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2012年3月12日 (月)

がれき処理を進めるために必要なこと

震災から1年が経過したが、傷は癒えていない。関連死を含め2万人以上の尊い命の犠牲、34万人が依然として避難生活を強いられ、11万7000人が仮設住宅生活を強いられている。

 
 昨日出席した祈りの会で、気仙沼の子供5名が素晴らしい八幡太鼓の演技を披露してくれた。言葉には表せぬ思いを乗り越えて今日まで来ただろう。明日に向かって生きる子供らのエネルギーに深く感動した。

 
 この世に理不尽、不条理は絶えることがない。しかし、人は、いかなる理不尽や不条理があろうとも、それを乗り越えて生きてゆくのである。

 
 明日の希望を信じて、しっかり大地に足を踏みつけて、一歩一歩、明日に向かって歩みを進めてゆく。

 
 必ず、新しい未来が開けてゆく。

 
 犠牲になられた多くの御霊の安らかな眠りを祈り、家族と、愛する人と,友との別れを強いられた人々の心が少しでもいやされることを祈り、心や体に傷を負った同朋の一刻も早い回復を願い、被災地の一刻も早い復旧・復刻を願い、天地の神々に畏敬の念を抱き、明日に向かって祈る。そして、明日に向かって進む。これしか、私たちにできることはないだろう。

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政府は私たちが私たちのために作るものである。天上にいて、上から慈悲を賜う存在ではない。私たち自身が私たちのために、共同で創設するのが、私たちの政府である。

 
 このような天災地変に襲われた時こそ、政府が政府の本来の役割を迅速に発揮しなければならない。

 
 このようなときに、正しく役割を果たさない政府なら、私たちはその政府を即刻差し替えなければならない。

今回の災害がきわめて特殊であるのは、単なる自然災害ではなく、この自然災害を原因として、原発核暴走事故が発生したことである。

 
 自然災害の傷は、どんなに大きくても、長い時間が少しずつ問題を収束してゆく。もちろん、その傷は果てしなく大きく、人々が受けた悲しみや苦しみを、軽く総括などできないことはその通りだ。

 
 それでも、天災地変は地球の歴史上、何度も繰り返してきたし、人々は、そうした自然の猛威に対して、畏怖と畏敬の念を抱き続け、厳しくとも、自然の中で生き抜いてきたのである。

 
 しかし、今回の災害は、そこに核事故という、特殊な事情が加わることによって、まったく異質の側面を垣間見せている。

 
 
 がれきの処理、農林漁業への影響は、問題の根源に放射能という、特殊性があるからこそ存在している問題である。

 
 私たち日本は、第二次世界大戦で広島、長崎で大きな傷を負った。その傷跡は容易に癒えることなく、いまなお、その後遺症が残されている。この体験を風化させてはならないのだ。

 
 戦後、日本が原子力に手を染めることになったのは、米国が強力に誘導したからである。南太平洋で第五福竜丸が被ばくしたその時期に、日本における原子力利用が強引に推進されていった。

 
 しかし、世界の原子力利用はその後に大きな転換点を迎える。

 
 米国でスリーマイル島事故が発生し、ソ連でチェルノブイリの大事故が発生したことにより、原子力の平和利用の言葉自体に大きな疑問が持たれることになった。

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絶対に起こしてはならない事故を引き起こしてしまったのなら、そこでゲームオーバーである。原子力は重大事故を絶対に引き起こさないとの制約条件の下でしか利用できない技術である。その原子力利用が重大な事故を引き起こした。

 
 今回の事故は、半歩誤れば、現状とは比較できない程度の深刻な事態を引き起こしていたものである。

 
 地震の巣の上に立地する日本。その地震活動が活発活動期に入ったと見られる。震度7クラスの地震が原子炉直下で発生するということはいくらでも想定できる。

 
 今回並みの津波が日本国土に襲来することも、合理的に予想できる。

 
 現在の原子力発電所の備えは、震度7の地震、高さ15メートルの津波に耐えうるものでない。

日本の発電能力は原子力発電をまったく利用しなくても、ピーク時電力利用を賄える水準にある。脱原発は直ちに実行できる選択肢なのだ。

 
 短期的にせよ、中期的にせよ、脱原発に進むのかどうかは、国民が判断する問題だ。国民投票を実施して、この重大な選択肢の中から、日本の針路を決定する必要があるだろう。

 
 
 こうした中で、いま、論議の焦点になっているのは「がれき処理」である。放射能に対する強いアレルギー、拒絶反応は起こるべくして発生している。

 
 政府の説明が一貫しておらず、各種規制に一貫性がないことが、国民の強い不信を生んでいる。この点を無視して、警戒論を述べる国民を罵倒するのは間違っている。

日本は法律で、一般成人の被ばく量上限値などを定めてきた。一般成人で年間被ばく量上限は1ミリシーベルトとされてきたのだ。

 
 それが、福島では子供に対して、突然、年間50ミリシーベルトの上限値が設定された。この新基準に対して心配を感じない親がいるなら、その親の感覚が不自然だ。

 
 低線量被ばくの人体への影響は、科学的に完全には明らかにされていない。影響はないという説と影響はあるという説が併存している状況だ。

 
 その影響は、確率分布として表現されるが、その確率分布がどのレベルであればよいのかどうかは、個人の判断によって大きく分かれるところでもある。

詳しくはメルマガに記述したが、がれき処理を進める前に、原発事故の責任処理を適正に行うことが必要不可欠なのだ。これが、不透明、不公正、不正義に行われているため、すべてのものごとが前に進まなくなっているのだ。

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●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者)
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