小沢-鳩山ラインによる権力奪還が日本再生の道
国民生活に直結する現下の最重要政策課題は消費税、TPP、普天間である。もちろん、原発および東電処理も重要だ。
冒頭の三つの課題についての基本姿勢において、現下の政治勢力ははっきり二つのグループに分かれている。
拙著『日本の独立』に詳述したように、民主党は表面上ひとつの政党であるが、内実は水と油の混合体である。
早晩、分立が不可避であり、両者の同居が政治混乱の一因にもなっている。
政党の属性を判断するのに、もっとも分かり易い方法は、政党が誰の利害を代表しているのかを考えることである。
民主党内の二つの政党。
仮に正統民主党と悪徳民主党と呼んでおく。
2009年9月の政権交代を誘導した主軸である小沢-鳩山ラインが正統民主党である。
2010年6月に鳩山内閣総辞職の間隙を縫って政権を乗っ取った勢力が悪徳民主党で、菅-仙谷-岡田-野田-前原-枝野-玄葉-渡部ら悪徳8人衆などによって構成される勢力である。
正統民主党が主権者国民の利害を代表するのに対して、悪徳民主党は米国・官僚・大資本というこれまで日本政治を支配し続けてきた利権複合体の利害を代表する勢力である。
自民党が米国・官僚・大資本の利害を代表する勢力であると考えれば、悪徳民主党と自民党とに差はなくなる。自由民主党から自由を取り去ったのが(悪徳)民主党との言い方もできる。
悪徳民主党と自民党との間に大きな相違は存在しない。しかし、正統民主党と悪徳民主党との間には、完全なる断絶、根本的な相違が存在する。
したがって、両者が同じ政党に同居している現状は、あまりにもいびつであると言わざるを得ない。
領土問題と同じで、どちらも実効支配を主張しているから、どちらが出てゆくべきかについて意見が対立し、なかなからちが明かない。
TPP、消費税、普天間について、正統民主党の考え方は以下の通りだ。
TPPは日本にメリットのある枠組みではない。米国の米国による米国のための枠組みであり、日本が積極的にTPPに参加することは、日本国民の利益に反している。
消費税について民主党は、2009年8月総選挙に際して、「シロアリ退治なき消費増税は阻止する」ことを明確に約束した。主権者と交わしたこの約束=契約=マニフェストはいまも効力発揮期間内だ。これを民主党の側が一方的に破棄する正当性は存在しない。
普天間基地について、鳩山元首相は、沖縄県民の意向を尊重して、「少なくとも県外、できれば海外」という方針を明示した。残念ながら、2010年5月に辺野古移設の日米合意を結んでしまったが、県外ないし国外移設を実現するために努力した、その方向は是とされるべきだ。
これに対して、現在の民主党執行部、すなわち悪徳民主党の基本方針は以下のものだ。
TPP参加に賛成する。しかし、民主党内では反対意見多数だった。反対多数のTPP交渉に参加するため、野田佳彦氏は、ペテンを用いた。
「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」
TPP交渉に参加するには関係国との協議に入らなければならない。したがって、外向きには、野田氏は、交渉参加意向を表明したことになっている。
しかし、国内では「関係国との協議に入ることを決めたのであって、交渉に参加することを決めたわけではない」ことを匂わせて、過半数を制する反対意見に配慮するふりを示した。いわゆる二枚舌対応である。
では、関係国との協議によって、すべての交渉参加国が日本の交渉参加を認める意思を表示したらどうなるのか。
この時点で、国内で、交渉に参加するかどうかを論議するのか。そもそも、手の内を明かして日本との協議に応じ、日本の交渉参加を認めた後で、日本が交渉には参加しないことが、国際社会で通用するのか。
国際公約だから守る必要があるとして、国内の正規の手続きをないがしろにすることは、絶対に侵してはならないことである。国民主権の大原則に明らかに反する。
また、主権者との約束を踏みにじり消費増税に突進している。普天間問題では沖縄県民の意思など頭にないらしい。あるのは、米国の命令に従うことだけだ。
3月1日に在日アメリカ商工会議所が主催するシンポジウムが東京で開催され、米国USTRのカトラー代表補が日本のTPP参加への期待を表明した。TPPは1989年にパパブッシュ大統領の時代に始めた、SII(日米構造障壁協議)以降、米国が一貫して画策している、日本の諸制度の米国化戦略上にあるものだ。
93年~2000年にかけてクリントン政権は、SIIを引き継ぎ、結果重視主義を打ち出したが、この下で、日本に対する内政干渉の指令書「年次規制改革要望書」が提示され続けてきた。
米国は2008年秋に規制改革要望書を中止すると同時に、TPPに参加した。二国間協議でらちの明かない日本の制度改革を、日本をTPPに引き込むことによって実現させようと目論んだのだ。
主権者国民は、どの政治勢力が、本当の意味で主権者国民の利益を守ろうとしているのかを正しく知らねばならない。その時、もうひとつ忘れてならないことは、マスメディアが米官業利権複合体の一味であることだ。メディアは米官業の利益を損なう、主権者国民の利益を代弁する政治勢力を抹殺しようとする。
メディアはこの理由から、民主党内正統派=正統民主党である小沢-鳩山ラインを強硬に攻撃し続けている。
この点を踏まえて現実を見ると、ものの見え方が一変する。
主権者国民にとって、極めて重要で、支持し、守らねばならない政治勢力は正統民主党=小沢-鳩山ラインということになる。
お知らせです!
2月25日に有料メールマガジン読者向けに生配信した「サタデーナイトライブ 天木×植草の時事対談」のアーカイブ動画配信が始まりました。
今回は、「日本はどこまで米国に支配されているのか」を議題に、小沢裁判とこの国の警察・検察・司法の闇、対米隷属を続けるこの国の政治・政策運営などの諸問題について、約90分間ノンストップの白熱した議論を行いました。
有料配信で誠に恐縮ですが、ご高覧賜りますよう謹んでご案内申し上げます。なお、メルマガ読者様は、今回のアーカイブ動画を無料でご覧いただけます。
●サタデーナイトライブ 天木×植草の時事対談
日本はどこまで米国に支配されているのか
【価格:315円(税込)】
なお、今回配信分につきましては、収録時に雑音が入ったために、一部お聞き苦しい箇所がありますことをご了承下さい。
視聴をご希望の方は、[この記事のみ購入する 315円(税込)]より、手続きをお願いします。登録いただきましたメールアドレス宛に、動画の視聴方法をご案内します。
続きは
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第154号「TPP・消費税・普天間・原発についての正しい考え方」
でご購読下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年2月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
日本の再生 著者:植草 一秀 |
![]() |
【送料無料】日本の独立 |
![]() |
【送料無料】TPP亡国論 |
![]() |
【送料無料】誰が小沢一郎を殺すのか? |
![]() |
【送料無料】原発のウソ |
![]() |
【送料無料】売国者たちの末路 |
![]() |
【送料無料】知られざる真実 |
« 嘘つきなノダ氏の消費増税密室談合謀議が発覚 | トップページ | 民主主義の手続き無視NHK大越健介の支離滅裂 »
「悪徳ペンタゴンとの最終決戦」カテゴリの記事
- 江田新党と政界再編をメディアが過剰報道する理由(2013.12.09)
- 中日新聞世論調査が示す「総選挙争点はこれだ」(2012.10.03)
- 主権者国民政権樹立を実現する「フェニックス革命」(2012.09.29)
- 小沢一郎代表無罪確定が逆襲開始の号砲になる(2012.09.27)
- 「国民の生活が第一」が政権奪還に向け本格始動(2012.09.23)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 小沢-鳩山ラインによる権力奪還が日本再生の道:
» 「南京事件」発言の波紋について [ぢゃがいもの冒険~人生は経験と感動~]
中国・南京市で日中文化交流イベント開催が延期 名古屋市の河村市長「残念」
んん
減税を唱え続ける河村さんが、次のターゲットなのか。
立場に応じて発言しなきゃいけない。って理論はわかる。
中国との関係、大事にしなきゃ。
河村さんの発言を直接聞いたことがあるわ... [続きを読む]
» 【大阪】 徹底的な調査チームに橋下市長も脱帽 ゴミ箱の中から選挙活動に利用する「紹介者カード」 市バス営業所の奥には“隠し部屋” [政治経済ニュース・今私の気になる事]
「現地に行けば、必ず問題が見つかった」。大阪市職員の不適切な組合活動や服務規律などについて実態を調べ、問題点を中間報告にまとめた市特別顧問の野村修也弁護士は、1日開いた記者会見で調査の過程を振り返った。市側から組合側への「ヤミ便宜供与」、職員採用をめ…... [続きを読む]