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2011年8月14日 (日)

早速始まった偏向NHKの代表選情報操作番組編成

民主党代表選は、「天下り+増税論」と「天下り根絶+経済復興論」との戦いで展開される図式が明確になりつつある。
 
 官僚が日本を支配する構造を堅持したい勢力は、一般国民から資金を巻き上げることだけを追求する。財政不安をあおり、重税を国民に押し付けることだけを目標としている。
 
 しかし、いまの日本で必要なことは何であるのかを真剣に考える必要がある。第一の優先順位は、震災、原発事故で疲弊している国民生活を支えることである。
 
 被災地の復旧、復興をまず優先する必要がある。瀕死の重傷を負った患者がいるときに医師が取るべき第一の対応は、万全の応急手術を実行することである。そのためには輸血用の血液も必要である。経済復興策を増税で賄うというのは、その手術用の血液を患者の血を抜いて賄うというものである。これでは、患者が回復することなどあり得ない。
 
 財政収支が大幅に悪化したが、これは日本だけの事象ではない。2008-2009年に世界経済を襲ったサブプライム金融危機に伴う大不況に対応して、主要国は大規模な経済対策を発動した。その副作用として財政赤字が激増したのだ。
 
 財政収支の改善は中期的に実現しなければならない課題である。しかし、その時期を誤れば、百害あって一利なしということになる。最近では1997年、2001-2002年に超緊縮財政を実行したために、経済を破壊し、株価を暴落させ、挙句の果てに税収減から財政収支を大幅に悪化させた。古くは、1937年にルーズベルト大統領が時期尚早の超緊縮財政を実行して経済を再崩壊させてしまった。
 
 財政収支を改善させるための王道は、まず経済を安定的な成長軌道に誘導することである。これが実現した段階で、構造的な対応に取り組む。これまでの失敗は、経済が回復の初期にある段階で、無理な超緊縮財政を採用して経済そのものを破壊してきた点に原因がある。

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それからもうひとつ、重大な論点がある。それは、国民に負担の増加を求める前に、政府支出の無駄を切ることである。この点を明確に示したのが鳩山由紀夫前首相である。消費税論議を具体化する前に、政府支出の無駄を根絶することを明確に示した。そのために、2013年の衆議院任期中は諸費税増税を封印することを明言した。
 
 つまり、優先順位の第二位に位置付けられることは、政府支出の無駄の排除である。政府支出の無駄の排除とは、具体的に言えば官僚利権の根絶である。官僚天下りを根絶することが一般国民に負担の増加を求める大前提条件である。
 
 日本国民は、健全な財政運営を実現するためであり、どうしても必要ということであれば税の負担増加に応じるだろう。必要な政策を実行するための財源は国民が提供するしか道はないからだ。
 
 しかし、これまで増税論議は常に紛糾してきた。増税論議を国民が容認することは基本的になかった。その最大の理由は、官僚機構が官僚利権を握って離さなかったからである。財政再建を最も強く主張しているのは財務省である。財務省が本当に財政再建を求めるなら、まず財務省が官僚利権の根絶に進むべきである。
 
 ところが、財務省はこれまで、自らの天下り利権を放棄することをしてこなかった。財務省と結託して増税論を提唱する御用学者も増税は提唱しても、財務省の天下り根絶は主張しない。
 
 慶応大学の土居丈朗氏などは御用学者と呼ばれることに抵抗を示すが、財務省の天下り排除を提唱したことなどないはずである。
 
 財務省の天下り両横綱が日本銀行と東京証券取引所への天下りである。天下り御三家と呼ばれているのが、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫である。財務省が官僚利権を切る考えを持つなら、まず、これらの機関への天下りを根絶するべきである。
 
 また、横浜銀行、西日本シティ銀行、JTなどへの天下りを根絶するべきだ。政府はJT株式を保有しているが、この株式保有を背景に、JT会長職を握って離さない。

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民主党代表選では、自民党と同じように、官僚、米国、大資本による日本支配を維持しようとする勢力が、米官業による日本支配継続を目標に自民党との連立を提唱している。この勢力が官僚利権根絶無き増税を提唱している。
 
 しかし、2009年8月の総選挙で主権者国民が示した決断は、日本政治を利権複合体による日本支配から主権者国民による支配に大転換するというものだった。この理念の下に政権交代の大業が実現したのである。
 
 この基本路線が大きく歪められたのは、2010年6月の菅政権発足後である。そしてこの菅政権の基本方針は国民から明確にNOを突き付けられた。すでに昨年7月の参院選でNOが突き付けられ、菅直人氏は退場を求められていたが、この国民の声を無視して菅直人氏が居直りを示してきたのがこの1年間であった。
 
 したがって、民主党が新代表を選出し、政権交代の原点に戻るべきことは当然である。新代表が主権者国民を中心とする政治を放棄して、米官業による日本支配を指向し、自民党と結託するというのであれば、それを実行する前に主権者国民の信を問うことが求められる。
 
 政権交代の大義を守り、主権者国民を中心とする政治を確立しようとする勢力は、当然のことながら、経済復興への全力投球と増税の前の天下り根絶を明確な方針として掲げることになる。

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したがって、今回の民主党代表選は、
「天下り+大増税論」

「天下り根絶+経済復興論」
という政策基本方針の対立の図式で展開されることになる。
 
 利権複合体の広報部隊を務めるマスゴミが「天下り+大増税論」を提唱する勢力を全面支援し、この勢力と自民党との連立を推進しようとすることは目に見えている。
 
 早速NHKは、日曜討論の1時間を丸々野田佳彦氏支援に充当する番組編成を行った。テレビ朝日も利権複合体勢力に属する議員だけを番組に出演させ、放送法に反する偏向報道を展開し始めている。
 
 こうした偏向報道が展開されることは間違いない。民主党の本来の主流派は、利権複合体が支配する日本政治を、主権者国民が支配する日本政治に刷新することを目指す人々によって構成されている。この本来の主流派は、「天下り根絶+経済復興論」を掲げて、利権複合体勢力と対峙することになる。
 
 この本来の主流派の中心に位置するのが小沢-鳩山両グループに属する議員である。この両グループが中核になり、民主党所属議員の多数を糾合してゆく必要がある。
 
 国会運営では参議院の多数派形成が最大の課題になる。自民党と結託して利権複合体による政治支配に戻らずとも、参議院での多数派確保の努力を注げば、参議院の多数派形成は可能になるだろう。
 
 野田佳彦氏が提唱する提案は、かつての自民党政治への回帰以外のなにものでもない。主権者国民はかつての自民党政治への決別を決断して、2009年8月総選挙で政権交代の選択を示したのである。野田氏の提案はこの主権者国民の意思を頭ごなしに否定するものである。このような人物を日本のトップに就任させることを絶対に阻止しなければならない。
 
 良識ある民主党議員が冷静に行動し、主権者国民が基本判断を誤らなければ、時代を逆行させる大連立を阻止することができるはずだ。マスゴミが激しい情報工作を展開することを警戒しなければならないが、不正な情報操作を見抜き、主権者国民は正しい選択を示してゆかねばならない。

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