最初から決まっていた一川・山岡両大臣の更迭
一川保夫防衛相と山岡賢治国家公安委員長兼消費者担当相が更迭される見通しが強まっている。
昨年12月の臨時国会終盤、参議院は両者に対する問責決議案を可決した。これに対して野田佳彦首相は二人の閣僚を留任させるとともに、国会審議を延長せずに臨時国会を閉幕した。
年明けの通常国会で審議が滞ることは想定の範囲内であった。
私は12月6日付メールマガジン第68号タイトルを
「シロアリ王国宰相に堕した野田佳彦氏戦慄の陰謀」
として、野田佳彦氏の行動の裏読みを示した。
以下に一部を転載する。
「国会は12月9日に会期末を迎えるが、このまま国会を延長せずに閉会すると、消費税増税に向けて提出されている国家公務員の給与引下げ法案や郵政改革法案などは成立を見ずに先送りとなる。
野田佳彦氏は一川防衛相、山岡消費者相を更迭せず、国会閉幕で逃げ切る姿勢を示している。
これらの表に出ている事象を裏読みしなければならない。
二人の閣僚に対する問責決議案だが、そもそも大臣罷免を要求するべき事案であるのかどうかを考えるべきだ。
(中略)
問責決議案が可決されると、当該閣僚の参院審議への出席が困難になり、事実上、すべての法案審議に支障が生じることになる。予算については衆議院の優越があるが、それ以外の一般法案については、参院での審議が不可欠である。
国会を閉じてしまえば実害はないが、通常国会が開会されれば支障が生じるから、通常国会前には当該大臣の辞任か、内閣改造が必要になるだろう。
現在の流れは、野田氏が二大臣を罷免せずに国会を閉会し、来年1月の通常国会開会前に小幅の内閣改造を行うことが想定されるものになっている。
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こうした出来上がりの図式を眺めてみたときに、そこに浮かび上がるのは、民主党内小沢氏勢力封印である。
私は野田内閣が発足したときから、野田氏が、新内閣に手の込んだ爆薬を仕掛けたのだと感じていた。事実、そのように記述もしてきた。
山岡氏についてはかねてよりマルチ企業とのつながりが指摘されてきた。その内容が法に抵触するものであるのかどうかについては、私は十分な知識がない。しかし、公然と問題が指摘されるなかで山岡氏が議員活動を続けている現状を踏まえれば、法的な問題はないと考えるのが順当だろう。
しかし、その山岡氏をあえて消費者担当相に起用したところに、野田氏の意図が感じられるのだ。
これは一川氏についてもまったく同じことがあてはまる。一川氏を農水相に起用するのなら分かる。鹿野道彦氏を別の閣僚に横滑りさせればよかったはずだ。
しかし、一川氏ではTPPを強引に進めることができないと考えたかも知れない。
(中略)
一川氏や山岡氏に対する批判は、突き詰めていくと、二人の閣僚が持つ属性に照らして考えたときに、この二名が防衛相と消費者相に就任することがおかしいというものであって、必ずしもこの二名が防衛相あるいは消費者相として行った行動が問題とされているのではない。
問責決議を提出する対象は、間違いなく野田佳彦氏だ。
ところが、現実には批判の矛先は二人の閣僚に向けられている。その背後にある謀略の真の狙いは、小沢新党つぶしにあると思われる。
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野田佳彦氏は財務省の振り付け通りに、年内に消費税増税の具体的姿に関する素案をまとめる方針を示している。
これを法案化して次期通常国会に提出するという。
主権在民、国民主権の大原則を踏みにじる暴挙、暴走である。
(中略)
逆に財務省=シロアリ王国では、何としても年内に反消費税国民政党が樹立されることを阻止するとの戦略が練られている。
それが、新党・小沢派緊縛作戦である。
新党に政党交付金が配分される条件は、1月1日に政党の届け出がなされていることだ。年内に新党を立ち上げなければ政党交付金は支給されない。
そこで、野田氏は、年内は二閣僚を罷免しないのだ。小沢派に恩を売るように見せかけて、小沢派を民主党に緊縛しておくのだ。
年が明ければ二閣僚に、もう用事はなくなる。お前の役目は済んだと、内閣改造で斬り捨てるのだ。その際には、小沢派以外から閣僚を起用することもあり得るだろう。小沢派から起用した二大臣が内閣の足を引っ張ったとその行動を正当化するのである。」
野田氏が二閣僚を留任させた時点で、このシナリオは完全に出来上がっていたと考えられる。
民主党内の決定的な対立が続き、非正統派の民主党は、小沢-鳩山ラインのせん滅を執拗に追求しているのだ。野田氏は党内融和を提唱したが、どじょうの腹のなかは泥水で真っ黒だ。
現状での消費税法案可決に反対している自民党も、根っこの部分で消費税増税に賛成しているのは事実である。民主党が消費税増税に寝返り、自民党と結託すれば消費税増税は国会で可決されてしまう。
これは、完全な詐欺である。
国民は民主党非正統派による詐欺を絶対に許してはならない。
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