貸した金を返せと言えない日本の土下座外交
2月8日に収録された岩上安身氏によるインタビュー動画の一般公開期限が満了に近づいているので、まだご覧になっていただいていない方には、ご高覧賜れればありがたく思う。
インタビュー収録動画はこちら
動画については、「カナダde日本語」の美爾依さんや、「こわれたおもちゃをだきあげて」の高田伸一さまをはじめ、多くの方が好意的に紹介くださっている。この場をお借りして深く感謝申し上げたい。
また、岩上安身氏はIWJという名のインターネット報道メディアを主宰され、会員も募集されているので、ご関心をお持ちの方はIWJサイトをご覧いただきたい。
さて、昨日のメルマガに記述した内容については、日本の全国民が知っておかなければならない重要な内容なので、本日のブログに掲載させていただく。
以前にも記述したことのあるテーマで、日本の外貨準備をめぐる話題である。外貨準備というのは、為替介入が蓄積したものである。
円高が進むと、「大変だー」という声が聞こえてくる。
この声に対応するように、政府が米ドルを買うのだ。これを「ドル買い介入」と呼ぶ。
何を買うのかというと、具体的に買っているのは、米国国債だ。
誰のどのようなお金で買うのかというと、介入のたびに、政府は日本銀行から借金をしている。全額、日銀からお金を借りて、米国国債を買っているのだ。
昨年末時点で、これまでに蓄積された外貨準備は1兆2958億ドルだ。
びっくりするような規模のお金だ。
この外貨準備に、恐るべき秘密が隠されている。
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財政再建が叫ばれる今日この頃、この外貨準備での巨大損失が表面化しているのだ。
この問題について、昨日、2月10日の衆議院予算委員会で、自民党の西村康稔議員が質問した。
西村氏は経産省出身で、同じ経産省出身で「村上ファンド」で一世を風靡した村上世彰氏とも親交があった。事実、村上ファンド関連会社役員から政治献金も受けていた。また、村上ファンド投資家リストに名前を連ねていいたとも言われている。
この西村氏が衆院予算委員会で円高対策が必要だと主張し、財務省のドル買い円売り介入にエールを送ると発言したのだ。
西村氏は、日本政府によるドル買い為替介入賛成論者ということになる。
本ブログ読者は、この問題について私が繰り返し指摘してきた問題をご存じのことと思う。
拙著『日本の再生』(青志社)にもこの問題を詳しく記述した。
国会では、私の主張を参考にしたと思われる江田憲司氏が、初めてこの問題を取り上げた。ドル買い介入による巨大損失問題だ。
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どの規模の損害が生まれているのだろうか。
以下に説明する。
昨年末時点で日本政府が保有する外貨準備残高は、1兆2958億ドル。
1ドル=76円で円換算すると、98.5兆円だ。
2007年6月末の外貨準備残高は9136億ドルだった。
2007年6月末と2011年末の残高差は3822億ドル。この4年半の間に外貨準備残高は3822億増えた。政府がドル資産を買い増したわけだ。
この期間の平均為替レートは
(124+76)/2=100
1ドル=100円になる。
3822億ドルを積み増すのに要した円金額は38.2兆円と考えることができる。
他方、2007年6月末の外貨準備の円換算金額を、
当時の為替レート1ドル=124円
で計算すると、113.3兆円になる。
つまり、
113.3+38.2=151.5兆円
の元手で、昨年末の1兆2958億ドルの外貨準備を保有していることになる。
ところが、1兆2958億ドルの外貨準備の時価総額は、
98.5兆円。
つまり、
151.5-98.5=53.0兆円
の為替損失が生まれていることになる。
財政再建を叫んでいる財務省が、為替投機で、なんと4年半の短期間に、
53兆円の損失
を計上したのだ。
2007年6月に保有外貨準備をすべて金地金に変え、
その後の介入資金もすべて金地金に投資していたら、
現在の時価総額は
228.3兆円
になる。76.8兆円の利益が生んでいた。
76.8兆円の利益と、53.0兆円の損失の落差は129.8兆円。
130兆円の差が生まれたのだ。
さらに重大な問題がある。
日本政府が巨大な外貨準備資産を回収する姿勢をまったく示していないことだ。日本政府が購入し続けているのは米国国債だが、日本政府がこの資金を回収しようとしていない。
米国政府にお金を貸して返してもらわないなら、あげたのと同じことになる。
かつて橋本龍太郎首相が米国大統領に、
「米国国債を売りたい衝動にかられることがある」
と述べたところ、大騒ぎになった。
「なんじゃこれは!」
と思った人が多い。
この点に関して、注意が必要なことがある。
震災後、米軍が日本で復旧活動に協力してくれた。このこと自体はありがたいが、それと引き換えに借金を踏み倒すのではないかということ。
米国はどこかで、
「トモダチに貸した金は返ってこない」
の言い伝えを聞いて、米軍の日本派遣プログラムを
「トモダチ作戦」
と命名したのではないか。
財政再建で巨大増税だと騒いでいるときに、財務省が為替投機で50兆円の損を出している。
母屋でおかゆをすするときに、放蕩息子がマカオの博打で巨大損失かと思いきや、放蕩息子は、ヤクザの親分にゆすられて、上納金を積み上げていたということになる。
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日本の外貨準備が急増したのは小泉竹中時代だ。小泉竹中政権は日本の資産価格を暴落させた時期に外貨準備を激増させた。米国はこの時期に、日本の株や土地を暴落価格で買い占めた。
小泉竹中政権は大銀行をつぶすと言いながら、最終的に大銀行を2兆円の公的資金で救済した。これを契機に日本の株価と地価が暴騰した。濡れ手に粟の巨大利益を得たのは米国資本だ。
「平成の黒い霧」事件の一端である。
貸した金を返して欲しいとも言わず、ただ、ひれ伏すのみ。これを「土下座外交」と呼ばずして何と呼べるのか。
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