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2011年6月25日 (土)

消費税増税論議が前に進まない最大の理由とは

菅政権が強引に進めてきた「社会保障と税の一体改革案」は6月20日に正式決定の予定であったが、決定できず決着が先送りされることになった。
 
 民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」(会長仙谷由人氏)が開いた会合で、民主党議員から反対意見が相次ぎ、結論を得ることができなかった。
 
 執行部は、この会合でガスを抜いて政府決定に持ち込もうとしていたが、民主党議員の強い反対に直面して、これを断念した。
 
 しかし、裏側には財政再建原理主義の財務省が存在しているから、今後も執拗に攻撃を仕掛けてくるはずである。
 
 菅直人氏が首相として欠格である最大の理由は、菅直人氏の行動が民主主義に反していることにある。菅直人氏は市民運動上がりの国会議員であるが、民主主義に根差すことのない市民運動であるなら、金輪際、市民運動などという言葉を用いるべきでない。
 
 市民運動そのものがいかがわしいものと見られてしまう原因を作ることになるからだ。
 
 主権在民、国民主権とは、政治における意思決定の主役、決定権者が国民にあるということだ。しかし、すべてのことがらを直接、国民が決定するわけにはいかない。そこで、国民の代表によって国会を構成し、国民の代表である国会議員が国民の負託を受けて政治的な決定を行うのである。
 
 主権者である国民の意思が政治に反映される仕組みが確立されなければならない。そのひとつの姿が近年「マニフェスト選挙」という言葉で示されてきた。
 
 総選挙に際して、政治的な主義主張を一にする政党は、政権構想を明示し、政権を担う際の政策公約を主権者国民に明示する。主権者国民は、その政権公約を吟味、検討したうえで、どの政党に政権を委ねるのかを決める。
 
 これが、「マニフェスト選挙」、「政権選択選挙」だとされてきた。

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菅直人氏自身、総選挙に際して、このことをアピールしてきたのではないのか。
 
 現代政治において、最重要のテーマのひとつが、課税、税制問題である。「法の支配」の淵源にあたる「マグナ・カルタ」の時代から重視され、そして、米国独立戦争の合言葉になったのが、「代表なくして課税なし」である。
 
 そもそも、政府とは、国民から税を徴収して、これを分配する存在である。支出細目を決定するのが「予算」であり、国民からの徴収を決定するのが「税制」である。政府、あるいは国会の最大の機能は、この「予算」と「税制」の決定にあると言って過言でない。
 
 2009年8月総選挙での最大の争点のひとつは、消費税問題だった。麻生政権は消費税引き上げ方針を2012年度までに決定することを、総選挙の際の政権公約に掲げた。
 
 これに対して、民主党は、鳩山代表が、「2013年秋の衆議院任期満了までは、政府支出の無駄排除に総力を結集し、消費税増税には手を付けない」ことを確約した。当初は、消費税増税論議も封印すると公約した。
 
 これが、民主党が提示した政権公約である。この公約は、いまも有効なものである。
 
 ところが、昨年6月2日の政変で政権権力を強奪した菅直人氏以下悪徳8人衆を執行部とする新政権は、昨年6月に、この政権公約を根底から覆す方針を提示した。
 
 昨年6月17日の記者会見で、菅直人氏が突然、消費税率10%への引き上げを新たな政権公約に掲げたのである。この方針を玄葉光一郎政調会長は「政権公約と理解して構わない」と明言した。
 
 菅直人氏は、この公約提示について、民主党内の民主的な意思決定手続きを経ていないことを明らかにした。そもそも、この点で菅直人氏は、民主主義の正当なDUE PROCESSを無視しているのだ。
 
 菅直人氏はこの公約を掲げて昨年7月11日の参院選を戦った。菅直人氏はこの参院選が菅内閣に対する「信任投票」であることも明言して、この参院選を戦った。
 
 結果は民主党の歴史的大敗だった。この時点で、菅直人氏は退場しなければならなかったはずであるし、また、消費税増税の提案は主権者国民によって完全に否定されたことになる。

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こうした、民主主義の原点を菅直人氏は無視し続けている。菅直人氏は民主主義の敵、民主主義の反逆者である。
 
 裏側には財政再建原理主義の財務省が存在し、知能が足りないのではないかと思われる菅直人氏や仙谷由人氏などは、俗悪な財務官僚に赤子のようにころりと手をひねられてしまうのだ。
 
 次の民主党代表選と次の総選挙の最大の争点は消費税問題になる。主権者国民は絶対にこの増税を容認してはならない。
 
 私は財政破たん論者ではない。財政収支の健全性を回復する必要はあると考えている。高齢化が急速に進むことを踏まえれば、国民負担の増加はいずれ考えなければならないだろう。
 
 民間部門の所得分配における不平等が拡大する傾向を踏まえれば、財源は累進課税の所得税を中心に据えるべきだと考えるが、消費税増税も検討項目のひとつにはなってくるだろう。それを全面否定はしない。
 
 しかし、現状での消費税増税には断固反対である。

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その最大の理由は、官僚利権が完全に温存されているからだ。
 
 日本における財政再建論議、税制改革論議が前に進まない最大の理由がここにある。
 
 財務省は馬鹿の一つ覚えのように、口を開けば財政再建、増税を主張するが、本当に財政再建を重視するなら、なぜ、財務省利権を切ろうとしないのか。
 
 私は分かりやすく、15年も前から、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫の天下り御三家への天下りを全廃すべしと言ってきた。
 
 それ以外に、JT、NTT、横浜銀行、西日本シティ銀行、東京証券取引所などへの天下りを根絶すべしと言ってきた。
 
 今回、最悪の原子力事故の発生を踏まえて、経産省から電力会社および原子力関連諸団体への天下りを全廃するなどは、当たり前の対応だろう。
 
 しかし、霞が関は、こうした官僚利権の根絶に指一本、手を触れさせないようにしているではないか。
 
 官僚利権に手を入れることを拒み続けていること。これが日本の税制改革論議を妨げている最大の障壁である。霞が関の利害代弁者である与謝野馨氏は、霞が関利権には手を入れずに増税に進むべきだと主張しているが、老害ここに極まれりとの感が強い。
 
 原発事故発生に際して、日本の原子力利用推進は正しかったと言い切るような人物だから、まともな会話が成り立たないのは当然と思うが、こんな人物が経済財政政策担当大臣なのだから恐ろしい。
 
 日本を衰退させている主因は、私欲、我欲、欲得至上主義だ。国民の方がはるかにフラットな感覚を備えている。霞が関の強欲官僚と、これに連なる強欲俗悪利権政治屋が日本をだめにしているのだ。
 
 いずれにせよ、次の民主党代表選と総選挙では、消費税増税問題を最大の争点に掲げて、官僚利権排除無き増税を断固粉砕しなければならない。

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