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2011年9月11日 (日)

鉢呂氏暴言よりもはるかに罪深い野田氏増税方針

野田佳彦政権発足わずか9日目で第一号の閣僚辞任が生じた。

 野田政権の前途を暗示する船出である。
 
 鉢呂経産相の「死の町」発言、「放射能をつけちゃう」発言は、閣僚としての資質を欠くことを鮮明に示す証左であり、このような人物を新政権の最重要閣僚とも言える経産相に抜擢した野田佳彦氏の人物鑑識眼に大いなる疑念を抱かせるものだ。
 
 だが、一方で鉢呂氏は原発の新設を認めず、最終的に脱原発を実現する方向を明言したから、原発推進勢力にとっては消さねばならない存在であったことも確かである。
 
 野田氏が次にどのような方針を示す経産相を起用するのかで、鉢呂氏辞任の背景の一端が判明することになる。原発推進派を後任経産相に起用するなら、野田氏は原発推進勢力に裏側で操られているということになる。
 
 安倍晋三政権が閣僚の相次ぐ辞任を契機に一気に失速していったが、野田氏が同じ経路を辿る可能性も高いと思われる。
 
 9月13日に召集される臨時国会で、野田政権は予算委員会を開催せずに閉会にしようと画策しているが、敵前逃亡そのものである。正々堂々と新政権を発足させるなら、野党が要求する予算委員会開催要求から逃げるべきでない。

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そもそも、野田佳彦政権の最大の問題は、この政権が民意に支えられていない政権であるということだ。新聞社や電波会社が実施する世論調査で高い支持率が出たとしても何の意味もない。世論調査が国民世論を反映しているとは考えられないからだ。
 
 主権者の意思が表明されるのは国政選挙のときだけである。直近の国政選挙は、衆議院では2009年8月、参議院では2010年7月である。この二つの国政選挙で、主権者がどのような意思を表示したのかが何よりも重要である。
 
 2009年8月総選挙で主権者国民は民主党を大勝させた。この選挙結果を受けて政権交代が実現した。
 
 このときの民主党執行部は鳩山-小沢グループである。この旧執行部は、日本政治の基本構造刷新を主権者に訴えて支持を得た。基本構造刷新とは、
 
①対米隷属から自主独立へ
②官僚利権温存から官僚利権根絶へ
③政治と大企業の癒着から政治と大企業の癒着排除へ
 
の三つの方針を指す。
 
 この基本政策方針の下で、消費税増税問題については、2013年の衆議院任期満了までは消費税増税を封印し、官僚利権の根絶に全力を注ぐことが示された。
 
 また、民主党は「国民生活が第一」のスローガンを掲げ、
①子ども手当
②高校授業料無償化
③農家個別所得補償
④高速道路料金無料化
をマニフェストに明記した。
 
 主権者国民は、この政権公約を掲げた民主党を大勝させ、政権交代を導いたのである。

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ところが、2010年6月に樹立された菅直人政権は、この基本政策方針を全面的に変更した。
 
①対米隷属への回帰
②官僚利権の全面擁護
③企業と大資本の癒着強化
の方針を明示したのだ。
 
 これに対して、主権者国民はどう対応したか。
 
 菅直人民主党を2010年7月参院選で惨敗させたのである。この瞬間に菅直人政権は存立の正統性を完全に失った。菅直人氏が民主主義の根本ルールを守る人物であったなら、この時点で首相を100%辞任していたはずだ。
 
 ところが、菅直人氏は民主主義の根本ルールを踏みにじり、ただ自己の欲望を満たすためだけに、首相に座に不当に座り続けた。ようやく、2011年8月末に総理の椅子を明け渡すことに同意したのだ。
 
 ところが、民主党国会議員は、菅直人氏後継代表に野田佳彦氏を選出してしまった。2009年8月総選挙、2010年7月参院選を経て国会議員になった人々は、選挙の際に主権者国民から託された責務を果たし、主権者国民と交わした契約を守る責任を負っている。これを基準に代表選に臨む必要があったが、民主党国会議員の多数が、主権者国民との契約を破棄する選択を示したのだ。
 
 これは由々しき事態である。民主主義の基本は民意の反映であるが、多数の民主党国会議員がこの根本原則に反する行動を示したのだ。

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野田佳彦政権の基本政策は菅直人政権と同一であり、これは、主権者国民が民主党に政権を委ねることを決定した際の基本方針の真逆のものである。したがって、野田佳彦政権の政策基本方針については、民意の裏付けがない状態にある。
 
 民主党代表選で、2009年8月総選挙、2010年7月参院選で示された民意と整合的な主張を示す人物が新代表に選出され、新政権を樹立したのなら、新政権は国民の信を新たに問う必要はない。主権者国民が国政選挙に際して民主党と締結した契約が守られるからである。
 
 ところが、野田政権の政策基本方針は、菅政権と同一であり、したがって、国政選挙で示された主権者国民の意思とは真逆のものである。したがって、野田佳彦政権は一刻も早く、総選挙で国民の審判を仰ぐ必要があるのだ。
 
 とりわけ、増税問題は2008年総選挙でも、2010年参院選でも最大の争点であった。鳩山元代表は、「増税論議の前にやることがある」ことを明示して、まず、官僚天下りの根絶に進もうとしたのだ。
 
 ところが、野田佳彦氏は天下りを完全擁護したうえで、消費税大増税を法定化しようとしている。これほど、民主主義の根本原則が踏みにじられたことがかつてあったのか。
 
 中曽根元首相は、国会における、「投網を掛けるような税は導入しない」と答弁したにも関わらず、選挙後に「売上税」導入を図り、公約違反だと追及されて「売上税」を断念した。日本が民主主義国家である以上、首相の主権者国民に対する言葉の責任は何よりも重いのである。
 
 次の総選挙までは消費税問題を封印することを総選挙の際の契約に盛り込んだのが鳩山民主党であり、この契約は現在も有効期限内である。
 
 野田氏が勝手にこの契約を破棄することは許されない。菅前首相ですら、抜本的な税制改革を実施する場合には、必ずその前に民意を問うと確約した。それにも拘らず、野田氏が消費税大増税を法定化しようとするなら、主権者国民からリコールが突き付けられることは間違いない。

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つまり、鉢呂氏の暴言よりも、野田氏が示している方針の方が、はるかに罪は重いのだ。鉢呂氏が辞任なら、野田氏は国会議員資格はく奪でおかしくない。
 
 警察汚職表面化の品川美容外科からの巨額献金の事実も明らかになっている。暴力団フロント企業からの献金疑惑も渦巻いている。さらに、外国人籍の人物からの献金事実も明らかにされている。
 
 メディアは鉢呂氏の批判をする前に、野田氏周辺の暗闇にメスを入れるべきではないのか。国政に大きな空白を作って新政権への移行が強行されたのである。臨時国会で予算委員会審議を行うことは、真摯な政治姿勢を示す第一歩である。その第一歩から逃げるようでは、早くも野田政権には政権落第の判定が下されてしまうだろ。
 
 主権者国民は、野田氏の政策方針発言が鉢呂氏暴言よりも、はるかに罪が重いことを正しく認識する必要がある。

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