小沢一郎氏周辺事件が示す日本民主主義の危機
去る9月26日、小沢一郎氏の元秘書である、石川知裕衆議院議員、大久保隆規氏、池田光智氏に対する、執行猶予付きの禁固刑判決が示された。
この判決では、検察自身が立件できず、立証できなかった水谷建設からの裏金疑惑を明確な証拠もないなかで裁判所が事実認定するという驚くべき現実が示された。
東京地裁登石郁郎裁判官の常軌を逸した判決を踏まえ、小沢一郎氏周辺に対する国家権力からの攻撃の基本的性格についての分析、判断が改めて多くの出席者から指摘された。
小沢一郎氏および小沢一郎氏の元秘書に対する検察や検察審査会からの攻撃について、これまでは、当該裁判を、ひとつの裁判案件として捉え、いかに被告無罪が正当であるのかという、個別の裁判案件に対する論評を中心に議論が重ねられてきた。これに対して、今回のシンポジウムでは、講演者のすべてから、この事案が、単なる個別の裁判事案という枠組みを超えた、「日本の民主主義の危機」との側面を有する事案であるとの認識に基づいて、日本の民主主義の根本問題であるとの指摘がなされた。
平野貞夫元参院議員からは、この点に関して、
「歴史に残る画期的な意味を持つシンポジウム」
になったとの論評がなされた。
つまり、一連の裁判案件を個別の裁判案件として捉え、有罪、無罪を論じることは無論重要なことではある。しかし、この問題についての考察を単なる個別裁判案件として捉えるだけではなく、国民の視点から、日本の民主主義の根幹に関わる重大事案として考察することが何よりも重要である。
この点について、出席者全員から共通の認識が明示された点に、今回シンポジウムの重要な意義があったと評価できるのだ。
冒頭、小沢一郎議員を支援する会代表の伊藤章弁護士から、「判検交流」に代表される検察と裁判所の癒着についての問題提起があった。
今回の暴走判決を執筆した登石郁朗弁護士はいわゆる「判検交流」人事で裁判官でありながら、法務省刑事局付検察官として検察官職を務めた経験を有する裁判官である。
刑事事件を担当する検察官を務めたこと自身が、検察法務行政との極めて深い関わりを象徴する事実であるが、日本では裁判官と検察官とが深く交流し、いわば家族的なつながりをもって裁判が行われるという、一種異常な風土が形成されている。
三権の分立は、民主主義の根幹をなす重要な原理原則である。ところが、日本では、この三権の分立が確保されていない。政治権力が司法権力を掌握し、政治的敵対者を司法権力を用いて抹殺するなら、その国は、もはや民主主義国家とは言えなくなる。
小沢氏および小沢氏元秘書に対する国家権力の濫用、さらに司法による弾圧は、日本の民主主義の危機を象徴する、検察ファッショを象徴する事案であると捉えることが、国民視点から見る場合に不可欠の視点である。
川内博史議員からは、「この国に民主主義は実現していない」との認識が示されるとともに、関係者全員の無罪を勝ち取るための「大衆闘争」が求められているとの指摘もなされた。
石川議員は、何としても無罪判決を勝ち取らねばならないとの強い決意が示された。
辻恵議員からは、刑事裁判の鉄則である、
①証拠に基づく裁判
②無実の人間を処罰してはならないとの刑事裁判の鉄則
③無罪推定原則
のすべてが、踏みにじられていることに対する、厳しい糾弾が示された。
森ゆうこ参院議員からは、現在、文部科学副大臣として内閣の一員として活動しており、原発問題への対応策を検討するために、チェルノブイリ原発事故の調査を目的にウクライナを訪問した直後であることが報告された。
その際に、ウクライナで元首相が国策捜査で訴追を受けている問題に関して、欧州諸国から強い憂慮の声が示されていることとの関連で、日本の事案についても、国際社会の視点から、決して他人ごとではないとの認識が示された。
三井環元検事からは、2009年3月以来の小沢一郎氏周辺に対する国家権力を用いた検察権力行使について、これらの行為が通常の法務察の判断から生じた可能性はゼロであるとの見解が示された。
そのうえで、検察によるすべての残記録の開示、全面可視化を実現する法改正の実現を目指して、市民が連帯して大きな国民運動を展開することの重要性が指摘された。
また、元検察官として、証拠構造から判断して100%の確率で小沢氏は無罪になるとの見解が示された。
小沢氏および三名の元秘書の完全無罪を勝ち取らねばならないことは当然のことであるが、裁判で無罪を勝ち取れば、それで目的が果たされたということにはならない点に十分な認識が求められる。
問題の本質は、「日本の民主主義の危機」という側面にあるからだ。
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