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2011年7月19日 (火)

明治三陸地震津波とほぼ同規模の今回地震津波

東日本大震災について、津波工学や地球物理学の研究者でつくる津波合同調査グループが、7月16日、大阪府高槻市の関西大学で報告会を開き、調査結果を発表した。
 
 この発表によると、高さ20メートル以上の津波が、岩手・宮城両県沿岸部の約300キロにわたって記録されたという。調査では北海道から沖縄県までの太平洋岸5000地点以上で津波の痕跡を調査した結果だということだ。
 
 調査をまとめた森信人京都大学准教授は、青森県から茨城県までの約430キロで10メートル以上の津波を記録したと報告した。
 
 また、津波が地上をはい上がった高さである「津波遡上高」については、岩手県宮古市の姉吉地区で、40.4メートルの国内最高値を記録したことが明らかにされた。
 
 津波遡上高が過去最高を記録したことについて、日本経済新聞は、
「明治・昭和の三陸地震津波を大幅に上回った」
と報道したが、これは事実に反する。
 
 1896年に発生した明治三陸地震津波では、岩手県綾里湾奥で、遡上高38.2メートルが記録されている。したがって、今回の遡上高40.4メートルは過去の最高値38.2メートルを上回ってはいるが、大幅に上回ったわけではない。

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今回の地震では、明治三陸地震津波とほぼ同規模、あるいは、明治三陸地震津波をやや上回る津波が発生したというのが正確な表現である。
 
 また、西暦869年にも貞観地震と呼ばれる巨大地震が発生し、やはり巨大津波が発生したことが判明している。
 
 東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター等の研究で、仙台平野に過去3000年間に3回の津波が溯上した証拠が堆積物の年代調査から得られており、その発生間隔は800年から1100年と推測されている。
 
 何を言いたいのかと言えば、今回の地震および津波は「巨大な」規模であったが、決して「異常に巨大な」規模ではなかったということだ。
 
 原子力損害賠償法第三条は、原発事故を発生させてしまった際の損害賠償責任を電力事業者に負わせることを明確に定めている。
 
 ただ、この条文のただし書きに、「異常に巨大な天災地変および社会的動乱におる場合はこの限りでない」との表現があるため、東電の損害賠償責任が免責になるのではないかとの主張が存在している。

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しかし、歴史的な経過を踏まえる限り、今回の地震および津波は、日本列島の上では十分に発生し得る、言い方を変えれば、発生することが想定された規模のものであることは明らかである。
 
 地震と津波が名物である日本列島の、海岸沿いに原子力発電所を設置するなら、そこで歴史的に繰り返し発生してきた地震や津波に対して、万全の備えを設けることは当然のことである。
 
 その備えを怠ったために今回の重大事故が発生した。その場合に、電力事業者が法律の定めに従って、損害賠償の責任を負うことは当然のことである。
 
 東電サイドから、繰り返し、「異常に巨大な天災地変」だとして、免責を求める声が聞こえてくるが、上述の事実を踏まえれば、正当な主張でないことは明らかである。
 
 日本経済新聞が、今回の津波が過去の津波を「大幅に上回る規模」だと報道することは、あまりにも歪んだ報道姿勢である。日本経済新聞は原発利権複合体の一角に組み込まれ、また、東電から巨大な広告収入を得てきたことが背景にあるのだろう。
 
 しかし、明治三陸地震津波とほぼ同規模の今回の津波を、事実をねじまげて、今回の津波が明治三陸地震津波を大幅に上回ったと表現し、しかも、明治三陸地震津波の規模を記述しないのは、あまりにも幼稚な偏向報道である。
 
 福島の牛肉の問題ひとつを見ても、原発事故を発生させたことに伴う損害賠償規模は、本来、とてつもないものである。それを法律の定めに従って、厳しく事業者に求めなければ、必ず同じ過ちが繰り返されることになると思う。
 
 適正な損害賠償と事業者に対する適正な責任追及が必須である。

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