マニフェスト原点回帰は民主新代表就任最低条件だ
民主党代表選が間もなく実施される見通しだが、民主党議員には、彼らが主権者国民の負託を受けた存在であることをしっかりと認識してもらいたい。
国会議員は選挙の洗礼を受けて国会議員に就任した存在である。選挙の際には主権者国民に公約を提示し、主権者国民はその公約を踏まえて投票している。民主主義の基本として、選挙の際の主権者国民との約束=政権公約は何よりも重いものである。
現在の政権は2009年8月総選挙の結果を受けて樹立された政権である。衆議院の任期は2013年9月であり、2009年8月総選挙に際しての民主党政権公約=マニフェストは、現時点で有効性を失っていない。
2009年8月総選挙で民主党はいかなる政権公約を主権者国民の前に提示したのか。
①対米隷属からの脱却=自主独立の外交方針
②官僚利権構造の根絶
③政治と大資本癒着の排除
の三つが明確に提示された。
具体策としては
①普天間基地の移設先を沖縄県外、あるいは国外に変更する
②官僚の天下りを根絶する
③企業団体献金の全面禁止
を政権公約として提示した。
米国、官僚、大資本が主導してきた日本政治の基本構造を、主権者である国民が主導する政治に転換することが、基本理念として明示された。
これが、「国民の生活が第一」というフレーズとして示されたものである。
「国民の生活を第一」とする政策方針の具体的施策として、子ども手当、高校授業料無償化、高速道路無料化、農家個別所得補償、などの政策が提示された。
問題となるのは財源であるが、財源については官僚利権を根絶することを中心に政府支出の無駄を排除することで捻出することが示された。
こうした経緯を経て発足したのが鳩山由紀夫政権だった。しかし、鳩山政権は普天間問題の処理に失敗して内閣総辞職に追い込まれた。鳩山首相は普天間の県外、国外移転を実現するための内閣の布陣を固めるべきであった。ところが、普天間問題を担当した岡田克也氏、前原誠司氏、北澤俊美氏は、当初から普天間の県外、国外移設に完全に背を向ける姿勢を示した。彼らは対米隷属派であり、米国の言いなりになって、辺野古への移設を政権内部でごり押ししたのである。
また、事業仕分けなどのパフォーマンスは展開されたが、官僚天下り根絶の基本方針は十分に実現されなかった。
増税を推進する勢力は、これまでの経過をもって直ちに大増税に突き進む方針を示しているが、これは主権者国民との契約を破棄するものである。現時点では官僚天下りなどの利権がまったく排除されていない。天下り機関への政府支出を排除するだけで、巨大な財源が確保されることは明白な事実である。
2010年6月に首相に就任した菅直人氏は、2010年7月参院選に際して、消費税率10%への引上げを参院選争点に掲げた。同時に菅直人氏は首相に就任して国民の信を得ていないことについて、参院選が菅内閣に対する信任投票になることを明言した。
この参院選で主権者国民は菅直人民主党に対して、明確なNOの意思表示をした。菅首相は主権者国民から不信任の意思を明示されたわけで、この時点で辞任すべきであった。菅直人氏は主権者国民から不信任を突き付けられたにも関わらず、1年以上も首相の座を私物化してきたのだ。
主権者国民は政権に対して、2009年8月総選挙での政権公約=マニフェストを忠実に実行することを求めている。民主党が政権公約を破棄して、自民党と一体化することなどまったく求めていない。
民主党マニフェストを実行することを放棄して、政権公約に反する行動を取り続けた菅直人政権を主権者国民はまったく支持しなかった。支持しないだけでなく、菅直人氏には明確に不信任の意思を表示したのである。
この菅直人氏が辞任して、新しい民主党代表を選出するのである。民主党が主権者である国民の意思を尊重して政治を担う考えを持つなら、今回の代表選では民主党マニフェストの原点に戻ることを明確に掲げる人物を新代表に選出するべきである。
民主党マニフェストの重みをしっかりと認識し、その実現を目指すことを堅持してきたのが、民主党内の小沢一郎元代表グループと、鳩山由紀夫前首相グループである。この両グループが、誰がもっとも新代表にふさわしい人物であるかを見極めて、結束して支持することが重要である。
この両グループが結束して支持する候補者を固めれば、民主党代表選の大きな流れは確定する。そのうえで、民主党と主権者国民との契約を尊重することを重視することを民主党国会議員に訴えかけてゆくべきだ。
2013年秋の衆議院任期までにはまだ2年の時間が残されている。この2年間をフルに活用して、マニフェストの実現を目指すこと。これが主権者国民が民主党に求めていることである。
民主党マニフェストを放棄すること、自民党との連立に走ることを掲げる候補者は、万が一新代表に選出され、政権を担うことになれば、直ちに総選挙で国民に信を問うべきである。それが国民を主権者とする日本国憲法の理念に沿う対応である。
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