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2011年6月12日 (日)

仙谷由人氏が恫喝した現役経産官僚が逆襲を始動

現役経産官僚である古賀茂明氏の新著

『日本中枢の崩壊』<講談社)
 
 

日本中枢の崩壊 Book 日本中枢の崩壊

著者:古賀 茂明
販売元:講談社
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 が話題を呼んでいる。
 
 古賀氏は現役官僚でありながら、民主党政権による国家公務員制度改革の後退を、個人の立場で、国会やメディアを通じて批判した。その結果、民主党政権と霞が関の古賀氏への風当たりは強まり、古賀氏は一年以上もの間、「大臣官房付」というポストに置かれて仕事を与えられない状態に置かれている。
 
 2010年10月15日の参議院予算委員会、古賀氏はみんなの党の小野次郎議員の質疑に出席を求められて出席した。質疑では小野次郎氏から「天下り根絶というスローガンが骨抜きになっている」ことについて、古賀氏の考えを述べるように求められた。古賀氏は質問に応じて、天下り根絶を進めるべきだという古賀氏の持論を述べた。
 
 古賀氏は天下りの弊害が二つあることを指摘した。この指摘は正論であるので、ここでも整理して示しておきたいが、
 
①天下りによってそのポストを維持する必要が生まれ、その結果、大きな無駄が生まれること
 
②とりわけ民間企業への天下りが、企業と霞が関の癒着を生み、行政が歪められること
 
の二つが代表的な弊害である。
 
 このことから、天下りを根絶することが、現代日本の霞が関改革の基本であることは、私の主張とも完全に重なっている。古賀氏は次の事実も国会で指摘した。
 
 民主党政権が変質し、菅政権が発足して以降、菅政権は天下り根絶の方針を完全放棄し、かつての自民党政権以上に天下りを温存するスタンスを強めた。その一つの証左が、現役出向制度である。
 
 今般話題になった東京電力への資源エネルギー庁長官からの天下りは、2年間はブランクを置くとの従来のルールを超えるものであった。菅政権の下で、資源エネルギー庁長官が、直ちに東京電力に天下りすることが許されるようになったのだ。
 
 古賀氏は、菅政権の下での天下り温存政策を厳しく批判したのである。

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 古賀氏は、3月11日の大地震および大津波によって、人類史上最悪の原子力災害を引き起こした東京電力福島第一原子力発電所の問題に関連して、問題処理私案をまとめて、経済誌『エコノミスト』に寄稿しようとした。
 
 本書巻末には、その全文が収録されているが、経産省大臣官房がこれを中止させた。官房は古賀氏の行動を「売名行為」だとして批判したのだが、古賀氏が主張する内容は極めて合理性に富んだものである。
 
 福島原発の収束が何よりも優先されなければならず、原発事故による被害者の救済を確実に実行すること、その際国民負担を最小化するためのスキームが検討されている。
 
 マスゴミと利権政治屋、利権言論人、利権学者を中心に、東電の救済を主張する意見が強く、東電に対する法的整理の適用が電力の安定供給を阻害するなどという誤謬に満ちた論説が流布されているなかで、古賀氏の主張は合理的であり、ひとつの正論である。私が本ブログで提示してきた問題処理スキームと、ほぼ同一の判断基準に立つものである。
 
 東電の問題は、霞が関を取り巻く、この国のかたちと密接に関わりを持っている。民間事業者と霞が関、政治屋、マスゴミ、そして米国とが密接に関わり、金銭、言い換えれば欲得で、これらが有機的に結合して、巨大な利権複合体を形成している。これが日本政治の基本構図である。
 
 私はこの、米・官・業・政・電の利権複合体を悪徳ペンタゴンと呼び、悪徳ペンタゴンが支配する日本政治を、日本政治の本来の主人公である主権者国民が支配する日本政治に転換することの必要性、重要性を訴え続けている。この考察をまとめたものが、拙著『日本の独立』である。

日本の独立 Book 日本の独立

著者:植草一秀
販売元:飛鳥新社
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 こうした古賀氏の発言について、思わぬところから、驚くべき発言が示された。当時の官房長官であった仙谷由人氏が次の発言を示した。
 
「さっきの古賀さんの上司として、一言先ほどのお話に沸かしから話をさせていただきます」
 
「私は、小野議員の、今回の、古賀さんをこういうところに、現時点での彼の職務、彼の行っている行政と関係のないこういう場に呼び出す、こういうやり方ははなはだ彼の将来を傷つけると思います・・・・・優秀な人であるだけに大変残念に思います」
 
 仙谷氏の発言が議場に響くと同時に、
 
「何を言っているんだ。(参考人の)出席は委員会が決めたことだ!」
 
「恫喝だ!」
 
という怒号が飛び交い、議場は騒然となった。
 
 これが、その後に有名になった仙谷官房長官「恫喝」発言事件だ。
 
 この書の著者は、天下り問題で菅政権を批判して、将来の処遇について、仙谷官房長官から恫喝された、その本人である。
 
 仙谷由人氏は菅政権の中枢に入り込み、霞が関改革の方向を、根底から覆した張本人である。仙谷氏は財務官僚および法務官僚と手を結び、政敵である小沢一郎氏に対する政治謀略を画策するとともに、霞が関の利権を拡大させるための消費税大増税を推進しているのではないかと、強く疑われている、ダーティーな政治屋の筆頭格に位置付けられる人物である。

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古賀氏は経済産業省の経済産業政策局経済産業政策課長を務めた経歴を有する。経済産業官僚のトップエリートコースを歩んできた人物である。霞が関の詳細に熟知しており、本書には、極めて重要な霞が関の事実、真実が広範に散りばめられている。
 
 主権者国民は、本書から、霞が関の実態について、通常はベールに覆われ、窺い知れないその実態を、手に取るように知ることができる。
 
 私はかねてより、この国の政治構造、あるいは、もっと広くこの国のかたちを、次のように変えねばならないと主張してきた。
 
①官僚主権から国民主権への転換
 =天下りの根絶
 
②政治と大資本の癒着排除
 =政治献金の全面禁止
 
③対米隷属からの脱却
 =沖縄軍事基地の撤廃
 
の三つを訴えてきた。さらに、以下の二点も最重要課題であるとしてきた。
 
④警察・検察・裁判所制度の近代化
 =取調べ過程の全面・完全可視化
 
⑤マスメディアの近代化
 =NHKの解体的改革
 
である。
 
 古賀氏が本書で記述した中心は、①の問題であり、この問題についての私の主張は、多くの点で古賀氏と重なる。ただ、私は霞が関官僚の突出の背景に、大卒公務員の第一種と第二種とによる区分があることを重視し、この区分の廃止を主張しているが、古賀氏の主張では、この点への言及が乏しい。
 
 少数の幹部職員候補採用の国家公務員制度が、自分たちが日本を支配しているという、霞が関キャリア官僚の勘違いを生み出す原因であり、私はその制度の廃止を主張している。

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政府の効率化を求める政治的主張は、基本的にリバータリアニズムの主張と軌を一にするものである。しかし、このリバータリアニズムの主張が完全に一枚岩であるのかと言うとそうではない。
 
 リバータリアン右派は市場原理主義的主張を示し、結果における格差容認を主張するが、リバータリアン左派は、市場原理主義の修正と結果における格差是正の必要性を考慮する。
 
 本書の著者である古賀茂明氏は、「みんなの党」と極めて緊密な距離感を有し、古賀氏自身、小泉構造改革を基本的には高く評価し、最近のTPPや医療における混合診療制度などの自由化措置を肯定的に位置付けている。
 
 この点が、私の主張とは決定的に異なる部分である。古賀氏は次の国政選挙に「みんなの党」から出馬するのではないかと私は感じている。
 
 古賀氏が重点的に論じる霞が関改革は待ったなしであり、とりわけ消費税大増税論議が生じてきている現時点では、「大増税の前に成すべきことがある」との考え方は何よりも重要である。
 
 しかし、一歩過去を振り返れば、2000年代に入って吹き荒れた小泉竹中政治について、大多数の国民が、改めてその負の遺産についてじっくりと再考察するようになった。このことも見落とせない真実である。
 
 小沢一郎氏が提示した「国民の生活が第一」とのスローガンは、「効率」だけを追求する小泉竹中流の市場原理主義、大資本の利益追求を無制限に容認する政官業癒着政治の修正を求めるものだ。
 
 財政の機能で言えば、無駄な政府支出をなくすというのは「資源配分」の機能に着目するもので、この点で古賀氏の主張は賛同を得やすい。
 
 しかし、経済活動の結果における格差を修正すべきであるかどうかは、「所得再分配」の機能に関する問題で、この面でも、政府は小さければ小さいほど望ましいのかどうかは、意見が分かれるのである。
 
 私は、政府の無駄は排除すべきだが、結果における格差修正において政府の役割は依然として大きいとの立場を取っている。これに対して、古賀氏は所得再分配の側面においても、政府の役割は小さくあるべきだと考えている可能性が高いと感じられる。
 
 主義主張のベースにこうした相違があることを踏まえたうえで、古賀氏の良書を多くの主権者国民が熟読することが求められている。

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