政治屋・自治体・電力会社の利権亡者を一掃すべし
本ブログでは、九州電力の玄海原子力発電所再稼働に前のめりの姿勢を示してきた玄海町長の岸本秀雄氏が原発利権と深く関わっている現実を伝えてきた。玄海原発の再稼働を主導してきたのは、九州電力、佐賀県知事、そして玄海町長である。
東電がありえない深刻な原発事故を福島で引き起こした。事故発生について与謝野馨氏は「神の仕業」だと発言し、東電を擁護するが、東電の津波対策、地震対策が不十分であったことは明白である。
福島原発が立地する東北地方の太平洋岸では、歴史的に巨大な地震と津波が定期的に発生してきている。独立行政法人産業技術総合研究所は2009年にもこの事実を指摘し、福島原発の津波対策が不十分であることに対して警告を発していた。
与謝野氏が地震や津波などの自然現象について、それを「神」との表現で表しているのなら、「神の仕業」というのも的外れではない。しかし、問題はしばしば神が暴れ、大地震や大津波を発生させることがあるのが日本の現実であるなら、原発は断念するか、やるのであれば、万全の備えを敷くのが当たり前である。
東電はその当たり前の備えを怠った。政府の基準をクリアしていたというから、政府の備えも不十分だった。東電福島原発事故は政府と東電の備えが不十分であったために発生した明白な「人災」なのである。
毎日新聞報道によれば、本ブログで紹介した政策研究大学院大学の福井秀夫教授は、7月13日に国会内で超党派の勉強会に出席して、会社更生法による東電の破綻処理を主張したという。日本が法治国家であるなら、発生した原子力事故について、その処理を既存の法律である原子力損害賠償法に則って行うべきことは当然のことだ。
ところが、日本ではこの基本のなかの基本すら踏みにじられる。法治国家の根本原則よりも「利権」の方がはるかに強力なのである。
利権まみれのマスゴミのなかに、希少な良心がかすかに残されている。中日=東京新聞のこちら特報部、日刊ゲンダイなどがその代表だが、福岡に本拠を置くデータ・マックス社が配信するIBネットニュースも社会の木鐸としてのメディアの役割を認識する数少ないニュース報道のひとつである。
8月2日、「すべてが『やらせ』? 原発再開問題で明らかになる恐怖の真実」と題する記事を掲載した。
九州電力を核とする原子力利権のつながりを分かりやすく解説する記事である。この記事によると、佐賀県知事の古川康氏は、実父が元九州電力社員で、知事選に際して、九州電力から巨大な支援を受けてきたとのことである。選挙公約のがん治療施設についても、40億円もの九電の寄附によって実現したことが記されている。
他方、福岡県知事選では経済産業省OBの小川洋現知事の選挙対策本部長と後援会長を九州電力の松尾新吾会長が務めたことも明らかにされている。
「政治とカネ」の問題の核心は、大資本と政治権力との癒着の問題である。大資本がカネの力で政治に巨大な影響力を行使する。このことによって政治が歪められることが「政治とカネ」の問題の本質なのだ。
企業がわいろを贈り、公共事業を受注したとしよう。これは贈賄罪となり法律で禁止されている。しかし、企業がわいろを贈り、その賄賂の力で主権者国民に有害な原子力事業が推進され、事故を引き起こして主権者国民が甚大な被害を蒙るとき、わいろを贈った事業者、わいろを受け取った政治家は処罰されなくてよいのか。
福島原発が悲惨な事故を引き起こした。農林漁業生産者の被害は膨大である。東北地方の多くの観光地では観光客が激減している。風評被害ではない。リスクの高いところにできるだけ近づかないように行動することは、基本的人権の一部を成している。観光客の激減は風評被害ではなく実害なのだ。
東電が事故の責任を法律の規定に沿って負う場合、東電は100%破たんする。東電が破たんせずにいるのは、利権にまみれた政党が、法律を捻じ曲げる措置を強引に国会で押し通しているからだ。このような不正を働く議員を全員リストアップして、「落選運動」の対象にするべきであるだろう。
このような重大性を帯びることがらだから、原発稼働については、慎重の上にも慎重な対応が求められる。公開討論会を公正に開催することなど基本のなかの基本である。
「利権」のためにこの義務に反して、政治過程を歪めた責任は計り知れない。十分に「汚職」の名に値する行動である。
九州電力の真部利應社長の辞任が先延ばしされているが、真部社長の引責辞任は免れない。同時に、九電の松尾新吾会長、佐賀県知事の古川康氏の即時辞任が求められる。
2006年後半には、タウンミーティングでの国ぐるみ、全国ぐるみのやらせが大問題になった。経産省、電力会社などは、その後においてもなお、同種のやらせを継続していたことになる。
九電公開説明会でやらせを主導したのは古川康佐賀県知事であることも明らかにされつつある。
腐りきった日本を変えるには、企業献金の全面禁止が絶対に必要である。これを実現しなければ、今後も大資本が政治を歪めることは持続する。
腐りきった日本の立て直しの第一歩は、九電社長・会長および佐賀県知事の更迭から始まる。メディアを含む巨大利権複合体が結託して、問題をうやむやにすることを主権者国民は絶対に許してはならない。
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