« 野田佳彦氏と小泉元首相・与謝野馨氏は同じ穴の貉 | トップページ | 東北の野菜や肉についての正しい考え方 »

2011年9月 7日 (水)

増税・原発・基地・献金・天下りが次期総選挙の争点

「格闘する21世紀アポリア」を主宰される不破利晴氏が、
「国民のレベル、政治家のレベル」

と題する記事で、S・スマイルズの「自助論」の一節を引用され、論評を示されている。引用された一節を転載させていただく。
 
「政治とは、国民の考えや行動の反映に過ぎない。どんなに高い理想を掲げても国民がそれについていけなければ、政治は国民のレベルにまで引き下げられる。逆に、国民が優秀であれば、いくらひどい政治でもいつしか国民のレベルまで引き上げられる。つまり、国民全体の質がその国の質を決定するのだ。」
 
 日本政治の現状は、国民の水準を示しているということになる。
 
 2009年8月総選挙を通じる政権交代によって、日本政治は根底から大きく変革するとの期待が沸騰した。現実に日本政治を根底から変革するための政策課題=アジェンダが提示されたのは事実である。
 
 しかし、明治以来の140年、敗戦以来の65年の長期にわたって維持された日本の政治構造における既得権益者=日本の支配者が易々とその地位を明け渡すとはもとより考えられなかった。
 
 米国・官僚・大資本のトライアングルが日本支配の実権を握り続けてきた。そして、その手先として活動する利権政治屋と御用電波事業者=マスゴミもその利権のおこぼれの頂戴にあずかってきた。
 
 この利権複合体=悪徳ペンタゴンが、米官業による日本政治支配の構造を堅持しようと、死に物狂いの抵抗を演じることは明白だった。

人気ブログランキングへ

重要なことは、これらの利権複合体による巻き返しを主権者である国民が認識し、それを許さないことである。
 
 主権者国民は、その後の国政選挙である2010年7月参院選でも、利権複合体による巻き返しを許さないとの意思を表示した。利権複合体によるクーデター政権である菅政権に不信任を突きつけ、菅直人氏が突然持ち出した消費税大増税提案にも明確にNOの意思を示した。
 
 しかし、民主党が利権複合体勢力に牛耳られている現状では、次の総選挙で、主権者国民による政治確立を訴える政治勢力が存在しない状況になる。与党も野党も利権複合体勢力が仕切る政党では、主権者国民が主権者国民によって支配する政治の実現を目指しても、その意思を受け入れる受け皿政党が存在しないことになる。
 
 利権複合体が支配する政治から脱却するための具体策は、先の総選挙でも明示された。
 
①普天間基地の県外・国外移設
②官僚天下りの根絶
③企業団体献金の全面禁止
 
の三つだ。

人気ブログランキングへ

野田佳彦政権が発足したいま、この三つの課題をよく見つめ直してもらいたい。脚下照顧である。
 
 野田佳彦氏は普天間を辺野古以外の場所に移設することを、米国に明確に伝えることができるか。辺野古への移設を決めた日米合意をそのまま踏襲すると発言するのではないか。
 
 官僚天下りの根絶は、「天下りあっせん」の禁止ではない。どれほど天下りが横行しても、「あっせん」ではないと強弁すれば、それが通るなら、そんな規定は「ざる規制」でしかない。
 
 国土交通省の天下りも「あっせん」が明白でありながら、「あっせんではない」の強弁がそのまま押し通されているではないか。
 
 野田氏は財務相を経験したのだから、まず、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫、日本銀行、東京証券取引所、日本たばこ産業、横浜銀行、西日本シティ銀行への天下りをまず全面禁止するべきだ
 
 国民に増税などを口にする前に、まず、これを実行することだ。国民全体が一枚岩になって、この主張を野田氏に突き付けるべきだ。野田氏がこれを受け入れないなら、国民は絶対に増税を受け入れるべきでない。

人気ブログランキングへ

政治が大資本によって支配される構造は、現行制度が企業献金を認めていることから生じている。岡田克也氏などは個人献金は良いのだなどと述べるが、全国電力会社の経営陣による個人献金実績を見るがよい。個人献金の装いを凝らした企業献金が大規模に実施されているではないか。
 
 政治献金そのものを全面禁止しなければ弊害を除去することはできない。したがって、政治献金の全面禁止を実現しなければならないのだ。
 
 カネの力で政治を左右できる状況を打破しなければならない。政治に必要なお金は国費から拠出すべきだ。すべての政治活動家が金銭面で、同じ状況で活動できる状況を作り出すことが必要なのだ。
 
 金持ちが自分の金を使って政治活動を行えると、金持ちだけが政治家になれることになってしまう。したがって、自分の金の拠出についても制限し、金の面では、すべての政治活動家の条件を等しくするための規制が必要である。
 
 野田氏は企業団体献金の全面禁止の法案を次期通常国会に提出すると言明したか。消費税大増税の提案よりも、企業団体献金全面禁止の法案の方が、はるかに前の課題であり、こちらを優先するべきだ。

人気ブログランキングへ

上記三つの課題に加えて、新たに「脱原発」の方針の是非が政治のテーマになる。
 
 次期総選挙では、
①普天間基地の国外移設
②官僚天下りの根絶
③企業団体献金の全面禁止および偽装個人献金の禁止
④脱原発
 
を明確に掲げる政党が登場しなければならない。この方針を掲げる政党が登場して、なおかつ主権者国民がその政党に日本政治を委ねる選択を示さないなら、それは国民の選択であり、それが日本国民のレベルである。
 
 この方針を提示する政党は同時に、
⑤官僚天下りの根絶無き増税を封印
を明確に掲げるべきだ。
 
 増税論議の前に天下り根絶を実現しなければ、天下り根絶は永遠に実現しないことになる。
 
 この方針を明示する政党は、来年秋の代表選で主権者国民勢力が権力を奪還する民主党か、もしそれが実現しない場合に、民主党から分裂し、同志を糾合する「減税日本」などの新政党かのいずれかになる。
 
 日本国民の意識のレベルが問われることになるのだ。

人気ブログランキングへ

FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書) Book FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書)

著者:広瀬 隆
販売元:朝日新聞出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

原子力神話からの解放 −日本を滅ぼす九つの呪縛 (講談社+アルファ文庫 G 227-1) Book 原子力神話からの解放 −日本を滅ぼす九つの呪縛 (講談社+アルファ文庫 G 227-1)

著者:高木 仁三郎
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

日本の独立 Book 日本の独立

著者:植草一秀
販売元:飛鳥新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 Book 誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻

販売元:マガジンハウス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

売国者たちの末路 Book 売国者たちの末路

著者:副島 隆彦,植草 一秀
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

<>

<>

« 野田佳彦氏と小泉元首相・与謝野馨氏は同じ穴の貉 | トップページ | 東北の野菜や肉についての正しい考え方 »

野田佳彦新代表」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 増税・原発・基地・献金・天下りが次期総選挙の争点:

» 黒い3連星 [ぢゃがいもの冒険~人生は経験と感動~]
増税ジェットストリームアターック 右から前原誠司政調会長(献金問題の人)     藤井裕久党税調会長(グレムリン)     仙谷由人政調会長代行(前原氏のおやびん)           ノーサイド といいながら、民主党内の権力も粛々と偏って固めているように思える。... [続きを読む]

» 誰が民主党を支持するのか [格闘する21世紀アポリア]
 晴れて首相に指名されたと言いたいところだが、それを決定付ける民主党代表選で最終的に野田佳彦氏の得票は215票であった。一つの政党の、一部の国会議員で国家のリーダーが決まってしまう。しかも、野田氏に投票した215人全員が、本当に彼を支持していたかも定か...... [続きを読む]

» マスコミ(村木さん冤罪の場合) [常識の嘘・非常識の本当]
壮大な小沢排除シナリオのスピンオフ作品であったということです。 ですから、 本編を理解していれば、より本質が見えてきます。 最初は、検察のリークのままに村木厚子さんを犯人扱いしていたマスコミ。...... [続きを読む]

» 【原発問題】「東電、撤退申し出た」枝野前長官に社長が電話 [政治経済ニュース・今私の気になる事]
 枝野幸男前官房長官は7日、読売新聞のインタビューで、東京電力福島第一原子力発電所事故後の3月15日未明、東電の清水正孝社長(当時)と電話で話した際、作業員を同原発から全面撤退させたい、との意向を伝えられたと語った。  東電関係者は、これまで全面撤退の…... [続きを読む]

» 欧州各国増税へ [金融起業家 河合圭のオフショア投資ブログ]
債務比率が高くなってきた欧州各国が歳出削減だけではまったく足りないため、増税(歳入増)へ動き出しました。 イタリア:VAT引上げ(20→21%)、富裕層税 フランス:富裕層税、アルコール・たばこ税引上げ...... [続きを読む]

« 野田佳彦氏と小泉元首相・与謝野馨氏は同じ穴の貉 | トップページ | 東北の野菜や肉についての正しい考え方 »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
知られざる真実―勾留地にて― Book 知られざる真実―勾留地にて―

著者:植草 一秀
販売元:イプシロン出版企画
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ