財務省がひた隠す復興増税規模3兆円圧縮の財源
震災復興事業を実施するための2011年度第3次補正予算と復興財源の基本方針が決定された。
3月11日に地震が発生してから7ヵ月が経過しようとしている。雪の降り積もるころに地震が発生してから、衛生管理に苦しんだ猛暑の真夏が過ぎ去り、秋の台風・豪雨で浸水の被害を蒙ったのも束の間、もう、再び雪の季節が到来しようとしている。
政府は国民が国民のために作るものである。国民が悲惨な災害に見舞われて、とてつもない苦しみに直面している時にこそ、政府はいの一番に国民の生命、健康、生活を支援するために全身全霊を注ぐべき存在である。
それなのに、7ヵ月もの時間が空費された。
政府が震災復興構想会議の第1回会合を開いたのが4月14日だ。この会議開催からもすでに半年の時間が過ぎ去ろうとしている。
震災復興構想会議を開いたとき、最初に出てきたテーマが「復興増税」の構想だった。
政府の復興構想会議を仕切ってきたのは、もちろん財務省である。財務省にとって大切なのは国民ではない。財務省にとって大切なのはカネである。
財務省にとって大切なのは、役人の利権になるカネである。役人の利権にならないカネはすべて排除の対象だ。財務省が財政再建を叫ぶのは、財政が破綻すると国民が困るからではない。財政が破綻すると役人の利権に回すカネがなくなるからなのだ。
財務省が切り詰めようとする予算支出は常に、国民生活に関わる部分に投じるお金である。子ども手当は、教育に大きなお金がかかり、子どもを産み、育てることをためらう親が大多数だから、その不安を解消するために提案された、優れた施策である。
しかし、プログラムで決定され、すべての対象家計に一律に支給される政府支出は役人の利権にはならない。政治家にとってもうま味のない政府支出だ。だからこそ、「ばらまき」と批判されて廃止されたのだ。
このような理由から財務省がもっとも嫌うのが、1円の利権にもならない「子ども手当」のような政府支出なのである。
社会保障関係の支出、医療保険にかかる支出なども、一般国民が病気になったときに発生する政府支出であり、財務省の利権にはならない。だから、財政再建の号令がかかるとき、まっさきにこれらの政府支出が切り捨ての対象になるのだ。
公共事業も財務省の利権にはならない。公共事業は別の省庁や、その族議員の利権にはなっても、財務省の利権にはならない。だから、財務省は公共事業を削減しようとする。
一方で、財務省の天下り先への政府支出は絶対に切らない。また、時代錯誤の公務員のための高層高級マンション建設には、財政赤字が大変だと言いながら、わずか2棟の宿舎建設のために105億円ものカネを注ぎこむ。
やや横道にそれたが、巨大な地震災害が発生し、被災地の人々が地獄の苦しみを味わっているときには、一刻も早く、対応策を決めて実行するのが政府の役割である。それを7ヵ月も放置した。
すべての原因は「復興増税」にある。
財務省は増税の方向が確定するまでは、被災地の復興対策には絶対に真剣に取り組まない方針を初めから決めていたのである。それが、4月14日の第一回目の復興構想会議に鮮明に表れた。
「被災地の復興に全身全霊で取り組む」というのが、第一回の復興会議方針であるというのが、正気の方針である。ところが現実には、この一回目の会議で、まず、「復興増税」が提示されたのである。
主権者国民はこのような政府を本当に支持し続けるのか。
主権者が別の選択を示すためには、別の提案を明確に掲げる政治勢力が登場することが不可欠である。そのような政治勢力が登場して、総選挙の際に公約に掲げる。そして、この勢力が総選挙で衆議院の過半数を確保すれば、その政策が実現することを期待できる。もう一度、政権交代を実現させなければならない。そのためには、まず、新党が必要になる。
政府は震災復興事業の規模を23兆円と示した。過少な数字だ。しかし、この問題はとりあえず横に置き、その具体化策をよく検討しなければならない。
政府はこのうち、19兆円を当初の5年間で実施すると説明しているが、なぜ、23兆円全体が当初の5年間に含まれないのか、理解に苦しむ。
4兆円分は復興増税でカネだけ獲得しておいて、政策実行をうやむやにして、4兆円を横領しようとしている疑いが濃厚だ。
2011年度の第1次、2次補正予算で6兆円の予算措置が終わっているので、残りが13兆円。このうち、9兆円を第3次補正予算に盛り込み、3兆円を2012年度当初予算に盛り込むとしている。残りは1兆円だ。分かりにくいことをせずに、2012年度に4兆円を計上すればよい。
問題はその財源だ。
補正予算規模は12兆円になる。震災復興対策9兆円以外に、国民年金の国費負担分引上げにかかる予算措置などが盛り込まれるからだ。復興財源としては23兆円から予算計上が済んだ6兆円を差し引いた16兆円強の財源をどのように捻出するかが検討されてきた。
その答えとして、税外収入7兆円、復興増税11.2兆円が提示されている。
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〔丸山健二『首輪をはずすとき』より〕
まったく知らなかった、というより想像すらしなかった。
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