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2012年1月11日 (水)

見込み捜査大失態検察を救済した登石判決の狂気

 小沢一郎氏が法廷で証言しているが、どのような問題が裁判の争点になっているのかを明確にしておかなければ、すべての議論が上滑りの議論になる。
 
 いま、裁判で争われていることは、次の事項である。
 
 小沢氏の秘書が提出した政治資金収支報告書に事実と異なる記載があったとされている。
 
 仮に、事実と異なる記載があったとの前提を置いたときに、小沢氏にその責任があるかどうかが審理の対象になっている。
 
 秘書が仮に「虚偽記載」という罪を犯したとの前提を置いて、そのとき、小沢氏が秘書と「共謀共同正犯」という、共犯関係にあったのかどうかが問われている。
 
 いま審理されている裁判の焦点は、政治資金収支報告書への虚偽記載について、小沢氏の共謀共同正犯が成り立つのかどうかにある。
 
 
 マスメディアは大騒ぎをして、小沢一郎氏がまるで重罪人であるかのような報道を繰り広げている。これに加担するキャスター、コメンテーターの姿は本当に醜悪だ。吐き気を催す。
 
 報道機関は公判報道について、被告人の呼称を、それぞれのケースで使い分けている。被告人であっても、「元社長」などの敬称を付けることもあれば、「被告」と表現することもある。客観的な敬称使用基準を公開しなければ、報道姿勢の中立性は確保されない。
 
 日本テレビ、フジテレビなどが、盛んに「小沢被告」と表現して、イメージ操作を行っていることが鮮明に分かる。
 
 
「虚偽記載」を重大問題だとしてメディアが騒ぎ立てているが、「虚偽記載」自体を問題とするなら、「新政治問題研究会」および「未来産業研究会」から献金を受けた政治資金管理団体は、すべて同罪である。
 
 小沢一郎氏の資金管理団体も、献金を行ったこの二つの政治団体名を「寄附した者」として報告した。20名近くの国会議員の資金管理団体が、すべて、二つの政治団体名を「寄附した者」として収支報告書に記載した。
 
 これが、「虚偽記載」という「犯罪」なのだというのが検察の主張である。
 
 これを大問題だとするなら、メディアは、同じ事務処理を行った国会議員の資金管理団体を、同様に糾弾しなければおかしいだろう。

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今回の問題が重大問題であるのかどうかは、一連の政治資金のなかに、「実質的な犯罪」が含まれているのかどうかによって決定される。
 
 収賄、あっせん利得、あるいは巨額の裏金などの問題が存在するのかどうかが焦点なのだ。
 
 これらの「実質的犯罪」が存在したことが完全に証明されるのなら、小沢氏の秘書も小沢氏も、基本的にアウトだろう。
 
 秘書に任せておいたとしても、秘書を管理するのは政治家であるから、収支報告書の詳細を議員が把握していたかどうかが些末的な事項になる。大きな実質的犯罪の存在が証明されるなら、小沢氏および秘書の責任は免れないと思われる。
 
 
 しかし、実質的な犯罪の存在が立証できない場合には、収支報告書上の記載の間違いなど、まったく取るに足らぬ問題になる。小沢一郎氏が詳細まで知っていたとしても、あるいは、まったく関知していなかったとしても、基本的に何の問題にもならない。
 
 ここでいう「虚偽記載」という問題は、背後に重大な「実質的犯罪」がない限りは、重箱の隅のどうでもよい問題でしかないからだ。
 
 検察が問題にしてきた「虚偽記載」は以下の三つしかない。
 
 第一は、「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」という名称の政治団体が行った政治献金を、20名程度の国会議員が、すべて、この名称の政治団体から献金を受けたと収支報告書に記載したことが「虚偽記載」にあたるとされたことだ。
 
 常識で考えれば、これらの国会議員の資金管理団体が採った事務処理が正しいと思われる。現に、すべての資金管理団体がそのような事務処理を行った。
 
 ところが、検察は、これを「西松建設」からの献金だと記載して報告しなかったから「虚偽記載」なのだと主張してきた。
 
 どちらが正しいのかは、実は現時点でもはっきりしていない。二つの政治団体が「架空」の団体で実体がなく、献金が西松建設本体から行われてきたのであれば、収支報告書には「西松建設」と書くべきということになるだろう。
 
 しかし、二つの政治団体には事務所もあり、職員も存在し、会合も開催してきた実績があるなら、収支報告書には二つの政治団体名を記載するのが正しいとするのが、一般的な判断である。
 
 電力会社の役員が電力会社が定めて内規に沿って政治家に献金を行ってきた事実が判明している。議員は、電力会社役員個人からの献金だとして収支報告書に記載してきたが、上記の検察の主張を踏まえれば、これを「○○電力」と記載しなかったことは、「虚偽記載」にあたるということになる。
 
 しかし、そのような事由での摘発はまったく行われていない。

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第二は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」が2004年10月から2005年1月にかけて取得した不動産について、小沢氏の事務所が2005年1月の取得だとして収支報告書に記載したことが「虚偽記載」にあたるとされたことだ。
 
 この不動産取得に関して、資金決済は2004年10月に行われたが、移転登記が行われたのは2005年1月だった。そこで、小沢氏の資金管理団体はこれを2005年の収支報告書に記載した。
 
 12月20日に開かれた第11回公判に、公認会計士や中小企業アドバイスなど会計のプロとして数百の著書がある筑波大学教授である法学者弥永真生(やながまさお)氏が証人として出廷し、この問題について証言した。
 
 不動産の取得時期が登記完了を持って成立したと考えるなら、取得時期は2005年になり、資金の支払いをこれに合わせて2005年としたことは、会計処理上、問題がないことを明言した。
 
 いわゆる「期ずれ」の問題は、会計学の専門家によって、クリアされたわけである。
 
 
 第三は、不動産取得原資として小沢氏が用立てた4億円を収支報告書に記載しなかったことだ。実際に不動産は小沢氏が用立てた4億円を担保にして実行された銀行融資を原資として取得された。
 
 つまり、4億円は単なる「預り金」であり、収支報告書に記載する必要のないものということになる。ところが、検察は、これを資金団体が小沢一郎氏から借り入れた資金、つまり、「借入金」として、収支報告書に記載すべきだったと主張。この記載をしなかったことを「虚偽記載」だと主張しているわけだ。
 
 検察は、4億円がいわゆる「裏献金」、「裏金」であり、この「裏金」の存在を隠すために、「虚偽記載」が行われたとのストーリーを組み立てて、「虚偽記載」が重大な犯罪であると主張してきたのだ。

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ここで、話は原点に戻る。
 
 つまり、一連の「虚偽記載疑惑」が重大な犯罪行為であるためには、どうしても、小沢氏が用立てた4億円が「やましいお金」であることが必要なのである。
 
 つまり、「虚偽記載」そのものではなく、「虚偽記載」を誘発した「実質的犯罪」がその裏側に存在するときに、その端緒として「虚偽記載」が重大な問題として認識されるということになるわけだ。
 
 
 検察が作ったストーリーがまさにこれである。しかし、絶対的な確証もなしに、いきなり、2009年3月3日の大久保隆規氏逮捕に突入していったのは、まさに、「見込み捜査」そのものであった。

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