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2011年7月11日 (月)

菅直人氏なきあとの民主党代表選出に際しての肝

菅直人氏が総理の椅子にしがみついて離れないが、これを「打たれ強い」と評価するわけにはいかない。
 
 菅降ろしをしている側が不正で、筋が通らぬことをごり押ししようとしているなら、その風圧に耐える行為は称賛されるべきである。
 
 しかし、菅氏の場合、菅氏に対する辞任要求は筋が通っており、菅氏が総理の座にしがみつく正当な理由は存在しない。
 
 菅直人氏は2010年参院選を菅内閣に対する信任投票であると明確に位置付け、この選挙で信任されて初めて政権の正統性が確保できるとした。
 
 その参院選で惨敗したのだから、この時点で菅氏は退陣するほかに道はなかった。
 
 6月2日に内閣不信任決議案が可決される状況にまで菅氏が追い込まれたのは、震災発生後の菅内閣の行動に重大な問題があったからだ。
 
 最大の罪は、政府の情報隠ぺいにより、多数の住民が放射能を大量被曝してしまったことだ。子供に対する放射能被曝の強制も間違った政策対応である。
 
 東電に対しては、原子力損害賠償法の規定に反して、東電関係者を救済して、そのつけを一般国民に転嫁する歪んだスキームを菅内閣が提示した。
 
 さらに、震災発生後、被災者の生存権を守り、被災地を復旧、復興させるために、総合経済対策を策定し、実行することが急務であるにもかかわらず、今日まで延々とサボタージュを続けてきた。
 
 これらの罪により、菅内閣には内閣不信任決議案が突き付けられた。
 
 この窮地に鳩山前首相が調停に入り、菅首相辞任の言質を取り付けた。解散総選挙を回避し、菅首相を退陣させる調停工作だった。
 
 菅直人氏はこの調停に乗りながら、ペテン師的手法で、国会議員を欺き、総理の椅子にしがみついている。

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塩野七生氏が小泉純一郎氏に贈ったという、
「刀折れ矢尽き、満身創痍になるまで責務を果たし続け、その後で初めて,今はまだ若造でしかない次の次の世代にバトンタッチして、政治家としての命を終えてくださる」
や、
玄侑宗久氏がテレビで語った
「なりゆきを決然と生きる」
などの言葉を利用して、菅伸子氏が菅直人氏の行動を正当化しようとしているらしいが、噴飯者と言うしかない。
 
 菅直人氏の責務は、主権者国民の審判に従い退場することであり、主権者国民の意思を踏みにじって、総理官邸に立てこもることではない。
 
「なりゆきを決然と生きる」なら、昨年7月参院選後に決然と辞任しているだろうし、先の6月2日には内閣不信任決議を受けて決然と辞任しているだろう。
 
 財政運営上、赤字国債の発行根拠法がどうしても不可欠になる時期が近付いている。この法律が成立しなければ、政府は財源不足に陥り、政府機能がマヒする。
 
 この法律成立と菅氏の辞任を取引するべきである。公明党が不自然な動きを示し始めているが、菅氏の辞任を求める声は主権者国民の総意であり、党利党略で菅首相辞任を妨げるような動きを取るべきではない。

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民主党の最大の問題は、後継代表に誰を選ぶかである。
 
 今日までの経緯を踏まえて考えるべきだ。
 
 2009年3月の大久保隆規氏逮捕がなければ、2009年9月に小沢一郎政権が誕生していた。小沢氏は2009年5月に代表職を辞したが、3月の大久保氏逮捕は不当逮捕であったことが明らかになった。
 
 2010年1月15日の石川知裕衆議院議員などの逮捕も、不当逮捕であったことが、間もなく明らかにされるだろう。収支報告書の重箱の隅をつくような記載ミスで逮捕されるなら、国会議員関係者全員が逮捕されないと辻褄が合わなくなる。
 
 政権交代実現の最大の功労者が小沢一郎元代表だった。
 
 菅政権が発足して以来、民主党に対する国民の支持が消滅したが、これは、民主党本来の政策主張に対する国民の評価によるものではない。
 
 菅直人民主党が民主党本来の政策主張をことごとく踏みにじり続けてきたために、本来の民主党支持者が現政権をまったく支持しなくなったのである。
 
 菅直人氏が退場するとして、民主党がやらねばならない第一の課題は、政権交代原点への回帰である。政権交代は、単に政権が変わるという意味だけをもったものではなかった。
 
 日本政治の構造を刷新するという、大きな課題を負ったものだったのである。
 
 具体的には、米国、官僚、大資本が支配する日本政治構造を、主権者国民が支配する政治構造に転換することが最大の課題だった。
 
 そのために、具体策として、普天間基地の国外移設、官僚天下りの根絶、企業献金の全面禁止などの方策が掲げられた。
 
 鳩山政権は、政権内部に利権複合体勢力が多数入り込んで、普天間問題を辺野古移設案に回帰させてしまった。菅政権発足後は、利権複合体勢力が民主党と政権を完全に支配するようになり、国民の支持が完全に消滅したのだ。
 
 民主党は次期代表選で原点に回帰し、本来の民主党の主張を提示する「民主党正統」が党と政権の実権を奪還しなければならない。
 
 したがって、次期代表選の図式は、「民主党正統」対「民主党悪党」によるものになる必要がある。そして、「民主党正統」は必ず勝利しなければならない。

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ところが、悪党は悪党だから悪党なのである。次期代表選に向けて、すでに、謀略が仕掛けられているのだ。
 
 ひとつは、一部議員に対する党員資格停止である。すべてが、「民主党正統」に属する議員である。
 
 いまひとつは、代表選を党員・サポーターを動員する不正選挙に持ち込む動きが存在することだ。
 
「民主党正統」は最終的に民主党分立を覚悟の上で、この決戦に臨むべきだ。基本戦略は小沢氏グループと鳩山氏グループが結束して、統一候補者をただ一人に絞り込んで擁立することである。旧社会党グループの大半を陣営に引き入れることも必要だ。
 
 旧民社党グループは、民社党そのものがCIAをバックに創設されたものだから、基本的に対米隷属政党である。米国に言うべきことを言う「民主党正統」の主張に足並みを合わせることは難しいだろう。
 
 日本の独立を重視する議員が、グループを離れて「民主党正統」陣営に合流するべきだ。
 
 いずれにしても、主権者国民勢力と悪徳ペンタゴン勢力の総力戦になる。主権者国民勢力は、この闘いに絶対に勝利を収めなければならない。

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