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2011年5月 9日 (月)

東電不正救済電力料金引上げこそ「政治とカネ」核心

この国では、天下りと政治屋、電波業界、および御用学者への巨大な利益供与によって、刑事上および民事上の事件取り扱いが一変する。
 
 このことを東京電力は実例によって証明しようとしているのか。
 
 電力会社が人為的な過失により、放射能の大量放出という惨事を発生させた。この行為は、当然、刑事上の事件として取り扱われなければならないことである。
 
 ある企業が街中にサリンをまき散らして、刑事上の責任を問われないことがあるだろうか。
 
 放射能放出量のレベルは、国際原子力事象評価尺度の基準にあてはめると、人類史上最悪のレベルであり、すでに「レベル7」との判定が示されている。
 
 チェルノブイリにも匹敵する放射能を撒き散らしているのであるから、当然、その事故処理には膨大な資金が必要になる。
 
 ところが、政府は東京電力に責任を求めず、あろうことか、電力料金の引き上げによって、一般国民にその負担を強制することを企てている。
 
 本来は、東京電力が株式会社制度の有限責任の範囲内で、可能な限りの責任を果たす。損害賠償金額は東電の支払い能力を超えるであろうから、経営体としての東電は法的処理に持ち込まれる。
 
 東電が法的処理に持ち込まれると、東電の経営者、東電の株主、東電の債権者、そして東電の社員に応分の負担が課せられる。しかし、法的処理の各種手法を用いることにより、電力事業そのものを継続させることは可能である。電力の安定供給という公益を守ることは十分にできる。
 
 政府が公正と正義を重んじるのであれば、当然にこの道を選択する。これが「自己責任」を基本に据える資本主義の順当なルールである。
 
 焼き肉店が業務上の安全管理義務を怠って、死者を生むような食中毒事故を引き起こしたとしよう。通常の行政措置が取られるなら、事業者は厳しく責任を問われるはずである。
 
 事故発生に伴い、巨額の損害賠償責任が発生し、企業の支払い能力を超えてしまえば、企業は法的整理にかけられねばならなくなる。厳しいけれども、これが資本市場のルールである。
 
 ところが、東電の場合、企業そのものが、政・官・業・学・電の巨大癒着構造を構築してきた歴史を背負っている。
 
 政治屋への利益供与、巨大な天下り構造、御用学者・御用大学への巨大な利益供与、電波業界への膨大な広告料支払い、によって、政も官も学も電も、「正義と公正」に基づいて行動できない構造が作り上げられてきてしまっている。

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東電株価が400円台で推移していることは、東電が可能な限りの資金負担を免れるとの市場の観測を示している。
 
 日本航空の場合もまったく同様であった。日本航空の責任が適正に問われないとの予想が支配している間は、株価が3ケタで推移した。しかし、一民間企業としての責任が問われることになった結果、株価は急落、株式は上場廃止になり、日本航空は法的整理されることになった。
 
 海江田経済産業相は、東電の電気料金引上げを容認する考えを示したが、このような拙速な対応を取るなら、東電に対する適正な責任処理は実現しえない。適正な責任処理を行わないために電気料金引上げ容認の方針を示したのだと思われるが、「悪代官行政」そのものである。
 
 政府が賄賂をもらい、賄賂を贈った悪徳業者に不正な便宜を供与する。
 残念ながら、これが日本の現状である。
 
 この現実を変えるためには、まず、天下りを全廃する必要がある。東電の問題が俎上に載っているが、東電の問題を少しでも透明に処理しようというなら、まずは、経産省等から電力会社および電力関連団体への天下りを全廃する必要がある。
 
 目に見える、このはっきりとした癒着をそのままにして、東電救済策を強行実施することは、政府がみずから「悪代官行政」を宣言するに等しい。
 
 最終的には、日本国民の問題である。日本国民がこのような「悪代官行政」を容認するのかどうかが問われるのだ。日本国民が「悪代官行政」を容認するなら、日本国民は、自らの意思で、非近代国家としての日本を容認することになる。日本の体質は何ひとつ変わらないだろう。
 
 2009年8月の政権交代で、日本は刷新されるチャンスを得た。しかし、旧来の「悪代官政治」を求める利権複合体の力が強烈で、現実が、この方向に大きく引き寄せられてきている。その中心を担っているのが、悪代「菅」政権である。
 
 浜岡原発停止要請は、電気料金引き上げを強行実施するための方便として示されたものである可能性がある。しかし、主権者国民が、この国の「悪代官政治」を一掃しようとするなら、この料金引き上げを絶対に容認するべきでない。東電に対する適正な責任処理を求めるべきである。
 
 悪代菅政治を容認するのかどうか、国民の矜持が問われている。

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