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2011年9月15日 (木)

庶民大増税・大企業には減税どじょうの腹はまっ黒

美辞麗句を並べるだけで、心を正すことも誠の意(こころ)もない行動様式を
「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」
と呼ぶ。
 
「無礼」は粗雑だが誠がある。無礼を隠さないからだ。
しかし、「慇懃無礼」には「誠」がない。
 
「慇懃無礼」ほど醜いものはない。
 
 復旧、復興、経済成長、福島、福島と政治家が連呼しても何の意味もない。
 
 空虚な言葉を一言も発せずとも、中身のある政策を提示すれば、それで良い。
 
 復旧、復興、原発収束と叫んでも、具体的に出てくるのは増税話ばかりではないか。
 
 政府の震災復旧・復興政策の費用見積もりは19兆円だ。このうち、6兆円は第一次補正、第二次補正で予算計上済みだ。
 
 残るは13兆円。すでに予算計上した6兆円のうち、1.5兆円は2011年度予算の流用、2兆円は2010年度決算剰余金で賄った。残る2.5兆円の財源がまだ確定していない。

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政府は今後計上される13兆円の支出と財源未確定の2.5兆円の合計15.5兆円の財源を確保しなければならず、このなかの12兆円を復興増税で賄う案が浮上している。
 
 15.5兆円と12兆円の差額は3.5兆円だが、政府は政府資産売却で調達する資金を3.5兆円しか見込んでいないことになる。
 
 増税の方法として浮かび上がっているのは、所得税を10%5年、あるいは5%10年引上げて、法人税について、税率5%引き下げを3年間先送りするとの案だ。
 
 吐き気をもよおすプランだ。正真正銘、野田佳彦氏は財務省のロボットであると言わざるを得ない。この政策のどこが政治主導なのだ。ここまで財務省の言いなりになるなら、いっそのこと財務省事務次官勝栄二郎氏を内閣総理大臣にして、野田佳彦氏が財務省事務次官に就任するべきだ。
 
 所得税と法人税の増税と言うが、中身をよく見てからものを言ってもらいたい。
 
 法人税は、5%税率を引き下げるのを3年間先送りするだけの話だ。増税ではない、3年後に減税を実施するという政策である。
 
 所得税を10年間5%、あるいは5年間10%引き上げるのだと?
誰が所得税を払うのか?消費者ではないか。
 
 そして、2010年代半ばに消費税率を10%に引き上げる?
誰が消費税を払うのか?消費者ではないか。
 
「庶民と胡麻は絞れるだけ絞れ」をそのまま進む政策だ。野田氏は泥だらけの沼で黒く濁った砂を食べ過ぎて、腹のなかが真っ黒であると、国民は用心しなければならない。こんなどじょうはとても喰えたものではない。

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菅直人前首相は何度も繰り返した。「大きな税制改正を行うときには、必ず、その実施の前に国民に信を問う」と。
 
 財務省に操られる野田佳彦氏の暴走を国民は絶対に許してはならない。暴走を続けるなら、一揆を起こさねばならぬ。国民一揆である。
 
 15.5兆円の復興財源は、100%政府資産の売却で賄える。日本たばこ、日本郵政、NTT、東京メトロなど、政府保有株式の売却だけで、すべてを賄える。まずは、郵政改革法案を通すべきだ。
 
 1.2兆ドルの外貨準備資産は、いずれ紙くずになるぼろ資産だ。一刻も早く、円に換金して、これを復興財源に当てればよい。
 
 日本の外貨準備は2007年から2011年までの4年間だけで、なんと45兆円もの損失を生み出しているのだ。財テク巨額損失不祥事の総本山である。政府が何も騒がないのは、巨大な責任問題を避けられないことと、この資金を米国への上納金だと考えていることによると思われる。
 
 米国のバイデン副大統領が民主党代表選のタイミングで日本に来たが、代表選工作資金について伝達した可能性が高いと思われる。野田氏は8月以降の介入で4.5兆円もの資金を米国に上納した。その一部が日本に還流して、代表選工作資金に充てられたと考えるのが読み筋の平均値だろう。
 
 法人税減税を喜ぶのは大資本だ。野田佳彦氏は経団連と手を結び、減税は大資本に、増税は一般庶民にとの大原則を確約した。だから、経団連との蜜月が始まった。
 
 復興資金を増税で賄う必要は皆無である。百歩譲って政府資産売却で賄わないなら、建設国債を出せばよい。復興政策の支出は大半がインフラ整備である。インフラは平均60年間価値を発揮するのだから、60年間の均等返済が最も合理的だ。

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米国、官僚、大資本。この三者が、戦後日本の支配者だ。
 
 2009年8月総選挙を通じて実現した政権交代は、この米官業トライアングルによる日本支配を打破するためのものだった。
 
 ところが、鳩山政権が倒されて菅政権が樹立された。この菅政権は日本の政治権力を米官業トライアングル支配勢力が奪還したクーデター政権だった。
 
 これをそのまま引き継ぎ、さらに、米国、財務省、経団連の意向をそのまま反映する体制が、野田佳彦政権である。
 
 しかし、復興増税は一円も必要がない。やめるべきだ。ところが、自民党も復興増税推進派である。谷垣禎一氏に至っては、財源を建設国債で賄うことは絶対にしないと約束できるかと質し、復興増税を積極的に推進する姿勢を示している。
 
 米官業トライアングル=利権複合体勢力の代理人である民主党現執行部と自民党は、まったく同種同源なのだ。
 
 大連立を組もうが組むまいが、米官業利権複合体勢力が巨大化していることは間違いないのだが、この利権複合体勢力にただひとつ、致命的な欠陥がある。

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それは、今の民主党執行部も、自民党も、どちらも主権者国民から政権を委ねられていないということだ。
 
 2009年8月総選挙で勝利したのは、民主党の旧執行部である。この旧執行部は、日本政治の基本構造を、「米官業による支配」から「国民による支配」に変えることを主権者との契約に盛り込んで、総選挙で大勝利したのだ。
 
 2010年7月参院選は、菅直人氏が掲げた消費税率10%への引き上げを巡る国民投票でもあった。結果は、明白にNOであった。
 
 この菅直人マニフェストをそのまま継承する野田佳彦民主党が、主権者国民の意思を反映していないことは明白である。
 
 民主主義の根幹を踏みにじる暴挙が続いているのは、堕落した御用メディアが、非正統、悪徳の野田佳彦政権を懸命に絶賛しているからだ。何も考えない国民は、この情報操作に流されるかも知れない。
 
 だから、どじょう料理屋が流行ったりする珍現象が生じたりしているのだ。どじょう料理屋は、出来るだけ早くに売上を伸ばしておくべきだ。どじょうのどの字も見たくないという庶民が激増する時が来るのは、時間の問題と考えられるからだ。
 
 米国、官僚、大資本が、自分たちだけが栄え続けるために、国民をどじょうの蒲焼きにして食い尽くす計画が推進されているだけなのだ。

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野田佳彦氏は、増税と騒ぐ前に、財務省の天下りを切れ
 
 日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫、日本銀行、東京証券取引所、日本たばこ産業株式会社、横浜銀行、西日本シティ銀行への天下りを、まず全面禁止してみるがよい。
 
 財務省は、天下り天国の氷山の一角のこの措置を直ちに断行して初めて、増税についてものを言う資格ができる。
 
 これらの機関や企業には、長年勤め上げてきた優秀な職員がいくらでもいる。そこに上から舞い降りて、甘い蜜を吸い尽くす構造を、まず断ち切るべきなのだ。
 
 過去20年間、日本の悲劇は、財務省が政権を直接支配する時に発生していることを忘れてならない。時の首相が財務官僚を崇めてしまうとき、政治は国民主導をはずれて、官僚主導=財務主導に陥り、日本国が悲劇に陥れられるのだ。

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