対米隷属の新聞・テレビが日本を亡ぼす
『月刊日本』2011年9月号の巻頭特集は
「新聞・テレビの大罪」
である。
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月刊 日本 2011年 09月号 [雑誌] 販売元:ケイアンドケイプレス |
巻頭特集冒頭での同誌主幹南丘喜八郎氏の記述を以下に転載する。
「ジャーナリズム変質の背景には、新聞・テレビが行政権力の支配下に置かれているという厳然たる事実があるのだ。新聞の再販価格維持制度、テレビ局の放送事業認可、電波の割当等はいまや行政権力によって完全に掌握され、真の「言論の自由」など、無きに等しいと言わざるを得ない状況だ。
加えて戦後の国家権力は、官僚だけでなく、大資本、加えて占領軍の延長である米国によって形成されていることは、歴とした事実である。新聞・テレビという大マスコミは、米国、官僚、大資本のトライアングルによって、巧みに支配されていることは、本誌特集で植草一秀氏が剔抉(てっけつ)している通りである。
また本特集で石川知裕氏が「新聞・テレビという報道機関の役割は複眼的・多層的に政治家の功罪を分析し、判断材料を提供し、国民に思考を促すことにある。ところが、今のマスコミはその能力を失っている。これこそが現代日本の本質的危機だと思う」と、的確に指摘している。」
さらに、南丘氏は続ける。
「かつて自由民権を主張した新聞は、「在野」「反骨」を誇りとし、権力に対して敢然と、しかも矜持をもって正論を吐き続けた。時の権力は、新聞紙条例や讒謗律(ざんぼうりつ)などを駆使し、権力に歯向かう記者を逮捕拘束、新聞を発行停止に追い込んだ。だが、彼らは決して怯(ひる)むことはなかった。ここにわが国ジャーナリズムの原点があり、核心がある。
しかし、こうした正統ジャーナリズムは、いまや完全に変質し、権力の擁護者に堕してしまったようだ。この結果、権力への的確かつ厳しい批判は姿を消し、読者や視聴者の低級な要求に迎合して、犯罪者や被害者のプライバシーにまで踏み込むというポピュリズムに堕してしまった。
新聞は「社会の木鐸」として、権力とは一定の距離を保つだけでなく、時に敢然と厳しい権力批判を続けた。しかし、健全なジャーナリズムは、米国、官僚、大資本のトライアングルの力によって、何処かへ消えてしまったのだ。
こうした新聞・テレビを中心とする現在のジャーナリズムの在り方に、国民は極めて強い不信感を抱いている。
いま敢えて、本誌がこの時期に新聞・テレビ批判を特集したのは、このままでは健全なジャーナリズムが死滅してしまうとの危惧を深めたからである。
民主主義は健全なジャーナリズムがあってこそ、その機能を発揮すると信じるからだ。」
『月刊日本』2011年9月号の巻頭特集に収録されている論考は以下の五点である。
対米隷属の新聞・テレビが日本を亡ぼす 植草一秀
マスコミよ、死ぬな、生きろ! 石川知裕
官報複合体=記者クラブを解体せよ! 上杉 隆
電通のメディア支配から脱却せよ!
新聞は正義を失いポピュリズムに堕した 中村慶一郎
特集の巻頭言を南丘主幹は次の言葉で締めくくっている。
「明治22年、陸羯南(くがかつなん)は新聞『日本』を創刊した。陸羯南は創刊の辞に「わが『日本』は固(もと)より現今の政党に関係するに非ず、然れども亦た商品を以て甘ずるものにもあらず」と述べている。これは権力に阿(おもね)らず、金銭に淫せずというジャーナリズムの矜持を表明したものだ。我々は陸羯南の顰(ひそ)みに倣(なら)って本誌を『月刊日本』と名付けた。
羯南の心意気を貫いているのは「富貴も淫する能わず、貧賤も移す能わず、威武も屈する能わず、此れをこれ大丈夫と謂ふ」(『孟子』籐文公下篇)との「大丈夫」の精神である。
現在の巨大マスコミ経営者は勿論、編集者、現場の記者も、孟子の言う、富貴にも貧賤にも、そして威武にも対しても、決して屈することのない「大丈夫」の心意気が必要なのではないか。」
南丘氏が指摘する「大丈夫」の精神を携えることこそ、言論人の言論人たる条件であると強く確信する。
『月刊日本』は決して財政的基盤に恵まれたジャーナルではない。ジャーナリズムの精神を貫徹するためには、やむを得ないところである。だからこそ、各執筆者も『月刊日本』のジャーナリズム精神を支えるために精力的に原稿を提供している。
この日本国の自立と再生を目指すオピニオン誌である『月刊日本』が、悪戦苦闘の経営を続けながらも、創刊15年を迎えられた。
この機にちなみ、
「創刊十五年『月刊日本』を叱咤激励する会」
が、来る9月15日(木)午後6時半から、東京都千代田区隼町所在の
グランドアーク半蔵門 富士東の間
にて開催されることになった。
参加会費は1万円であるが、一人でも多くの方のご臨席を賜りたく思う。
出席を希望される方は、「叱咤激励する会」事務局03-5211-0096にお問い合わせをお願い申し上げたい。
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