことがある」ことを訴えた。そして、「シロアリを退治し、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ消費税を上げるのはおかしい」と明言した。
この契約関係はいまも生きている。
3月3日のテレビ番組に小沢一郎民主党元代表が出演した。小沢氏は改めて消費増税に反対の考え方を示した。
番組のなかで小沢氏は、消費増税に反対する理由を三つあげた。
1.行政改革の実行が不十分であること
2.社会保障の青写真が示されていないこと
3.デフレ脱却と景気回復を果たしていないこと
私が主張する理由と完全に一致する。
野田氏自身が「シロアリを退治しないで消費増税はおかしい」と声を張り上げていたではないか。
「社会保障・税一体改革」は言葉だけで、社会保障改革は明確な具体的内容が何ひとつ示されていない。
日本経済、世界経済は、2008年以降の深刻な金融市場混乱とそれに連動する経済活動の停滞の延長上にある。経済動向を十分慎重に見定めることなく、安易に巨大増税に突き進めば、経済金融のさらなる混乱を招くことは必至である。
1929年の株価急落に端を発した世界大恐慌の歴史をひも解くと、ニューディール政策実施などで経済が改善傾向を示すなかで、1937年に政策スタンスを超緊縮に転換したことが事態の急変を招き、経済の超低迷とその後の戦争への突入がもたらされたことが分かる。
年換算10兆円という超巨大増税に安直に突き進むのは自殺行為である。
また、小沢元代表は、
「現時点では、野田さんがもう一度、政権交代の初心を思い起こし、原点に返って、政治に取り組んでもらいたいと期待している」とも述べた。
国政の長である内閣総理大臣は、政治の根本原則に忠実であるべきだ。
民主党が2009年8月総選挙で、消費増税を公約に掲げ、衆院任期中に何としても法案を通すことを宣言したのなら、首相の行動は正当化される。
しかし、野田佳彦氏は次のように発言しているのだ。
「消費税5%分の皆さんの税金に、
天下り法人がぶら下がっている。
シロアリがたかっているんです。
それなのに、シロアリを退治しないで、
今度は消費税引き上げるんですか?
消費税の税収が二十兆円になるなら、
また、シロアリがたかるかもしれません。
鳩山さんが四年間消費税を引き上げないと言ったのは、
そこなんです。
シロアリを退治して、
天下り法人をなくして、
天下りをなくす。
そこから始めなければ、
消費税を引き上げる話は
おかしいんです。
徹底して税金の無駄使いをなくしていく。
それが民主党の考え方であります。」
野田佳彦氏は、謙虚に、自分の足跡を振り返るべきだ。
大半の民主党議員は、同じことを有権者に訴えて、清き一票を得て、そして国会議員に選出されてきているはずだ。
それを、有権者に何の断りもなく、しかも、シロアリ退治にも社会保障改革にも、まったく手を付けないで、消費増税に賛成して、有権者が「よくやってくれた」とほめてくれるとでも思うのか。
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誰が正論を述べており、誰が間違ったことを強行しようとしているのかは、心を平らかにして考えれば明らかだ。
この点を正しく認識し、発言しているのは谷垣禎一氏である。
谷垣氏は3月3日の記者会見で、小沢一郎元代表発言について、
「根本の原因は2年半前の衆院選マニフェスト(政権公約)に原因があり、小沢氏の言っていることも正しい。国民との契約だから、これを破ることはできないというのは政治的には極めて正しい」
と述べた。これがまともな政治、「堂々たる政治」というものだ。
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