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2011年6月11日 (土)

目前に迫る日本経済真正危機に気付かぬ菅直人氏

国政の停滞が悪影響を与えるのは被災地だけではない。被災地の困難は筆舌に尽くせぬものがあるが、被災地だけでなく日本全体が経済恐慌に陥る瀬戸際にあることを忘れてはならない。
 
 日経平均株価は9514円の水準にあるが、チャート上はなお強い下方リスクを抱えたままである。
 
 本年年初、金融市場では株価上昇予想が圧倒的多数を占めていた。しかし、私は日本株価が再下落する可能性が高いとの見通しを示し続けた。詳しくは『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたい。サンプルとして、本年年初号をホームページに掲載しているので、参照賜りたい。
 
 日本株価は私が予想した通り、三尊天井を形成した。さらに下落するリスクを抱えたままだ。株価下落予想の最大の根拠は、菅政権の財政政策運営が極度の緊縮に傾いたことだ。財政計数を的確に読み取る能力を持ったエコノミストがほとんど存在しなくなっている。
 
 菅政権の財政政策運営は、予算書を分析する限り、1997年度の橋本政権、2001年度の小泉政権を上回る強力な緊縮に傾いている。2010年度財政は2009年度第二次補正予算の執行が2010年度にずれ込んだことから、拡張された。これと比較すると、2011年度は約9兆円も国家財政がGDPを圧縮してしまう状況になっている。
 
 したがって、地震が発生していなくとも、日本経済は景気後退に陥っていた可能性が高い。株価は経済変動を先取りして変動するから、株価の再下落が警戒されたのである。
 
 このような環境下で大地震が発生した。そして、この地震が大津波を発生させ、日本列島を破壊したとともに、福島原発で重大な放射能事故を発生させる原因になった。
 
 地震の発生で、日本経済には強烈な下方圧力が加わった。生産能力そのものが大きく損なわれたのだから、GDPが減少するのは当然である。経済は疲弊し、国民は想像を絶する困難な境遇に陥れられてしまった。

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この窮状を打開するには、政府が財政政策を積極活用するしかない。幸い、日本はまだ、巨大な政策発動の余力を大きく残している。この余力を活用して日本経済全体を立て直すことによって、現在の危機を打開する以外に道はない。
 
 ところが、この局面で首相の地位にある菅直人氏に、日本経済の危機を打開する能力も意欲もないのだ。地震が発生し、福島原発が直ちに非常事態に陥った。この瞬間に、政府は福島原発から半径20キロ圏内の住民を県外に避難させねばならなかった。
 
 ところが、菅政権は3月11日の夜21時23分に3キロ圏内の住民を避難させたものの、3キロから10キロ圏の住民には、屋内退避を指示した。
 
 ところが、菅政権の対応は朝令暮改そのものであり、翌12日早朝、午前5時45分に、3キロから10キロ圏の住民に避難勧告を発したのである。この圏内の住民は、12日の午後6時25分になっても、まだ県外への非難を終えられない状況に陥ったのである。
 
 菅政権の不手際により、3キロから10キロ圏の住民が避難するために路頭をさまよっているさなか、政府は福島第一原発において、ベントを実施し、放射能を外部放出したのだ。殺人行為と言っても過言でない。
 
 11日の段階で10キロ圏外、あるいは20キロ圏外への非難を指示していれば、住民の混乱ははるかに小さく済んだはずだ。それが、12日午前5時45分の避難勧告になって、住民は着のみ着のままで自宅を離れるしかなくなったのである。
 
 さらに、3月12日から14、15日にかけて、第一原発1号炉から4号炉において、相次ぐ大爆発が発生した。その結果、大量の放射性物質が外部に放出され、とりわけ15日夜には降雨があり、原発北西部の屋外にいた住民は、大量の放射能被曝をしてしまったものと考えられる。
 
 有事に際して、何よりも重要な政府の役割、つまり、国民の生命と健康を守るという役割が完全放棄されていたのである。

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さらに大きな失態は、政府は直ちに大規模な経済対策を策定し、実行に移さなければならないにもかかわらず、菅政権は経済対策ではなく、大増税政策に突進し始めたのだ。
 
 この菅内閣の狂気の経済政策運営が、より深刻な日本の危機を招くことは、間違いないと私は予測する。当面の金融市場の最大の焦点になるのは、東京電力のゆくえである。
 
 菅政権は、今回の原子力事故を、「異常に巨大な天災地変」によるものではないとの認識を示している。「異常に巨大な天災地変」とは、人類がこれまで経験したことのないような天変地異を意味するのだという。ところが、今回の地震や津波と類似した事象は、過去にいくつも確認されており、東電の原子力損害賠償責任は免責されないことが明白になった。
 
 東電の財務リスクは急激に高まっており、今後の推移のなかで、東電自身が会社更生法の適用を申請する状況に追い込まれる可能性は十分に考えられる。東電の信用リスクは増大しており、金融機関も東電に対する与信に慎重にならざるを得ない。
 
 東証社長が指摘したように、客観情勢は東電の法的整理の必要性を強く示唆している。
 
 菅直人氏は6月2日に辞意をすでに表明したのだ。辞意を表明した首相に求心力は働かない。菅直人氏に可能な、唯一の国民貢献策は、一秒でも早く、首相を辞任することである。
 
 首相が交代し、政策を大転換しなければならない。株価が急落し、経済が危機に陥るなかで、東電の破たんが表面化すれば、負のスパイラルが一気に噴出することになる。日本発の金融危機が世界経済を暗雲に巻き込む可能性すらあるのだ。
 
 この危機を打開するには、経済政策の基本スタンスを全面的に転換するしか道はない。それなのに、菅直人氏は消費税大増税の方向に突き進んでいる。
 
 菅直人氏が首相を辞任せずに、消費税増税に突き進むなら、日本経済が壊滅的なダメージを受けることになるのは間違いないだろう。だから、菅直人氏の即刻辞任と経済政策大転換が必要なのだ。上述した文脈上で考えれば、菅直人氏が辞任して野田佳彦氏が後継者となっても、事態が改善しないことが分かる。

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マスゴミは、菅氏が辞任して、同じ執行部から野田佳彦氏などが新たな首班となって増税路線に突き進むことを支援し、そのために大連立が望ましいなどの間違った世論誘導を実行してきた。しかし、よく調べてみると、大連立に反対する議員も数多く存在することが判明した。マスゴミは、大連立が一筋縄では進まないことを認識すると、今度は、菅直人氏に対する早期辞任要求さえ後退させつつある。
 
 つまり、政府もマスゴミも、問題の本質をまったく理解していないのだ。ここに、今回の危機の本当の深刻さがあると言って過言でない。
 
 一刻も早く菅直人氏を退場させ、政府の経済政策スタンスを抜本的に転換すること。これが危機を打開する唯一の道であるが、まだ、方向感は定まっていない。
 
「悪徳民主」が野田佳彦氏を後継首相候補に擁立するなら、「正統民主」は、「正統民主」のなかから、野田氏とは反対の政策主張を示す候補者を擁立し、この代表戦をなんとしても勝利しなければならない。 
 
 日本国民は、事態の本質を正確に読み取り、このたびの政権交代によって、マクロ経済政策の基本路線を転換することが必要であることを、知らなければならない。本当の危機は、すぐそこにまで迫っている。

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