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2012年2月23日 (木)

大阪維新の会を過大評価する愚かしさ

「大阪維新の会」なる存在がマスメディアで膨大に報道されているが、「船中八策」の骨子を見る限り、その理由は不明だ。
 
 日本政治の構造が根底から刷新されてしまうことに対する既得権益勢力の恐怖が、「みんなの党」や「大阪維新」などの人工的な新党構想を生み出している背景であると思われる。
 
 2008年夏にフジテレビが政治ドラマ『CHANGE』を放映した。この放送終了に合わせて「みんなの党」を立ち上げる予定だったのだろう。しかし、準備不足で「みんなの党」の発足が遅れた。
 
 総選挙で「みんなの党」はそこそこの成績を上げたが、投入された情報媒体のエネルギー量を考慮すると、惨敗というのが実情だったのではないか。
 
 その活動の第2弾が大阪維新の会であると私は理解する。
 
 メディアの動員は常軌を逸している。
 
 既得権益勢力は、今度はこれを総選挙での台風の目にしようとしているのだと思う。

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「船中八策」の各論はどうでもよい。優れた提案があれば、それは、日本中で活用すれば良いだろう。良い提案が皆無というわけでもないからだ。だが、それは枝葉末節だ。
 
 大事なのは政策の柱だ。
 
 中央集権を地方分権にすることに賛成する者は多いと思うが、船中八策には、どのような手順で地方分権を実現するのかが示されていない。
 
 私の提案は何度も述べているが、日本を人口40万人規模の基礎自治体300に分割して、この基礎自治体に強い権限を付与するというものだ。
 
 面積ではなく人口で区分するのは、地方行政を運営する主役が「ヒト」だからだ。優れた人材の分布が均等であるなら、人口40万人で区分することで、基礎自治体の競争条件を均等化できる。
 
 各自治体が優れた人材を積極的に登用して、それぞれの自治体行政に活かしてゆくのだ。
 
 大阪維新の会は地方分権が大事だと主張するが、具体的にどのように日本全体の地方分権を進めるのかが不明だ。
 
 財源調整について、私の考えは明確だ。財源の賦存状況には大きな偏りがある。この偏りをならさなければ、地域間格差が大きくなりすぎる。したがって、財政調整制度を構築して財政調整を行う。
 
 国が税を集めて地方に配分しても何も問題はない。上から下に交付するとの考え方を排すればよいのだ。地方財源を地方に代わって国が代行して徴収するとすればよいのであり、徴収した税金は区分として地方税収として扱えばよい。

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大事なことは、基本理念、基本政策方針なのだ。
 
 この点を考察する限り、大阪維新と小泉竹中政治とは、同類であると思われる。
 
 どこが同類であるかというと、
 
1.対米隷属であること
  言葉遣いは、日米同盟基軸などと言いかえてもよいが、要するに、米国にひれ伏すということだ。
  日本政治に働く大きな力はこれである。どこから働いているのかと言えば、米国だ。
 

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  米国は、日本支配を絶対に維持したいと考えている。日本の自立を目指す存在は、「敵」と見なされる。
  自分の利益を優先する者は、必ず対米隷属になる。
  メディアに登場する人々を分類してみれば良い。
  自分の損得重視の者は、まず間違いなく対米隷属派である。

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2.市場原理主義であること
  私は競争原理、市場メカニズムを否定しない。しかし、市場メカニズムに過度の信頼を置かない。競争原理、市場メカニズムでは解決し得ない問題、あるいは、市場メカニズムや競争原理が持つ弊害が無視できないほどに大きいからだ。
  欧米合理主義に対して、日本には聖徳太子の時代から「和を貴ぶ」風土が存在する。

  「和を貴ぶ」というのは、多様性を認めるということだ。「寛容」であるということでもある。
  橋下氏の姿勢からは、多様性の許容、「寛容」の精神が感じられない。

  市場原理という単線で、世の中をすべて推し量ることはできないのだ。

  子どもが学校に行くということは、カリキュラムを消化することだけが目的ではない。カリキュラムだけが目的なら、在宅学習を認めて、カリキュラム試験だけを課して、この試験を合格した者だけを進級させればよいということになる。

  学校に行くというのは、カリキュラムを学ぶだけでなく、社会を学ぶということでもあるのだ。進級をカリキュラムの習得という「単線」のみで理解するところに、懐の深さが欠落している。

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3.官僚利権を温存すること
  「みんなの党」も「大阪維新」も、官僚利権排除と言いながら、実際には、官僚機構と妥協を図る。
  ここにも、「自分の損得優先」がはっきりと表れる。
  本当に行政の仕組みを変えるというのであれば、公務員に定年までの雇用を保証する代わりに、天下りを根絶することを実行しなければならない。
  しかし、その実行には強い抵抗が発生する。この抵抗をはねのけなければ本当の改革は実現しない。しかし、現実に権力を手にすることを優先する視点から見れば、本格的な闘いを実行することは、単なる遠回りしか意味しない。
  つまり、権力をつかむという、自分の損得勘定を優先すると、必ず、官僚機構との妥協が始まるのだ。
 
 
 対米隷属・市場原理主義・官僚利権温存が三本柱ということになると、これは、ほとんど、小泉竹中政治と同じものになる。
 
 恐らく、いや、必ず自民党の小泉・竹中組、すなわち小泉進次郎が合流して来るだろう。すべてはメイドインUSAなのだ。

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もうひとつのポイントは、大資本との関係だ。そもそも市場原理主義とは、「資本の論理」である。
「法人税を下げろ」、
「TPPに参加しろ」、
「雇用を自由化しろ」、
「外国人労働力を輸入せよ」
などの主張は、すべて大資本の主張である。
 
 みんなの党も大阪維新も、大資本の利害を代表している。
 これと表裏一体の関係を為すのが、企業献金の容認だ。
 政党が大資本の利益を代表して行動する。政治家には企業から巨額の献金が上納される。政治家は日本で一番儲かる「職業」になる。
 
 みんなの党はかつて、企業団体献金の全面禁止を主張していたが、これを必ず実現すると公約に掲げることができるか。
 
 大阪維新も企業団体献金の全面禁止を公約に掲げられるか。
 
 船中八策の骨子を見る限り、企業団体献金の全面禁止の文字は見つからなかった。

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お知らせです!

 128日に配信しご好評いただいた【天木×植草リアルタイム時事対談】の第2回生中継配信が決まりました。
 
 第2回となる今回は、「日本はどこまで米国に支配されているのか」をテーマに、小沢裁判とこの国の警察・検察・司法の闇、対米隷属を続けるこの国の政治・政策運営などの問題についてとことん議論します。
 
配信日時:2012225日(土曜日) 1900分放送開始予定
 
 今回の放送は、有料メールマガジンの読者限定で生中継配信させていただくもので、有料メールマガジン読者は無料でご覧いただけます。対談の視聴をご希望の方は、ぜひこの機会に有料メールマガジンにご登録くださいますようご案内申し上げます。
 
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