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2011年7月31日 (日)

品川美容外科機密漏えい事件は警察天下り問題だ

品川美容外科に対する警視庁現職警官および警官OBによる捜査情報漏えい事件は、この国の警察・検察・裁判所制度の前近代性の重要な一端を垣間見せる事案である。同時に警察捜査情報を不正に入手した品川美容外科が政治家に対する献金を行っていた事実も明るみに出ており、こうした政治家への献金と警察捜査情報の漏えいとの関係も明らかにされる必要がある。
 
 この事件では、警視庁の職員が品川美容外科の医療過誤事件捜査とのっ絡みから品川美容外科に警察官OBの再就職を要請し、この要請を受け入れて警察から天下りを受け入れた品川美容外科が不正に警察捜査情報を入手したというものである。不正に警察捜査情報を漏えいした現職警官と警官OBが国家公務員法の守秘義務違反で逮捕された。

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日本の警察・検察・裁判所制度の前近代性を是正することが急務である。現状は前近代に取り残されたものだ。とりわけ重大な問題が三つある。
 
 第一は、刑事事件の取り扱いにおいて、警察・検察の裁量権が法外に認められていることである。警察・検察には、犯罪がたしかに存在していても、摘発しない裁量権と、犯罪が存在しないのに無実潔白の市民を刑事事件犯人に仕立て上げる裁量権が付与されている。
 
 法の下の平等、罪刑法定主義が守られていない。「起訴便宜主義」の名の下に、恣意的な法の運用がまかり通っている。警察捜査段階でも、犯罪が明白に存在しているにもかかわらず、警察の判断で犯罪が摘発されることなく無罪放免される事例が無数に存在する。
 
 裁量的な刑事事件捜査の運用が行われる最大の問題は、このことが政治的な目的で行われることと、このことと警察・検察の天下りが密接に関係していることである。
 
 日本政治の支配者である米官業政電の利権複合体の敵=政敵に対しては、無実の人間であっても犯罪者に仕立て上げることが横行する。逆に利権複合体の一員に対しては、法律を乗り越えて甘い運用が適用される。利権複合体の一員とは、警察・検察天下りを受け入れた企業という意味でもある。
 
 これが歴然たる現実であることは、多くの関係者が証言するところである。
 
 今回の品川美容外科の問題は、警察天下りと警察捜査の関係を端的に示す事例である。官僚天下りの最大の問題のひとつが、警察・検察の天下り問題であることを、主権者国民はしっかりと認識しなければならない。

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第二の問題は、日本の刑事事件捜査において、DUE PROCESS OF LAWが完全に無視されていることである。基本的人権を擁護するには、適正手続きが厳格に守られねばならないが、日本の現実は、適正手続き=DUE PROCESS OF LAWは無きが如しである。
 
 捜査段階における人権侵害の程度も極めて深刻である。
 
 この問題をクリアするには、取調べ過程の全面可視化が不可欠である。警察は、全面可視化を認めると治安水準が維持できないと主張するが、これは言い方を変えれば、
「犯人を検挙するには多少の冤罪の発生はやむを得ない」
ということにつながるのだ。
 
 人権を守る視点からの刑事事件捜査の鉄則は、
「10人の真犯人を取り逃がしても一人の無辜を処罰するなかれ」
である。
 
 冤罪を生み出すことの罪深さを警察・検察は認識していないのだ。
 
 不当逮捕、不当勾留、不当起訴、不当有罪判決を根絶するには、最低限、取調べ過程の全面可視化が不可欠である。そして、全面可視化は被疑者だけでなく、被害者、目撃者および関係者全員に適用することが求められる。

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第三の問題は、裁判所が権力に従属しているという現実だ。日本国憲法第76条は、
「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」
との規定を置いているが、空文化している。
 
 新藤宗幸氏が著書『司法官僚』で明らかにしたように、裁判官の人事上の処遇のすべてが最高裁事務総局に握られているため、裁判官は両親や法律ではなく、最高裁事務総局の方針に従って裁判を行うことになるからである。
 
 このとき、最高裁事務総局が時の権力の側を向くスタンスを取るなら、裁判全体が国家権力の支配下に置かれることになる。現実にこの傾向が著しく強まっている。

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警察・検察・裁判所の近代化は日本の構造改革の最重要テーマのひとつである。フランス人権宣言にこれらの事項が明記されたのは1789年のことだ。日本は220年も遅れた近代化をいまだに実現できていないのだ。
 
 野田佳彦財務相の政治資金管理団体が品川美容外科から多額の献金を受けてきた事実が明るみに出された。当然のことであるが、今回の事件との関係についても実態が明らかにされる必要がある。
 
 品川美容外科事件を単なる一事件として捉えるのではなく、警察天下りと警察捜査の一般的な関係のひとつに事例が、この事件に表出されたものと捉える必要がある。そのうえで、警察の天下り問題を徹底的に論議することが求められる。

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