NHKの伝えない株価が下落し続ける本当の理由
株価の下落傾向に歯止めがかからない。日経平均株価は10月5日、8382円で引けた。取引時間中には8343円まで下落し、取引時間中の株価としては、本年3月15日の8227円以来の安値を記録した。
この株価下落について、NHK7時のニュースは、
「5日の東京株式市場は、大手格付け会社がイタリア国債を格下げするなど、ヨーロッパの信用不安による世界経済の減速懸念が改めて強まったとして、売り注文が増え、日経平均株価の終値はことしの最安値に迫る水準まで値下がりしました。」
と報道した。
いつものことではあるが、株価下落の理由をNHKがどうして断定できるのか。私は30年来、金融市場の変動を分析してきているが、日々の株価変動について、いくつかの株価変動理由を考察することはできるが、断定することはできない。
NHKニュースのなかにある、
「ヨーロッパの信用不安による世界経済の減速懸念が改めて強まったとして、売り注文が増え」
などということは、今日の株式市場で実際に売り注文を出した人にインタビューをして、売り注文を出した理由について真実を語ってもらい、なおかつ、これを市場に出された全売り注文について実施しなければ確認できるはずのないことである。そのような作業をしているわけがない。
市場関係者による説明をそのまま用いているのかも知れないが、その説明が妥当であるのかどうか、判定のしようもない。
少なくとも、
「市場関係者の話では・・・・・」
とするか、
「・・・・・などの理由により、株価が下落したものと見られています」
などの表現を用いるべきだ。
NHKが説明する株価変動の理由が完全に間違っている可能性も大いにある。仮にNHKの理由付けが間違いであるなら、人々に誤った認識を持たせることになるし、逆に、NHKが人々のマインドをコントロールするために、間違いであることを自覚しながら故意にこのような言い回しをしているとするなら、なおさら悪質ということになる。
現実には、後者の可能性が高い。事実とは異なる分析を断定的に述べて、人々の目を真実からそらせることが狙われているのだと思われる。
1997年1月に私は次の経験をした。
1996年の大発会は1月6日だった。この日は皇室関係者が大発会の見学に来られ、株価は小幅上昇で引けた。終値は19,446円だった。
ところが、翌日の1月7日から1月10日にかけて、日経平均株価が急落した。1月10日終値は17,303円で、この4日間で日経平均株価は2143円も暴落した。
このことについて、NHK『クローズアップ現代』が「検証株価暴落」とのタイトルで番組を編成した。放送は1月13日月曜日午後7時半だった。
NHKから私にも取材要請があった。私は1月11日の土曜日に、わざわざNHKまで出向き、VTR取材に応じた。VTRに1時間ほど収録された。
ところが、実際に1月13日のオンエアを見ると、私が説明した主要部分は完全に削除されていた。本筋とはまったく関係のない部分だけがほんの数十秒間放映された。NHKのVTR取材では、取材時間に対してオンエアの時間が極端に少ないのは通常の姿であるので、このことにはまったく驚かなかったが、質問に対して回答した主要部分を意図的に全面カットして放送されたことには、いささか怒りを禁じ得なかった。
番組では、スタジオ司会者と経済部記者が何人かの専門家にインタビューをした内容を紹介し、やり取りしながら番組を進めたが、その素材に私のインタビューが使われたものの、主要な論点は完全にボツにされた。
私は前年の2006年年初から、2006年の経済政策運営上の最大の焦点が消費税増税問題になることを警告し続けた。経済は景気対策で順調に推移するが、性急に無茶な大増税に進めば、すべてを元の木阿弥にしてしまうと主張した。その論点は東洋経済新報社『論争』1996年7月号所収の拙稿『財政再建最優先論に異議あり』に要約して提示した。
1996年6月から1998年10月までの日経平均株価の推移を見ると、日経平均株価は22,666円から12,879円へと2年3ヵ月で約1万円も暴落した。
株価下落の出発点は6月26日だが、実はその前日の6月25日に橋本政権が消費税率2%引上げ方針を閣議決定している。ここから株価暴落が始動し、年末の予算編成で、超緊縮政策がさらに大規模に盛り込まれたことから、年明けとともに株価急落が加速したのである。
・・・・・
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» そりゃ、ギリシャでデモ起きるっしょ [ぢゃがいもの冒険~人生は経験と感動~]
ギリシャ人、ビックリするぐらい「ちょー怠慢」だったもんね。11年7月。
失業を嘆くより、まずはちゃんと働いてください日本人が勤勉すぎるのか
地下鉄もストだって
結構高い確率でいたよ。「あれ?」って思う人。イチローの打率以上に見かけたね。本当にカルチャーショッ... [続きを読む]