「極めて執拗な偽装工作」を実行したのは東京地検
権威も信用も失墜している東京地検が、陸山会事件の論告求刑で
「極めて執拗な偽装工作を行った」
と述べて、石川知裕衆議院議員に禁錮2年、大久保隆規氏に禁錮3年6月、池田光智氏に禁錮1年を求刑した。
しかし、「極めて執拗な偽装工作を行った」のは、石川氏や大久保氏ではない。東京地検特捜部である。
国家権力が検察権力、警察権力、裁判所権力、そしてメディア権力を恣意的に利用することの恐ろしさを、私たち主権者国民は、徹底的に糾弾しなければならない。
この権力を活用すれば、政敵をすべて抹殺することができる。
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏がいうところの人物破壊工作
=Character Assassination
である。
検察が偽の証人を仕立て上げることは容易である。偽の証人だから偽証なのだが、偽証罪を問わないことを確約して証言してもらう限り、いかなる捏造も可能である。
実際に偽の証人を立てて、偽の証言を実行させ、偽の犯罪を成立させた事例は、数多く存在すると考えられる。私もそのような工作に伴う冤罪被害者の一人である。
陸山会事件は、2004年10月に代金を支払い、2005年1月に登記をした不動産について、会計責任者が2005年の不動産取得として届けた収支報告について、2004年の取得として届け出るべきだったとすること、
そして、
この不動産取得のための銀行融資がおりるまでの立て替え資金を小沢氏が拠出し、その返還を受けたことについて、会計責任者が立て替え払いであるから記載しなかったことについて、記載すべきだったとすること、
により、検察がこれを「虚偽記載」だとして刑事責任を問うことにしたものである。
しかし、常識に照らして、これが刑事責任を問うものとは到底考えられない。
不動産取得の資金を2004年10月に支払ったとしても、所有権移転の登記が2005年1月にならなければ実現しなかったのであるから、2005年1月の取得として届け出ても大差はない。犯罪と呼べる内容はそこに存在しない。
一時的な立て替え払いについては、政治資金収支報告書では通常、記載しないと言われている。その記載がなかったことが大きな問題とは考えられない。
検察自身もこの点を十分に了解しているのだろう。
検察は、その記載されなかった4億円のなかに、水谷建設からの裏金1億円が含まれていて、表に出したくない金だったから、隠蔽するために記載しなかったとのストーリーを構築した。裁判では、その部分を印象付けようと懸命な立証活動を行った。
まさに、「極めて執拗な偽装工作」だった。
逆に言えば、このような裏金の存在がない限り、とても刑事事件として公判請求できるような代物ではないことを検察自身が、その行動によって示したのである。
そうなると、問題は、その裏金疑惑というものにどれほどの信ぴょう性を置けるのかということに絞られる。
そもそも、この事件の当初から、本命は東北のダム工事を巡る裏金、あるいは収賄容疑だと指摘されていた。そのような疑惑が濃厚だったという意味ではない。政治的に極めて重要な局面で、本来は内閣総理大臣に就任していたはずの野党元党首の周辺での刑事捜査である。
裏金や収賄などの実体のある犯罪立証の見通しがない限り、単なる形式的な法律違反で、現職国会議員を逮捕するなどということはあり得ないし、また、あってはならないとの意見が示されていたからだ。
東京地検はこの問題にどう対処したか。
膨大な人員を投入し、鹿島建設をはじめ、小沢一郎民主党元代表の事務所など、多数の箇所を何度にもわたって強制捜査した。1年以上の時間を投入して、徹底的に犯罪捜査が実行された。
その結果、東京地検はどのような結論を導いたのか。
裏金疑惑、あるいは収賄といった実体のある犯罪については立件できないとの結論に到達したのではないか。
1年以上の時間と膨大な人員を投入して、無罪放免と結論した事案を、同じ検察が、なぜ、この裁判で立証できるのか。
本当に立証できる確証があるなら、そのこと自体を摘発していなければおかしいではないか。
検察は裁判で水谷建設元社長を証人として、裏金を渡したとの証言をさせた。
しかし、現場に社長と現金を運搬したはずの運転手の運転日誌に、その裏付けがない。裏付けがないということは、この社長が架空の話をしていることに他ならないと考えるのが常識だろう。
また、水谷建設元会長は、金は用意したが、それが社長から小沢氏サイドに渡ったかどうかは分からないと証言した。この種のカネの受け渡しには、社内で厳格なルールが設けられているらしいが、社長の証言内容は、そのルールに合致していないというのだ。
つまり、これらの証言を総合すれば、検察が裁判で演じたストーリーは、単なる創作であるとしか考えられない。最大のポイントは、検察自身がその立証をできるなら、そのことについて、公判請求していなければ辻褄が合わないという点だ。
検察の行動は誰が見ても明らかな自己矛盾を来しているのである。
それでも、警戒を怠れないのは、このような誰が見ても明白なことがらについて、真逆の判断を示す御用裁判官が腐るほど存在することだ。
客観的な証拠で、完全に無罪が立証されているにもかかわらず、現実を無視し、曲解に曲解を重ねて、無罪を有罪とする、無能で卑劣な裁判官が無数に存在するのである。これが、紛れもない、日本の裁判所の実体である。
稀に優れた、良心と法律に従って判断を下す裁判官が存在する。しかし、そのような裁判官に巡り合うことは、極めて稀にしか生じない。
石川氏、大久保氏、池田氏が小沢氏に報告して了承を得たとの証言のある供述調書は、任意性が認められないとして裁判所によって棄却された。
この時点で、小沢一郎氏を起訴した検察審査会の起訴事由は崩壊している。起訴した指定弁護士は直ちに起訴を取り下げるべきであるし、また、民主党は前近代体質の小沢氏に対する党員資格停止処分を直ちに解除するべきだ。
日本で、本当の民主主義が成立することを、絶対に阻止しようとする、巨大な力が働いているのだ。その最重要事項を認識しない限り、一連の謀略、政治工作を読み抜くことができない。
主権者国民の主権者国民による主権者国民のための政府を樹立するまで、闘いは続く。主権者国民対利権複合体の闘いである。この闘いに負けるわけにはいかない。
![]() |
![]() |
FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書) 著者:広瀬 隆 |
![]() |
![]() |
原子力神話からの解放 −日本を滅ぼす九つの呪縛 (講談社+アルファ文庫 G 227-1) 著者:高木 仁三郎 |
![]() |
![]() |
日本の独立 著者:植草一秀 |
![]() |
![]() |
誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 販売元:マガジンハウス |
![]() |
![]() |
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
![]() |
![]() |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
« 日本の財務省が演出するIMF対日消費税増税要請 | トップページ | 首相辞任政局を党内政局に利用する姑息な幹事長 »
「小沢代表秘書不当逮捕(5)」カテゴリの記事
- えん罪被害者石川知裕元議員を全面支援する(2014.10.02)
- 小沢一郎氏人物破壊巨大謀略事件もみ消しを糾弾(2013.10.16)
- 陸山会事件核心裏金受領に関する新重大事実無視(2013.03.14)
- 3.13判決を迎える陸山会事件の真相(2013.03.13)
- 3月13日判決で完全無罪を勝ち取らねばならない(2013.01.03)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 「極めて執拗な偽装工作」を実行したのは東京地検:
» 「1票の重さ」~よこくめ勝仁出馬宣言を聞いて~ [WorldShiftマッサージ㈱のせんむ、「ぢゃがいも」です]
いや、わからなくはないですよ。
「横須賀三浦に対する人の裏切り」
とか
「民主党だから当選したんだ」
とか。
でもさ、特に私たちのような20代世代で一体どれだけの人が
「この人だったら私たちの生活を本当に変えてくれる。この人に期待する」
って思って1票投じ... [続きを読む]
» 横粂勝仁衆議院議員に期待すること! [杉並からの情報発信です]
8月3日(水)夜7時から「ネットメデイアと主権在民を考える会」の「若者討論会」が主催する元民主党横粂勝仁衆議院議員との座談会が開催されます。
Ust中継で全国に配信されますのでぜひ視聴してください。
● 特別企画 「第5回若者討論会】
「よこくめ勝仁(総...... [続きを読む]
» 革命とは何か? 〜日本はもっと豊かになれる!〜 [格闘する21世紀アポリア]
例えば一人の老人がいたとして、その老人は元々一人かあるいは連れ合いを亡くしたことで一人で生きている。そして、もはや年齢も70歳にさしかかり、定職もなく、あったとしてもだいぶガタがきた現状ではとても仕事など覚束ない。もちろん、このような老人を雇う者もい...... [続きを読む]
» 【政治】外国人献金問題 菅首相の「居直り」「はぐらかし」答弁で審議が7度中断 西岡氏「首相は日本を滅ぼす気か!」 [政治経済ニュース・今私の気になる事]
首相の「居直り」「はぐらかし」で7度中断 西岡氏「日本を滅ぼす気か!」 21日の参院予算委員会でも菅直人首相は相変わらずの「はぐらかし」や「居直り」答弁を続けた。「脱原発」発言、外国人献金問題-。自らが招いた政治の混迷になお反省の色はなし。かみ合わ…... [続きを読む]
» 陸山会事件での検察は「推論」で戦っている? [ニュースを読まねば]
どうもマスコミの見出しは印象操作をしているように思えて成らない。「陸山会事件論告求刑公判 小沢一郎元代表元秘書3人に禁錮3年6月など求刑」といった見出しが躍っている。嘘ではない。検察は元公設第1秘書の大久保隆規被告に禁錮3年6月を、衆院議員の石川知裕被告には禁錮2年を、元私設秘書の池田光智被告には禁錮1年を求刑した。しかし、一般の読者は、記事の内容を精査せずに見出しだけ見ることも多いだろう。「禁錮3年?ああ、やっぱり黒だったんだなぁ。」との印象を受ける可能性が高いのではないか..... [続きを読む]
« 日本の財務省が演出するIMF対日消費税増税要請 | トップページ | 首相辞任政局を党内政局に利用する姑息な幹事長 »