米倉経団連会長が高い倫理が基本と語る滑稽さ
日本の経済界を代表する人物が米倉弘昌氏だとするなら、日本の経済界の人材の薄さはかなり深刻と言わざるを得ない。米倉氏が何を発言しようとも米倉氏の自由だから構わないが、いささか常識、見識、知識を欠いていると見られる人物の発言を大きく伝えることをメディアは控えるべきだ。
また、消費者団体などが国民の声を正しく公表するべきだ。
米倉氏は強欲資本主義が衣服をまとっているだけに過ぎないように見える。
TPPは日本の破壊をもたらすもので、百害あって一利なしだが、米倉弘昌氏が頓珍漢なコメントを出し続けている。
ANNは次のような報道を行った。
「経団連の米倉会長は、TPP=環太平洋経済協定への交渉参加をめぐる鹿野農林水産大臣の慎重姿勢について、「農業をつかさどる大臣が弱腰では困る」と厳しく批判しました。
経団連・米倉弘昌会長:「一日も早く交渉に参加するということが必要であろうと思います。そもそも農業をつかさどる大臣がそういう弱腰では困る」
米倉会長は、鹿野大臣が「(TPPへの結論に)期限を表明するのは、プラスに向かうことだけではない」などと発言したことについて、「一日も早く交渉に立つことが必要だ」と反論しました。また、民主党内の反対論についても「選挙等々を考えずに、国益を考えて農業をいかに強くするかだ」と訴えました。そのうえで、米倉会長は「農業は経済連携あるなしにかかわらず強化し、需給率を上げることが必要だ」と述べ、国際競争力の向上や担い手育成など抜本改革に取り組むよう求めました。」
日本の関税率は、全品目、農産物のいずれにおいても、主要国と比べて高すぎるということはなく、日本市場は十分に開かれている。
日本が諸外国から非開放的である、反自由貿易主義だと批判を受けるいわれはまったくない。
TPPは元々2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定である。その後、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアが参加を表明し、昨年11月のAPEC横浜総会で、
「2011年までに妥結と結論を得ることを目標としたい」
との方針を確認した。
しかし、このFTAに中国、韓国は参加しない。各国は、TPP参加のメリット、デメリットを冷静に考察して、国としての方針を決めている。
日本では、昨年11月のAPEC日本総会開催まで、ほとんど論議もされず、昨年10月になって、突如、TPP交渉への参加問題がとり取り沙汰されるようになった。
2010年6月に突然、首相に就任した菅直人氏は、11月のAPEC横浜総会の直前まで、何の準備もしていなかった。この脳内の空白を突かれ、米国が日本をTPPに引きずり込む謀略を仕掛けてきたのだ。
私たち日本人は、日本のなかに巣食う売国者、売国奴の存在を、いまやはっきりと認識し、これを駆除する活動を本格的に始動させねばならならぬ。
2009年8月総選挙を通じて、主権者国民政権が樹立されたと祝福し、美酒に酔いしれる暇もないまま、利権複合体勢力の強烈な巻き返しに直面し、政権を奪われた。さらにそれだけでなく、主権者国民政権を再樹立するための切り札でもある小沢一郎民主党元代表に対する、激しい謀略工作が白昼堂々と、我々の面前で繰り広げられる光景を見せつけられている。
米倉弘昌氏の不見識は、衆目の一致するところだろう。
あの大震災・原発核暴走事故が発生した直後、福島第一原発が人類史上最悪レベルの凶悪放射能をまき散らしているさなか、福島原発について、
「津波に耐えて素晴らしい、原子力行政はもっと胸を張るべき」
と述べた人物である。
4月6日には、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の単独インタビューに答えて、
「(東電が)甘かったということは絶対にない。要するにあれは国の安全基準というのがあって、それに基づき設計されているはずだ。恐らく、それよりも何十倍の安全ファクターを入れてやっている。東電は全然、甘くはない。」
と述べた人物でもある。
独立行政法人産業技術総合研究所は869年に発生した貞観地震津波が巨大津波を発生させたことを裏付ける津波堆積物調査の結果として、東北地方太平洋岸で450年から800年程度の周期で巨大津波イベントが観測されているとの調査報告をまとめていた。
これらの調査をもとに、2009年6月24日開催の総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 耐震・構造設計小委員会で、福島原発の津波対策が明らかに不十分であることを再三指摘した事実も残されている。
福島原発事故の最大の発生原因は、東電および国が、想定される津波に対する備えを怠ったことにあることは明白である。
それを、
「(東電が)甘かったということは絶対にない」
と断言してはばからない人物のどこに、見識があるというのだ。
また、米倉氏は震災後に為替レートが円高に振れたことについて、WSJのインタビューで、
「資本主義のベースは高い倫理観がベースにある。これがなければ資本主義はうまく回転しない。これにもかかわらず、金儲けのためだけにこういった為替のディールをやるということは、私は経済人として許しがたい。」
とも述べた。
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