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2011年6月19日 (日)

西郷・勝無血開城合意と鳩山・菅無血開城合意

菅直人氏が総理の椅子にへばりついている。

 6月16日に開かれたシンポジウム
「小沢一郎と日本の新しい政治」
で、民主党の川内博史議員に対して、
「内閣不信任案に絡み、鳩山前首相が中に入り、辞任の確約を取り付けたことで、内閣不信任案を否決したのは、反菅勢力の対応の仕方として甘かったのではないか」
との質問がフロアから提示され、賛同する人がかなりいたように見受けられた。 
 
 私は、発言を求めようかと思ったが、川内氏などが答弁されていたので、発言を控えた。
 
 6月2日、内閣不信任案は可決される状況にあった。菅直人氏を退陣させるには、これがもっとも明確であったというのは、正しい。
 
 ただし、大きなリスクが存在していた。菅直人氏が破れかぶれ解散、自爆テロ解散に突き進むという可能性である。
 
 震災後の政府対応があまりにも遅く、国民の生命、健康を守れないばかりでなく、国民生活そのものを破壊してしまうリスクが顕在化してきたことが、菅直人氏退陣が求められている理由である。
 
 ここで、解散総選挙となれば、政治に大きな空白ができる。それこそ、まさに被災地と被災者を無視する行動である。これは絶対に避けなければならない。
 
 菅直人氏に一国の宰相としての自覚と責任があるとの前提に立てば、このリスクは排除して対応することが可能だった。そのまま不信任案可決に進めば、菅内閣は総辞職するしか道はない。
 
 菅氏が退場した後で、国難に直面した日本の現状を踏まえて、どのような人物をトップに担ぎ上げるべきか、最善の選択をすればよい。
 
 菅続投論を主張する人は、次の政権の枠組みをはっきりしてから、菅氏の辞任を求めるべきだと主張するが、これらの人々は、誰かの指令で菅内閣続投論を唱えているだけで、日本の議会政治のDUE PROCESSをまったく知らないのだ。
 
 菅氏が辞任して誰が後継民主党代表に就任するのかは、民主党が民主的な手続きに従って決定することである。昨年9月14日の代表選で国会議員票を200票も獲得した小沢一郎氏の総理就任を求める声は、インターネット上では圧倒的多数となっているが、この小沢新体制で進むから菅内閣を退陣させよと説明したら、マスゴミは、次の体制についての見解があるからという理由で、この案をそのまま認めるとでもいうのか。
 
 民主党が新代表を選出し、その後衆議院で、投票を行い、その結果、内閣総理大臣を選出するのだ。前任の首相が退陣する前に、次の体制を決定することなど現実には不可能なのだ。

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菅直人氏が退場を迫られている理由は、あえて再確認するまでもないが、それでも、菅氏の続投を主張する者が皆無ではないので、改めてポイントだけを記述する。
 
①そもそも、菅氏自身が菅内閣に対する信任投票であると位置付けた昨年7月参院選で民主党が大敗したのだから、この参院選以降、菅直人氏は首相職に留まる正統性を有していない。
 
②菅氏が目くじらを立ててきた政治資金規正法に関して、菅氏が明確に同法に違反した事実が判明したこと。今後の捜査によっては、菅氏は逮捕、起訴され、有罪となれば公民権を失うことになる。
 
③原発事故発生に際して、パフォーマンスを優先して、原子炉爆発の惨事を招いた疑いが濃厚である。
 
④原発事故発生後、国民の被曝を最小限に留めるために、SPEEDI予測を最大限に活用しなければならなかったのに、この情報を隠蔽したのか、認識しなかったのかによって、多数の国民を放射能大量被曝の被害者に陥れた。
 
⑤原発事故を発生させた東電には、原子力損害賠償法に基づいて、無限の責任を求めねばならないのに、経営者責任、株主責任、債権者責任、従業員責任を問わない方針を示している。
 
⑥大震災および原発事故を踏まえて、直ちに総合的な経済対策を策定しなければならないのに、これを延々と先送りしている。
 
⑦この震災の機に乗じる形で、巨大増税を民主主義の根幹ルールに反して強硬に推進している。
 
 これらの理由から、菅直人氏を即時退陣させ、国難にふさわしい人物を選出することは、正当な対応であり、被災地や被災者にとっても、望ましい行動である。
 
 問題は、菅氏が正気を失っている可能性があることだった。鳩山氏が介入した最大の理由は、被災地や被災者にとって最悪の結論である解散総選挙を回避することにあったと思われる。
 
 菅-鳩山会談の内容は、ここで繰り返す必要もない。震災復興基本法が成立し、第二次補正予算編成のめどが立った時点で菅氏が辞任するというものだ。どんなに遅いケースを想定しても、7月半ばまでには菅氏が辞任するという内容を含んでいる。
 
 鳩山前首相は、契約書の形態を取らなかった。一字一句、欧米の契約書流に、細目を数十ページにわたって定めるような契約書は作成しなかった。これを「甘い」と言われているのだが、これは、国籍も人種も異なる、相互信頼を置くことのできない者の間で交わされた契約ではない。

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日本という国の前内閣総理大臣と現内閣総理大臣の間の合意なのだ。鳩山氏からすれば、「武士の情け」で、あえて署名は求めなかったのだろう。
 
 衆議院本会議前の民主党代議士会では、菅直人氏の発言の後に、鳩山氏が菅-鳩山会談の内容を説明し、合意内容を明確に述べている。この合意内容について、菅氏も岡田氏も異論を差し挟んでいない。代議士会に出席した議員が、鳩山氏が述べた合意内容が事実だと判断したのは、当然のことである。
 
 ところが、菅直人氏が、内閣不信任案否決後に、代議士会での出席者が了解した事実と異なる解釈を提示し、暴走を続けているのである。
 
 このとき、鳩山氏や内閣不信任決議案賛成を撤回した民主党議員を責めるのは、酷であると私は判断する。
 
 これが、三流市民同士の民事契約であるなら、双方ともに、誤解やだまし、だまされなどの禍根を残さぬよう、重箱の隅を完全に突き詰めねばならないだろう。
 
 しかし、この合意は、繰り返すが、日本の内閣総理大臣の前任者と現職者との間で交わされた合意なのだ。世間一般の常識、良識、を前提にした行為が成り立たないということは、あり得ない。
 
 西郷南洲翁と勝海舟の無血開城会見を思い起こすがよい。この時の会談に臨んだのが勝海舟でなく菅直人だったら、ペテンの発覚後に日本は大規模内乱に陥り、欧米の植民地に成り下がっただろう。
 
 国家の品格の問題である。
 
 すべての国民がペテンだと判断することを臆面もなく実行できる人間、ペテン師、詐欺師をのさばらせることが、日本の国益をいかに損なうことになるのかを、日本国民全員が考えるべきだ。
 
「ありえない話」が現実に発生しているのだ。
 
 菅-鳩山会談、合意内容、代議士会での説明を正しく知る者の中で、一人でも菅直人氏の行動を正当であると主張できる人物が存在するのか。
 
 誰一人としていないはずである。
 
 このような人物を総理の座に置くことを、私たち日本国民は恥ずかしいと思わないのか。

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菅氏が総理の座に居座り続け、なんとか、原爆投下の日まで総理の座にとどまり、脱原発を宣言して、この是非を問う解散総選挙に進むシナリオがあるなどの情報が流れる。
 
 そうなると、ものごとの筋目を丁寧に考えない国民やメディアは、その流れに巻き込まれて、突然、脱原発、是か非か、に走り始めるかもしれない。
 
 私たちにとって大切なのは、ひとつひとつのプロセスを、丹念に、正当なものとして、歴史に刻んでゆくことである。ものごとの筋目を正しく刻むことは極めて重要だ。脱原発がどれほど大切なものであれ、それ以前の問題である詐欺やペテンをそのまま不問に付すことはできない。
 
 6月2日に、内閣不信任案可決の状況があり、そのなかで、菅-鳩山会談が開かれ、鳩山氏が代議士会で説明した内容が事実である限り、菅氏は速やかに首相の座を明け渡すしかない。
 
 客観的な評価として、菅氏が代議士会の場で、鳩山前首相の発言を修正しなかった時点で、鳩山氏の説明が菅-鳩山会談の合意内容であると認定されることになる。退陣条件は、鳩山前首相が言っただけで、自分の口からは言っていないというのは通用しない。
 
 次の政権の政策基本方針は極めて重要である。
①震災復興対策の財源をどうするか
②普天間基地問題をどのような解決するか
③脱原発に転換するのか原発推進を維持するのか
特大の三つのテーマが存在する。
 
 民主党代表選、内閣総理大臣選出国会において、この基本問題を踏まえて、新しい首相と新しい政権を樹立しなければならない。
 
 菅首相が退陣する前に、その基本方向を決定することは論理的に不可能である。しかし、菅首相に不信任が突き付けられ、菅氏が辞任で了解したことが公表された以上、菅氏は速やかに退出すべきなのだ。
 
 合意には、「第二次補正予算編成のめど」という言葉があるが、総理が代わる以上、補正予算の編成は次の総理に委ねるべきことは、常識と良識で判断できることだ。
 
 6月2日の経緯を踏まえたときに、内閣総理大臣がその後もやめずに居座り続けるというのは、日本の評価を著しく低下させる。菅氏が居座る正当性はリビアのカダフィ大佐が居座る正当性と競合するだろう。「○○○○総理」の罵声を浴びせてでも、菅氏に退いてもらわなければ、日本は世界の笑いものになる。
 
 日本の品格、国家の品格が問われている。

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